「内部被曝」を直視しよう (本日、日弁連総会での発言骨子) | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

ブログの説明を入力します。

 日弁連の今回の原発反対の決議は昨年の人権大会の線に沿うものであり、速やかに全原発の廃止を求めるものなので反対はしません。しかし、議論が足りない。3.11直後の2011年5月の定期総会(*宇都宮会長時代)では、直後にも関わらず「段階的に」とか「10年内に」廃止としか決議していなかったのを、私たちの議論でここまで、押し込んできたのだから、議論は必要です。

 村越会長も触れていましたが、私も3年前、2013年の5月、仙台、石巻、女川を地元の労働組合の方にカンパと煙草をもって廻りました。そして、3.11の日には、毎年、福島や郡山で原発反対の集会とデモに、私たち弁護士の有志も毎年、参加しています。

 会長は、「帰還が進まない」などと言っていましたが、私たちは、帰還を強制する立場に立ってはいけない。
 4月1日に帰還解禁とされた田村市には、90万円を早期帰還には支払うと強制しても全所帯の1割しか帰還していない。それは、当たり前です。原発事故は何も収束していないからです。
 福島県では検査を行った28万7千人のうち、89人が甲状腺がんやその疑いがあると診断されているのです(5/19)。33人の子どもたちは、既に摘出手術まで受けているのです。
 だからこそ、安倍首相が漫画「美味しんぼ」に対し「根拠のない風評に対しては国として全力を挙げて対応する必要がある」(5/17)などとして、必死に隠そうとしているのです。「根拠のない風評」という根拠はあるのか?!

 「帰還強制」も、この「なかったこと」を実現するための手段です。この帰還を加速させるために、JRは常磐線を福島第一原発から20キロ圏内にある竜田駅まえ延伸しようとしています。これに対し、現場の労働者たち労働水戸がストライキに立ち上がりました。このストライキには、「放射能の地域に電車を走らせるのはおかしい」と地元の人々の指示が集まっています。明日は、いわきで決起集会も開かれます。

 この期に及んで、再稼働と原発輸出で恐慌を乗り切ろうとする政府が、「なかったこと」にしたいのは、この福島の子どもたちの甲状腺がんや内部被曝の現実です。だからこそ、私たちはそこから目を背けずに福島の人々と手を携えて闘いましょう。