かつて、警察の代用監獄ないし拘置所に接見に行く際のアドバイスとして「腕時計をチラチラ見るな」と言われたことがあります。そうアドバイスをしくてくれた弁護士は、自身も被疑者・被告人経験があり、弁護士が来たときに、そうされるのがツラかったとのこと。
接見禁止、つまり、弁護士以外との接見が禁止されている場合(それは、表向きは共犯者等への情報流通が理由とされますが)には、被疑者は、弁護士との接見を待ちわびています。そして、時間を気にされるのはツラいことなのです。
なので、身柄が取られている事件(被疑者=依頼者が勾留されている事件のことです。)を受任している間は、こちらも拘束されているような気分=常に呼ばれているような気分になります。実際、かつて東京拘置所と横浜の代用監獄の両方から接見希望の電報が来たこともあります。また、拘置所で自殺を図った被告人の「遺書」に「森川先生、先週接見に来てくれると待っていたのですが・・・」と書かれていたこともありました(結局、未遂で一命は取り留めたのですが)。
ということで、身柄の事件を受任しているというのは弁護士にとってもキビシいものです。当たり前ですが。
ましてや、接見禁止の状況下で、黙秘を貫いている被疑者は、弁護士としか話せません。
そのような場合、弁護士はともかく、何よりも、頻繁に会いに行くことなのです。それは、それで大変なんですけどね。
しかし、ギリギリの闘いになります。黙秘を貫く被疑者に対しては、警察官も検察官も「恫喝」で口を割らそうとします。心が折れそうになって当たり前、やっていないことだってやったと言ってしまう、そうやって虚偽の自白による冤罪が作られる現実性はまだまだあるのです。
ともかく、可能な限り、接見に行くのです。勾留請求取消、勾留理由開示公判、保釈など、いろいろありますが、まずは、会いに行かないと、と思うのです。用事なんてなくても会いに行くのです。
