薄桜鬼・妄想現パロ【Step before the start of the love】最終話 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

第1話はこちらから → 



現パロ。


隊士?たちは美容師さん設定です。



キャラ崩壊あり。






最終話です。


沢山のコメント、ペタ、アクセスありがとうございましたm(_ _ )m


少しでもいいのでお言葉いただけると嬉しいです。


皆様の心に何か残せますように。



あとがきは今日か明日にでも上げたいと思います。





それではどうぞ。























どのくらい唇を重ねていたのだろう。



それは一瞬のようで。


とても長い時間のようで。



離れていく唇を目で追って、目線を上げると絡んだ視線。




「俺も好きだ」


真摯な瞳と優しい笑みを浮かべた唇。



私の目から一筋雫が零れれば、

大きな左手が私の頬を包んで親指でその雫を拭ってくれた。



そして舞い降りた優しいキス。


今度はそっと瞳を閉じた。



舌が私の唇をなぞって、応えるように薄く口を開けば割り込んできた熱い舌。

一度触れ合えば、互いの想いを伝えるように優しく絡み合った。



静かな室内に広がる液を含んだ音と微かな吐息。



私を逃さないように、

私を支えるように、

首の後ろに回された手と腰に回された手が強く引き寄せられる。




『気持ち…いい』


身体の隅々まで熱くなっていく。



不意に離された唇。


火照る顔で彼を見上げれば、口角をあげて、私を抱き上げた。



「きゃっ!」

私は思わず、彼にしがみつく。



左之さんは近くにあったソファに、私を抱っこしたまま腰を下ろした。



横抱きの状態で彼の膝に座っているということと、視線が殆ど同じ高さになって、
何だか照れくさくなる。


少し俯いて視線を逸らせた私。

彼の指が私の顎を軽く持ち上げる。



その優しい瞳にまた胸は締め付けられる。



「好きだ、美奏…」


その言葉に嬉しくなった私は彼の首に腕を絡ませる。



「私も左之さんが…好き」

今度は自分から唇を寄せた。



絡み合う舌が本当に心地よくて、

それは甘い疼きを呼び寄せるのには時間はかからずに。



キスをしながら左之さんが私のコートを脱がそうと手をかける。


熱い舌は下りてきて、私の首筋へと流れる。




「左之さん…、お店、ですよ?」


「ああ…。店だな…」



そんな風に応える彼の手は止まらない。


私も彼の手を止めようとはしない。



舌を絡めながら、彼の大きな手が服の上から優しく胸を揉み上げる。



私は『もっと』とせがむ様に深く彼の舌に絡ませた。



そして左之さんの大きな手が直接肌に触れようとした時。








「グー…」






二人の動きが止まる。







『やっちゃったぁ…』



私は恥ずかしくて、恥ずかしくて、物凄く恥ずかしくて。


そして申し訳なくて。


即座に俯いた。




『今日早く上がるためにお昼もほとんど食べてないんだった…』

そして今日の閉店時間は19時半。


今は多分20時くらい…。


お腹も…空くわけです…。




「…あ、あの…。ごめんなさい…」


そして気付いた震えている肩。



『…笑われてる』

自分が情けなくて、何も言えなくなってしまった。


「いや、そんな美奏も好きだぜ?」

頭をポンポンと撫でて、優しくリップ音を立ててキスをした。



「…笑ってる」


「…いや、ほら。大事にしたいのに、流れで店なんかでやるなってことだろ」


「…」

私はまだ恥ずかしくて押し黙ったまま。



「ほら、飯食いに行こうぜ。…な?」


「…はい」

『鳴っちゃったものはしょうがない…』

そう思って、開き直った気分で小さく頷いた。




私はコートを着なおして、互いのバッグを持って、店の入り口に向かって歩く。


入り口の前で何となく…『名残惜しいな』なんて思ってしまった私。


「…」

黙ったまま、彼のコートの袖に触れた。


「ん?」

ドアノブに手をかけていた左之さんが私を振り返る。


