『クーリエ』という雑誌にデイブ・エガーズが書いた『ザ・サークル』というアメリカの「ブラック企業」小説が掲載されています。短編なので、さっと読めるのですが、妙に生々しく、こんにちのネット社会的で、怖い小説です。『蟹工船』のような、肉体労働を暴力的に強要するアナログな「ブラック企業」ではなく、ソーシャル・ネットワークを用い、心理的に囲い込むデジタルな「ブラック企業」のあり方、というのが21世紀の最先端(!)の「ブラック企業」なのかもしれません。
そこで働く人(つまりは労働者)をして、内側からやる気満々にさせてしまう、というのは、ある種の洗脳でしょう。ジョージオーウェルの『1984年』を思い出させます。
そもそも、このBlogやFacebook、さらには、メールなど、私たちは既に、すっかりデジタルネットワークなしでは暮らせないほどの状況にあります。
「ネット断ち」を提唱している人も多く、私も時々、意図的にチャレンジしますが、日常的に仕事をしている限り、もはや無理なんだ、というのが実感です。
2003年に独立するまでは、携帯電話も持っていなかったのですが、10年ですっかり環境も変わったし、自分の生活も変わったのだと思います。
良い面もたくさんあります。昔の友達と30年ぶりに繋がったり、必要な連絡がスムーズに取れます。
一方確かに、良くないというか、危険な側面のあるでしょう。『ザ・サークル』では、結局は、プライバシーを含め、ネットを通じて徹底的に管理される社会(企業)が描かれていて、考えさせられます。
「道具」であるはずのパソコンや携帯電話に「支配」されないよう、自分という主体を確立する必要がありますね。走るというのは、瞑想的でもあり、アナログな行為でもあり、何か本能を目覚めさせるような気もするので、続けたいと思っています。
