大江健三郎さんというのは、頭から突っ込んで、はみ出しちゃう人、という印象です。初期のハチャメチャぶりが好きです。性的にも、政治的にも、ドンドン突っ込む・・・
発禁騒ぎに発展した、左翼青年が右翼青年として目覚めていく『セヴンティーン』で右翼に命まで狙われるのは当然だったでしょうし、『われらの時代』も十代のバンドマンが天皇爆破計画で手榴弾を汚物入れに落として失敗する、っていう話です。私の一番好きな『日常生活の冒険』も幼なじみである伊丹十三さんをモデルにした小説で、核で死ぬ運命という人類の日常からはみ出すんだという姿勢を持つ青年の破滅的な生き方を書いた若い作品でした。
まあ、大江さん自身、真面目で素直ってことだったのだと思います。サルトルの「文学は飢えた子の前で何が出来るのか」という問いにも正面から答えようとするなど、その姿勢の一環でしょう。
その後、光さんが障害を持って生まれてからは『個人的な体験』という作品を始め、がらっと作品の方向性も変わったりしているのも素直さの現れだと思います。
そんな大江さんが、2011.3.11以降、原発反対で立ち上がったのは、やはり『広島ノート』という原点からあるからでしょうし、核に対する根底的な嫌悪の現れだと思います。
もちろん、政治的にしっかり一貫しているわけではないし、人間的な弱さをも露出的に著す人ですが、その弱さがまた、惹き付けるのだと思います。
あんまり立場とかを考えない行動・発言を続けてほしいですね。
新しい本が出ていました、これから読みます。
