法廷の居心地 | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 今月もなんだかんだ緊張する法廷が幾つかありました。東京地裁429号警備法廷の勾留理由開示公判、国賠訴訟の原告尋問、そして、無罪を争う事件の鑑定人尋問など・・・。

 いずれも緊張感の高い、そして十分な準備を要する密度の濃い法廷だったと思います。このような時間を法廷で過ごし、弁護士として力を尽くし、やり切ることは一つの喜びです。もちろん、満足し切ることはないし、また、その結果が出るのはもうちょっと先、ということにはなるのが通常です(勾留理由がある、と裁判官が言い切った事案ではその後全員釈放)。

 弁護士25年経っても、法廷は緊張するし、ドキドキします。それでも、この間、ふと、「ああ、ここが私の仕事場なんだなあ」と改めて思いました。

 法廷だけが弁護士の仕事の場所ではないですし、むしろ、法廷以外で解決すべき案件も多数あり、法廷というか、裁判所にもそもそも来ないというタイプの弁護士(スタイル)も増えていると思います。それは、それでいいでしょう。通常の事案であっても、法廷に持ち込むというのは、ある意味、あらゆる方法を尽くした後、ということも多いのです。

 それでも、やはり法廷というのは、弁護士の仕事の場ですし、サムライたる弁護「士」の戦いの場、真剣勝負の場、です。公開の舞台、オーディエンスが多い方が盛り上がるライブステージでもあります。

 結局は、裁判所=裁判官を説得する場なので、刑事事件でも公判検事と闘うというよりも、裁判官と闘うというか、向き合う、しかも、丁寧にではあっても、きっちりと裁判官に押し込む、というスタンスで向き合うことが大事だと思います。

 裁判官に気に入られよう、では、ダメということです。ある意味、裁判官の襟を掴んで、「ほらほら、こうでしょ?こうでしょ?よく見て、考えて!」(実際には掴みませんよ)みたいなスタンスが、裁判官の心証を正しく揺さぶるのではないか、というのが経験的な感想です。

 ともかく、法廷というステージは、私のようなタイプの弁護士にとっては、職場であり、戦場であり、舞台であり、最大のパーフォーマンス(能力)を発揮すべき場であることは間違いないと思います。
 
 法廷の居心地・・・というのもヘンな話かもしれませんが、「自分の場」と認識し、イニシアティブを裁判所と奪い合うくらいの意識は時に必要なのでは?と思います。なんだかんだいっても裁判官に任せる、のではなく、やはり裁判所という機関を利用する、という意味で「自分の場」にしてしまう、居心地のいい場にしてしまう、弁護士にとってマイコートにしてしまう、というのが目標かもしれません。

 結局は、この法廷での準備・集中・機転・瞬発力みたいな力を鍛えることで、法廷外の仕事にもいい影響が現れるだろうと思います。とりわけアウェイ感たっぷりの状態の法廷を「自分の場」に引き込むことは難しいけど重要な法廷技術であり、身につければ、あらゆる場面に応用できると思います。

 精進、精進!