薄桜鬼・妄想現パロ【Step before the start of the love】#9 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

第1話はこちらから → 



現パロ。


隊士?たちは美容師さん設定です。



キャラ崩壊あり。



それでも宜しければどうぞ。
















「この分だとバレンタインデーのチョコも期待出来るね」



「へ?」

突然の総司さんの言葉に目を見開いた私。



「あれ?くれないの?美奏ちゃんからチョコ欲しいんだけど」


「あ!総司に渡すなら俺も欲しい!左之さんも欲しいよな!!」

眉を上げる総司さんと便乗してくる平助さん。



「あ?ああ…」

左之さんは何だか歯切れ悪い感じだったけど。



「じゃあ、私の作ったので良ければ…」


「うん、楽しみにしてるね。お客さんには日持ちするから市販のチョコにしてって言ってるんだけど、美奏ちゃんならいいね」

おずおずと応えれば、総司さんは満足気に笑った。



「ちょ、総司。お前、お客さんにそんなこと言ってんの?」


「だって去年食べ過ぎてお腹壊した誰かさんみたいになりたくないからさ」


「あ…」


「忘れてたんだ」


「あー。そんなこともあったな!!あははは」


総司さんと平助さんのやり取りにクスクス笑いながら左之さんを見ると、

ソファの背もたれに肘をついて、手の平で口元を隠して私をじっと見ていたかと思えば、
不意に逸らされた視線。



『…何かしちゃったのかな…』



「じゃあそろそろ上がるか」

立ち上がって声を上げる左之さん。



「あ。また飲みに行こうよ」


「お!いいね!」


「だーめーだ」

総司さんの提案に眉間に皺を寄せる左之さん。



「何でだよ、左之さん!」


「美奏は明日からまた仕事だろ?」


「あ…、そか。明日月曜だもんな」

食いついた平助さんが残念そうに言葉を零す。



「じゃあまた金曜においでよ、美奏ちゃん。僕は美奏ちゃんとならいつでもいいから」


「俺もー」

総司さんは優しく笑顔を向けて、平助さんはニカっと笑ってくれる。


「ほら、お前ら帰る準備しろって。…美奏は送ってってやるから待っててくれ」


「はい…」

何となく左之さんの態度に違和感を覚えながら、バックに行く3人の後姿を見ていた。






駅で総司さんと平助さんを見送った左之さんと私は並んで歩き出す。




「最近ホント寒いですね…」


「ああ…」


「手袋してくればよかったな」


「ああ…」


「あの…左之さん」

下から左之さんの顔を窺う。


「ん?何だ?」

降り注いできたのは優しい眼差し。



「私、左之さんに何かしちゃいましたか?」


「…」

少し左之さんの表情が強張った気がした。


「何かしちゃったのなら、私謝ら…キャ!」



立ち止まったかと思えば、グッとひかれた手。



左之さんの大きな手が重なって。



長い指が私の指に強引に絡んで。



左之さんのコートのポケットに繋いだ手が押し込まれた。




『なっ!!!』




「…寒いんだろ?」


左之さんはいたずらっ子のようにニヤリと笑って。


私と手を繋いだまま、ゆっくりと歩き出す。


「…」


突然の事で、頭の中が真っ白になる。


顔はみるみる真っ赤になるのがわかる。




「雪、降りそうだな…」


「…」


身体中が心臓になったみたいでうるさすぎて。


俯いたまま応える言葉が上手く出てこない。



不意に左之さんが私の顔を覗き込む。


間近に迫った整った顔に身体がビクンと震えて、思わず視線を逸らせた。


そんな私の顔を見て、口元に笑みを浮かべる。



「なぁ。やっぱどっか食べに行かないか?腹減った」


「…。…はい」

小さく応えて、コクリと頷いた。



「この辺、美味しい店あるか?」


「じゃ、じゃあ…、あそこの角を曲がったとこにあるお店が…美味しい、です。はい」


「じゃ、そこにするか」


「…はい!」



淡い気持ちが確信へと変わる。




『私は左之さんが…好き。』




私が繋がれた手を少し力を入れて握れば、

ぎゅっと握り返してくれた。


交わった視線は二人の笑顔を引き出す。




店に入って席につくまで繋がれていた手。


それからは美味しい料理とほんの少しのお酒を呑みながら。



お互いの仕事の話とか…。

お互いの家族構成とか。

あそこの店が美味しいとか。


そんな他愛のない話をして。



お腹を満たされた私たちは店を出た。





「飯も酒も美味かったな~。」


「はい!私も久々に来ましたけど、やっぱり美味しかったです」


「…ほら」

差し出された手。


「え…?」


さっきと同じように手を繋ぐってことだろうけど…。

微かに生まれた戸惑いか照れくささが私を躊躇わせた。



「寒いだろ?」


「…はい」

左之さんの笑顔につられるように私も笑顔でそっと手を取った。



「「あ…」」

空から舞い降りてきたものに目を奪われる。



「雪…だな」


「雪…ですね。綿雪」


しばらく見上げていれば注がれた優しい視線。



『ああ…。好きだな…』


なんて思いながら、今度はその視線から逃れることなく見つめてしまう。



「行くか」


「…はい」



二人とも笑みを零しながら

二人で白く染められていく歩道を歩いていく。



『左之さんも同じ気持ちでいてくれたら嬉しいな』なんて祈りながら。








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次で終わる自信がありませんwww






みふゆ