「法曹有資格者」って誰だ? | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 政府の司法制度改革審議会というところで、「法曹有資格者の活動領域の拡大」という議論がされています。さて、この「法曹有資格者」とは、誰かと言えば「司法試験合格者を指し、必ずしも弁護士資格を取得している者に限定されない」とのこと。
 簡単に言うと、弁護士登録をしない「非・弁護士」。つまり、どんどん司法試験合格者を増やした上、弁護士ではない「非・弁護士」にも活動領域を拡大しましょう、って話です。
 これが、どういうことを招くのでしょうか。現在、およそ弁護士として活動している人は、必ず日弁連の会員です。バッジの裏には登録番号が記載されています。つまり、弁護士は、団体として政府から独立しており、弁護士の資格を奪えるのも弁護士会だけ、という完全な自治を戦後、獲得しているのです。何故でしょう?
 簡単に言えば、弁護士が依頼者の為に、きっちり闘うためには、権力と対決することが必要であり、そのためには、組織自体が権力から独立していることが必要だからです。
 そうでなければ、結局、国家管理の下に置かれてしまい、権力と闘うことは出来ないのです。

 ここまで、読まれればおわかりだと思いますが、「法曹有資格者」という構想は、「非・弁護士」に活動を認めることにより、このせっかく獲得した「弁護士自治」の解体をすることが目的なわけです。
 だって、弁護士登録すれば、毎月の会費も負担しなければならないし、会務も負担しなければならないのに、そうする必要がなければ、「じゃ、オレ、弁護士登録なしで♪」という人が増えるのは当然でしょ。究極的には、「弁護士である」ということを無意味化させることになると思います。それでは、ただの「法律サービス業」ですね。
 刑事弁護は「非・弁護士」は出来ないでしょう。だけど、刑事弁護は、基本的にお金にならないので、携わる弁護士は既にわずか。

 政府がやろうとしているのは、権力と闘う庶民の味方としての弁護士への攻撃なのです。
 業界の内輪の話のようでいて、社会全体に影響が及ぶ話です。何しろ、「構造改革」が狙っているのは、「国労」潰し、「旧社会党」潰し、そして「弁護士会」潰しですから。庶民のために闘う組織が権力は大嫌いなのです。注目して下さい。
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