「バーチャル通貨の登場は、貨幣の発行がもはや国家の独占行為ではなくなったことを明らかにした。貨幣は企業や自治体、NGO、さらにはテロリスト集団でも発行できるようになったのだ。通貨は、他の商品同様、希少性のない『コモディティー(注 商品)』と化しつつある。この新しい通貨を規制しなければ最悪の事態になるのは間違いない」とジャック・アタリが最新刊で指摘していましたが、昨日、マウント・ゴックス社でのビットコインの取引が停止になり、混乱が世界的に拡がっています。
貨幣、紙幣は、現実社会においても、いわば、紙や金属のコインに価値が化体されているという「フィクション」です。「価値への信用」と言い換えてもいいでしょうが、たかだか、製造コスト20円くらいの紙に1万円の価値があるという「信用」=フィクションで成り立っているわけです。
さらに、紙やコイン自体をもなく、フィクションをより純化させたのが、ビットコインのようなバーチャル貨幣ということでしょう。国家の信用(これ自体、フィクションですが)を背景にせず、規制も及ばない「自由な貨幣」。
被害が世界に拡がるようですが、ビットコインに関わっていない、預金を銀行に預けている私たちだって、「預けている」ことになっているというフィクションだけで安心しているのは同じです。今回のビットコイン取引停止は、資本主義というフィクション崩壊の警鐘かもしれません。
諸行無常・・・モノの価値、ということを改めて考えます。
