被害者参加制度とは、例えば、刑事裁判に被害者が被害感情等を述べる意見陳述の機会を与える、等という「被害者の権利」を拡大する制度で2008年12月から導入された制度です。
先日、私の担当した刑事事件=無罪を争う刑事事件でも「被害者の意見陳述」がなされました。
曰く、「被告人は、犯罪を犯したにも関わらず、裁判ではそれを否定しており許せない」というもの。そう言いたくなる気持ちはわかります・・・か?
しかし、これって不思議です。なぜなら、刑事裁判では判決まで「被害者」はいないことが明確だからです。ある意味、刑事裁判とは被告人が「犯人」ないし「加害者」であることを確定する手続きであり、裏返せば、同時に「被害者」であることを確定する手続きだということです。
であるにもかかわらず、その「被害者」が定まる前に、刑事裁判に「被害者」が現れるというのが被害者参加制度ということになります。
実際、先日の刑事裁判では、被害者が上記の意見陳述をした後、無罪の判決が下ったので、「被害者は被害者ではなかった」ということになりました(現在、検察控訴中ですが)。
そもそも、「被害者」は、刑事判決の前に、どうやって「被害者」になったのでしょうか?
そりゃ、警察と検察の「洗脳」でしょうね。他に考えられない。「アイツは、犯人のくせに否認しているんですよ」ということでしょう。
そのような捜査側の一方的な思い込みが、事前に持ち込まれるのが「被害者参加制度」ということであり、刑事裁判の否定というか破壊的な要素の導入だと思います。
権力というのは、このように「決めつけ」を押し付けるような制度を導入することに腐心しています。メディアや教育を使って、一方的に「被害者日本」とかね。気をつけましょう。
