「今春卒業予定の高校生の就職内定率は昨年12月末時点で、前年同期より3.5ポイント高い88.8%だったことが16日、文部科学省の調査で分かった。5年連続の上昇で、バブル崩壊前の1980年代後半以来の高水準となった。同省は「景気の回復傾向で求人が増え、希望者が順調に内定を得ている」と話している。」とのことです(時事通信2/16)。
さらに、GDPの実質成長率も2014年10月~12月は、プラス成長に転じた、とのこと(朝日2/17)。遂に景気回復か? アベノミクス成功?
内定率、つまり就職率が上がる、ということは、それだけ働きたい人が働ける環境になってきた、喜ばしいことではないか、とも考えられます。
但し、それだけでは、「どのような就職が増えたか」はわかりません。次の点を考慮に入れる必要があります。
「厚生労働省が四日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、二〇一四年の働く人一人当たりの給与総額(月平均)は31694円で、前年より0・8%増えた。ただ物価が大きく伸びたため、物価を考慮した実質賃金は2・5%減少した。
減少幅は、リーマン・ショックの影響で2・6%減った〇九年に次ぎ、過去二番目の大きさ。・・アベノミクスの効果が、働く人には十分及んでいないことが裏付けられた形だ。・・働く人に占めるパートの割合は29・79%で、過去最高を更新した。」(東京新聞2/4)
つまり、実質賃金が大幅に下がっている仕事への就職が拡大している、ということです。パート職が約30%に拡大、非正規職が2000万人を越え、平たく言えば「賃金奴隷が増加している」っていうこと!
GDPだって、個人消費は伸び悩み、せいぜい円安下の訪日外国人の買い物が増えた程度のよう。
ああ、内定率報道だけ見て、騙されるところだった・・・。ここは、喜ぶんじゃなくて、怒るところでしょ。文科省の発表と厚労省の発表、両方見ないと! まあ、政府は知っていて、わざと「景気回復キャンペーン」をやっているんでしょうけどね。マスコミもコメント垂れ流しにするんじゃなくて、きちんと「分析」して欲しいですね、99%側の視点で。無理か。私たちは日々の実感を大事にし、それを共有しましょう!
