金融機関等のキャンペーンで煽られて、今年から始まったNISAを始めた人もいらっしゃると思いますが、いきなりの「世界同時株安」です。まあ、株の価格はどう変動するかわからないので、損が確定したわけではないでしょうが、いきなりの株安、しかも日本株が突出という状況は「想定内」なのでしょうか?
かつて、いわゆる「先物取引」の裁判をかなり担当した時期があります。「先物」に勧誘され、大きく損失を出した方を原告として会社に損害賠償請求をする訴訟です。
株と先物は違いますが(違うんでしょうね?)、元本割れのリスクがある点は同じで、裁判になれば、会社は、「いかにリスクを説明したか」という主張・立証にやっきになります。当然、パンフレットにもリスクの記載はあります。
しかし、勧誘しつつリスクを説明する、平たく言うと、人を強引に誘い込みながら、その危険性を従前にわからせる、というのは本質的にかなり困難。
なので、お年寄りだとか、かなり忙しく、いわゆる学歴も高くない方などは、リスクを理解出来る程度に説明を受けていない、よって会社側に損害賠償責任あり、となることは多いのですが、そうでないケースでは厳しいのが現実です。
マイケル・ムーア監督の『キャピタリズム』という映画で確かサブプライムローン関連の「金融工学商品」の説明をウォール街で求めるも、誰もまともに説明出来ない、という場面がありましたが、正直、私も、先物の裁判用に勉強をしても「先物取引」がわかった気はしませんでした。
というか、その「わからなさ」が「金融工学」の目的なのではないか、と思うほどでした。簡単にわからない、つまり、「リスクがわかりにくい商品」を作り出す、それを庶民にまでバラまくというのが狙いなんではないの?ということです。
NISAは、わかりやすい・・・のでしょうかね・・・。ともかく、銀行側は「世界同時株安ですか。でも、リスクはきちんと説明しました。株価は変動するものです。」と言うのでしょうねえ。5年(非課税期間)経てば、勧めてくれた「ご担当」もどちらにいるかはわかりません。
