カーティス・メーフィールドの『There,s no place like a America today』。アメリカンドリームの幻想と配給にならぶ人々の現実を描写したアルバム・ジャケットも印象的ですが、このアルバムが一番好きというミュージシャンも多いです。また、カーティス自身も気に入っているようです。
ということで、音楽的にも素晴らしいし、そのような評価がよくされているのですが、はっきり言って、それでは、カーティスの伝えたいことは伝わってないのでは?と思います。
たしかにカーティスメーフィールドの声、その抑え込んで選ばれたサウンドは素晴らしいのですが、カーティスは徹底して自由に政治から宗教まで具体的なメッセージを発しています。
無理して働いても満たされない
また新しい税金ができる
いろんな変化が僕の生活に出入りするけれど
誰もが犠牲になるとしたら
一体誰がどうやって生き残るのか(from 「when seasons change」)
などと歌詞は、シビアな苦悩に満ちていて、ジャケット通りの人々の生活の厳しさ、そしてほのかな希望をカーティスのファルセットで歌われています。
40年前のアルバムですが、その内容は極めて今日的です。静かに、美しく現実を暴露し、希望を与える音楽です。
ボブマリーや、ジョンレノンなど、普遍的でかつ露骨に政治的な歌詞を歌っている素晴らしいミュージシャンがいます(いました)。言語の壁というのは確かにあるのですけれど、彼らは何を伝えたかったのか、この素晴らしい音楽で、と思います。その伝えたい「中身」に反応したいと思うのです。