「もう一度、キス…して?」


口元に笑みを浮かべた彼が、角度を変えながら何度も優しいキスをくれた。




「美奏、キス…上手いな。…前の男に妬ける」


「…私が今好きなのは左之さんですよ?」


「ああ、分かってる」

私が見つめれば、ふわりと笑ってまたキスをした。




ドアを開ければスゥっと入ってくる冷たい空気。


火照る身体には心地よかった。


どちらからともなく繋がれた手が嬉しくて。



今日は和食を食べたけど、…多分美味しかったんだろうけど、正直胸がいっぱいで味がわからなかった。



店を出て、二人で手を繋いで歩く。



「左之さん…」


「ん?どした?」


「左之さんがよく頭撫でるのって…癖、ですか?」

私の言葉に眉をあげるも、笑みを溢した。


「まぁ…、癖もあるかもしんねぇけど…。
自分の仕上げた髪型を自分ではあんまり崩さねぇよ。
美奏に…触れたかったってことだよ」

そう言って優しい笑みを浮かべながら、
繋いでいる手をぎゅっと握る。。


聞いてしまってから何だか恥ずかしくなってしまった私。


「…何だよ、聞いたの美奏だろ?」

からかうように左之さんの声が弾んだ。







そして着いた私のマンション前。


不意に抱き寄せられて、胸が高鳴る。



「美奏…」


「はい」


「…今日は帰る…わ」


「…そう…ですよね」

眉根を寄せた彼の表情を私はどんな表情で見ていたんだろう。



「今日美奏を抱いたら、朝まで寝かせられねぇし…。明日仕事だろ?」


「はい…」


私を気遣って優しく私の髪を梳る大きな手。



「じゃあ…尚更だ。…そんな顔するなって」


「…だって」

『今日は一緒にいたい』って言うのは私の我が儘なのかな。



「俺だって…同じだ。美奏のキスは俺の理性を簡単に吹っ飛ばすからな」

ニヤリと笑う表情に問いかける。


「…じゃあ、今日はもうキスはしてくれないですか?」

左之さんは私の言葉に眉を上げて、一つ息を吐いた。


「…お前、可愛いにも程があるだろ」


舞い降りてきたキスはすぐに二人を煽る熱に変わる。


絡ませる舌で混ぜられた二人の想いをコクリと飲み込む。


名残惜しそうに離された唇と交わった視線。



「あー…、やべぇ」

左之さんは私を抱き寄せ、首元に顔を埋めた。


「…」

私は何か伝えたかったけど、上手く言葉に出来なくて、左之さんのコートをぎゅっと握った。



「…週末、何か予定入ってるか?」


「空いてます…」


「金曜、仕事終わってから店に来てくれるか?」


「…はい」


「泊まる用意してきてくんねぇか?…寝かせるつもりねぇから」


耳元で囁かれた言葉とペロッと舐められた耳縁にビクンと身体が震えてしまう。


ニヤリと笑って離される二人の身体。



「じゃあ…行くわ」


「はい。…あの…えっと…上手く言えないんですけど…、これから宜しくお願いします」

私は左之さんに向かい改まって頭を下げた。


「ああ…。大事にする。美奏、付き合うんだから敬語禁止な?」

優しく笑って、頭をぽんと優しく撫でる。


「…うん」

私もその笑顔につられるように笑みを零した。



「じゃあおやすみ」


「おやすみなさい…」



私はマンションのエレベータに向かって歩き出す。



『金曜になれば左之さんに会えるんだし、それまで頑張ろ』

なんて思いながらエレベータに乗り込んで、振り返って左之さんに笑顔で手を振る。


手を軽く上げる彼。


いつもはドアが閉まるまで彼を見てる私だけど、今日は自分の部屋がある6階を押す。

そのまま壁に背を預けて天井を見上げて、息を一つ吐いた。



ドアが閉まっていくのと同時に聞こえてきた足音。


そして再び開かれたドア。


身体を滑らせてきたのは勿論、左之さんで。



私が目を見開いていると、押された『閉じる』のボタン。



「わりぃ。やっぱ金曜まで我慢出来ねぇ」


その言葉に『私も』と応えようとしたけれど、唇を塞がれ、その言葉を零すことも出来なかった。





その後、左之さんの宣言通り、夜明け近くまで私たちが眠ることはなく、

互いの想いと熱で身体を溶かしあった。






私たちの甘い時間は始まったばかり。











~ fin ~