EUはダメよ。ギリシャの人々と連帯! | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 なかなか庶民の景気は厳しいです。「株?俺、持ってないし。どうも俺の勤める会社の景気も悪そうだな。吹けば飛びそうな町工場だからな。輸出とか関係ないし。」
 ・・・なんて思っていたら、カネを貸します、支援します、という金融業者が現れました。「お困りですか?お困りですよね。借金もあるんでしょ?返済も滞っている?貸します、貸します、ウチは緊急支援の金貸しですから」ときて、社長はがっつりハートが掴まれた。そりゃ、そうだ、ともかくこんな会社にカネ貸してくれるんだもん♪ 
 「あ、ただね、社長、とりあえず、従業員、少し整理して給料は下げてください。厚生年金?無理無理、違法でもなんでもそんなカネあるなら返済に回してくださいよ。残業代なんてちゃんと出しているからダメなんだなあ。もっと厳しくやらないと。あと、会社のあの機械、結構価値あるからウチで引き取りますから。カネ貸す以上はそれくらい口だしますよ。それ条件ですからね」


 7月5日(日)、ギリシャで国民投票が行われ、EUの財政緊縮策に6割を超えるノーの意思表示がされました(反対が61.31%、賛成が38.69%。投票率は62.5%)。
なんだかマスコミの報道だけ見ていると、妙にEU側に肩を持ってギリシャがわがまま、みたいな感じがします。本当にそうなのでしょうか?

 そもそも、今、ギリシャに要求されている「緊縮策」というのはどういうものなのでしょう?
 まず、2010年にEUとIMFが総額1100億ユーロ、12年には1300ユーロの「支援」を「財政緊縮」を条件に行っています。しかし、その結果は、ギリシャのGDPは30%縮小し、若者の失業率は60%を超えたまま。まったく「支援」にはなっていません。「支援」のほとんどはドイツやフランスの銀行を含む債権者の返済にあてられ、ギリシャの国民には回っていないとのこと(ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツ)。

 結局は、ギリシャに対しカネを返済し続け、なんやかや公共部門をたたき売らせ(民営化)、カネだすから。いうこと聞けや、って話のようです。

「もうこれ以上耐えられない。この5年間の緊縮政策等により生活は疲弊した、こんな政策を続けるということは到底受け入れられない」というのが国民の投票結果に反映する本音、らしい。

 財政緊縮策に賛成するということは、さらに、もっと年金改革=つまり年金の支給開始年齢を引き上げることや、労働市場の自由化=つまり非正規を増やすこと、そして、さらなる民営化=つまり、ライフライン全般を外国資本の商売の道具にしつくしてしまう、ということなのです。
 こんなのもうやってられないぜ、だったらノーだ、というのが、ある意味、今、政府と国民の意思が最も一致している民主主義の見本、ギリシャの国民の声、なのでしょう。

 さて、私たちが考え、身になって考えるべきはギリシャの人々のポジションでしょう。EUというチームの意味はなんだか世界レベルの派閥のようなものですが、イギリスも国民投票で離れるかもしれない、という状況下で、妙に、国家主体の議論、発想ばかりでは、何かを見失うと思います。ほんと、これでは「第二インターナショナルの崩壊」的です。ナショナリズムから離れ、階級の視点に立ちましょう。

 私たちは、ギリシャの人々、南欧の人々、そしてEU各国の人々と連帯しましょう。どこの国でも99%の民衆は、厳しい状況に立たされているのです、程度の差はあっても、だれも、楽してはいません。世界中、労働市場の自由化=非正規化の攻撃に晒されているのです。

 ギリシャ国民の今回の国民投票での選択の意味を共有しましょう。あざとく我慢ばかり強いられ、挙句の果てに乗っ取られてしまいそうな会社とギリシャのどこが違うのでしょうか。ふざけんな!、これ以上、言いなりになるか!という我慢の限界に達している人々の立場に寄り添ってこそ、です。

 私たちは、国家でもないし、大資本でもないし、銀行でもないし、EUでもありません。EUにノーを叩きつけてみせたギリシャ国民のある種革命的な選択、その誇りこそ、今、世界中の、99%側の民衆共有すべきなのだと思います。