第1話はこちらから → ★
現パロ。
隊士?たちは美容師さん設定です。
キャラ崩壊あり。
それでも宜しければどうぞ。
バレンタイン前日、仕事を早めに終わらせてチョコを作った。
総司さんと平助さんにはプラリネのショコラ。
左之さんにはザッハトルテ。
深夜までかかってしまったけど、多分美味しい…はず。
そしてバレンタイン当日。
少し寝坊して慌てて家から出る。
会社に持っていこうかと思ったけど、休憩室は結構暑いし溶けても嫌だから、家に置いておいた。
神様は優しくない。
早く帰りたい日に限って面倒な仕事が舞い込んでくる。
私は早く仕事を終わらせたくて文字通り『必死』だった。
未芙柚には「美奏さん、顔が怖いんですけど…」って言われたけど。
何とか仕事を終わらせたけど…。
『駅に着いて、家に取りに行って、店に行ってたら閉店ギリギリかも…』
駅に着いたら早歩き。
家に着いて、着替えずにチョコをバッグに入れて姿見だけ覗いて、また家を出た。
中のチョコをずらさないように気をつけながら、早歩き。
この時の私は今日という日のことをあまり深く考えてなかった。
何かを伝えることじゃなく、
ただ、彼に会いたかった。
一目だけでも会いたくて。
店の前に着いたころにはもう息が切れていた。
一階はもう室内も暗くなっていて。
二階に上がっていくと…。
中の電気はついてたけど、ブラインドは下ろされていた。
『あ…。どうしよ…』
息を整えながら考えていると、近づいてくる人影が見えた。
ブラインドを少し下げた指。
中からドアが開けられた。
「やっぱ美奏か」
笑顔で迎えてくれた左之さん。
その笑顔を見ただけで、胸がきゅっと締め付けられる。
「入れよ、寒かっただろ」
「はい、ありがとうございます」
開けてくれたドアに身体を滑らせて、笑顔でお礼を言う。
「お!美奏じゃん!」
「いらっしゃい、美奏ちゃん」
平助さんと総司さんが笑顔で迎えてくれる。
「良かった…。間に合ったんですね」
私は安堵の息を吐いた。
「平助が『美奏は絶対来るから待つ』ってうるさくてさ」
「う、うるせぇよ!欲しいって言ったのにいなかったら感じわりぃじゃん!」
総司さんが片眉を上げて平助さんを見れば、平助さんは頬を少し赤らめて応える。
「皆さん、いてくれて良かったです」
二人のやりとりに笑みが零れる。
「あ、美奏ちゃんごめんね。僕たちこれから用事があるから、先に僕たちにくれるかな?」
「は、はい」
総司さんの言葉に慌ててバッグからチョコを取り出す。
「お口に合えばいいんですけど…」
「ん、きっと美味しいと思う。後でゆっくり頂くね。ありがとう。
美奏ちゃん、これからもよろしくね」
「?は、はい。これは平助さんの…」
何だか意味ありげな笑みを浮かべる総司さんを気にしつつも、平助さんにもチョコを渡す。
「あーりーがーとー!美奏!!俺、家まで我慢出来ないかも」
はしゃぎながらチョコを受け取ってくれて、素直にその反応が嬉しい。
「じゃあ、僕たち帰るから。またね、美奏ちゃん」
「へ?そう…なんですか」
「左之さんお疲れー。美奏、またなー。左之さんを宜しくー」
ドアを閉めた向こう側で、平助さんが『ぐぇ』って言ったのが聞こえた。
「…」
ドアの向こうを窺っていると、感じた視線。
慌てて、バッグから左之さんへのチョコを取り出す。
「あ…あの。これ、作りました」
「おぅ。ありがとな」
「美味しいか…わかんないですけど」
「いや、美味いだろ。ここで一緒に食べるか?」
「いえ、…お家で食べてください…」
「そか…」
何だか恥ずかしくてずっと俯いてしまった。
途切れた会話。
訪れてしまった沈黙。
『ダメだ、何にも考えられない』
顔が赤くなるばかりで、言葉が上手く出てこない。
『私は何が言いたいの?』
前のカレシと別れてまだ2ヶ月も経たないし…。
でも気付いた気持ちは隠せそうもない…。
「…帰る、か…」
「…は、はい」
左之さんがバックに入っていく。
その後姿を見ながら溜め息を吐いてしまった。
『…何、やってるんだろ』
何だか自分が情けなくなってきて、涙が浮かんできた。
「電気消すぞー」
その声に私は入り口の前に立つ。
パチンと消された電気。
ブラインド越しに微かに外からの光が入ってきて。
ぼんやりと浮かぶ室内。
カツカツと近づいてくる足音。
高鳴る胸の音と締めつけが、もう苦しい。
暗い中、うっすらと浮かんだその表情はやっぱり優しくて。
「お待たせ」
私にそっと笑って、ドアの取っ手を持つ。
思わず私は反対の腕を掴んだ。
少し驚いて見下ろす瞳を真っ直ぐ見つめて。
震える唇をぎゅっと食んで、小さく息を吸った。
「…好き、です」
想いを告げた唇は、唇で塞がれた。
予想もしてなかった私は目を見開いたまま、動けなかった。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
うん、終われなかったwww
みふゆ