退去強制手続「口頭審理」 あきらめない仕事
昨日、品川の東京入国管理局で、退去強制手続きの「口頭審理」に立会いました。「偽装結婚」が摘発された外国人女性の代理人としての立会いで、その女性の「婚約者(日本人男性)」と一緒にです。
刑事法廷がテレビでも報道された「偽装結婚」事案であり、つまりは、国家の重要な職務である入国管理業務を騙して不法・不当に在留に関する地位を手に入れたというものですから、在留資格を取消し、国外退去を求める国家の意思は極めて強い範疇に属する事案ということになります。
ということで、かなり絶望的な状況下においての在留特別許可の追求であり、仮放免申請ということではあります。
しかし、いかなる場合も求めなければ、そこで終わり。The end。なので、「絶対無理」って言われようが、なんだろうか、トライするときはするのが弁護士の仕事です。
今回の依頼は、「偽装結婚」の後に知り合い、本当に結婚しようと決めた男性からの依頼です。
つまり、偽装結婚による結婚が手続的に無効となった後には、本当に結婚しようという事案です。なかなか信じてもらえないのも仕方ありません。
ともかく、私は彼らの結婚の意思と愛情を心底信じ、やれることは全てやろうということにしました。「確率」は関係ありません。
弁護士は、刑事事件でも行政事件でも確率論でいえば1000分の1以下しかうまくいかない事案でも挑戦するときは挑戦します。そして、難しいと思いながら初めて、しかし、追求している最中は成功をイメージし、心の底から「その気」になってトライします、一種の「狂気」に気持ちを持っていきます。
退去強制手続きの立会いは初めてで、いわゆる「調書」に署名捺印するのも初めてでした。立会いの前には、署名拒否も考えていました。
しかし、少なくとも担当審査官には、彼ら二人の真意は伝わり、審査官の心は動かし、結果、極めて満足のいく調書を作成してくれました。それは、ある意味感動的でした。
もちろん、判断するのは、審査官の上の機関なので結果は期待できません。ただ、真意が伝わり、それを理解した、ということがその場の全員に共有出来たということを「獲得」と理解しようと思います。
ともかく、あきらめずに、真意を伝えること。これは出来そうで出来ないことです。やりましょう!
