5年ぶりに横浜の山下公園に係留されている氷川丸に行って来ました。7年15日に撮影。

 

あまり知られていませんが、現存する数少ないアール・デコの建造物として旧朝香宮邸(都庭園美術館と並ぶ一級品で、平成28年度に国重要文化財に指定されました。コロナ前は毎年のように行ってたのですが・・・。 

 

「氷川丸は、日本郵船が1930年(昭和5年)に竣工させた日本の12,000t級貨客船。戦前は主に北太平洋航路の豪華客船として就航し、戦中は病院船、戦後は復員船としても使われました。その後復帰して米国航路で1960年まで運航されました。」

 

今の外洋大型客船と比較すると小さいです。

 

しかし内部は豪華です。

まず、ひと目でこの船の華とも言うべきこの中央階段に魅了されてしまう。

 

手摺りの幾何学模様と大きなカーブが美しい。

 

内装はフランスのマーク・シモンのデザインによるもので、全て輸入されて日本で組み立てられもの。当時の日本の豪華客船はほとんどが英国デザインであったが、コンペでシモン商会が勝って採用となったそうだ。当時はアール・デコは流行の最先端だったとはいえ、今見ても斬新でモダンだ。

 

手摺り中央の丸模様は船名を頂いた大宮氷川神社の紋章をアレンジしたもの。アール・デコと和の見事なコラボレーション。

 

 

船中とは思えない豪華な一等食堂室。

 

アール・デコの見本のようなシンプルなチェストと時計。

 

一等サロン、くつろぎの空間。

 

 

扉のデザインもすばらしい。

 

こちらは一等喫煙室。天窓が美しい。

 

バー・カウンター

 

そしてVIP御用達の豪華な特別室の、こちらが寝室。

 

こちらがリビング・ルーム。

 

一等客室はコンパクトで快適そう。

 

昭和初期にはこのような豪華な外洋客船が続々と建造されたという。1922年・大正11年のワシントン軍縮条約によって軍艦の建造が制限され、そのリソースがこのような客船や震災復興の隅田川橋梁の建造に使われたのだ。戦前最後の平和な時代の象徴とも言える船ですね。

 

戦中の病院船時代には機雷に接触するも大事には至らず、よく生き残ったものだ。戦後はシアトル航路に復帰しフルブライト留学生など、その後の日本を支えることとなる多くの人々を運んだ。

 

歴史資料としてだけではなく、芸術的価値からも重要文化財の資格は充分。レトロ建築のお好きな方は是非見に行かれると良いですよ。アール・デコの魅力を堪能できます。

 

レンズはフォクトレンダー UWH 12mm/F5.6とLeitz Summicron R50mm/F2、カメラはSony α7RM3。