レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説の主人公フィリップ・マーロウの台詞「If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.」が訳されたもので、ニュアンスについては異論があるようですが、この訳が好きです。あ、もちろん、「弁護士は」というのはありませんけど。
この台詞、昔から好きだったので、私は弁護士になったときの挨拶状にこの言葉を引用して、「タフで、優しい弁護士を目指します。」みたいなことを書いたと思います。1991年4月、南新宿法律事務所(現 TOKYO大樹法律事務所)に入所したのが弁護士デビュー。事務所の先輩である榎本信行弁護士も佐藤和利弁護士も亡くなってしまい寂しい限りですが、まあ、こんな新人挨拶でもオッケーという感じの懐の深さがよかったです。
弁護士というのはタフでなけれれば生きていけない、というのは20年以上経った実感で、本当、日々鍛えられるわけですけど、この「優しくなければ生きる資格がない」というのが特にいいと思います。資格がない、とまでと言い切っちゃう辺りがいいですよね。
優しさ、というのは、もちろん、難しいわけで、ある尊敬している先輩に「優しさなどというものは不要である」と言われたこともあります。その方自身、決して優しくないわけではなかったので、たぶん、私の「優しさ」が、「弱さ」や「甘さ」に感じたからかもしれません。
仕事で求められるのは、優しさではなく、勝つこと・達成することですからね。
それでもね、なんというか「優しい」ってことはやはり価値がある、と思うのです。もちろん、「煮え湯」を飲まされたり、裏切られたりで、綺麗ごとではすまないのが現実で、「もう我慢出来ないっ!」とイラっとすることは・・・・あります。
だけど・・・私は「優しい」をめざそう、「優しい人」になろうと、何度も何度も思い返します。タフな優しさを。単に「ビジネス」ではなく「解決」することをめざす弁護士にとっては、やはり「優しさが資格」なのだと思うのです。
