善かれ、と一所懸命になってやることが、悪いことを生み出す、維持する、補完する、そういうことがあるよ、ということだと思います。自分はどうだろうか、自分の仕事(行い)は地獄への道につながっていないか」と問いかけられているような気がします。特に、この時代。
伊坂幸太郎の『モダン・タイムス』という小説もそういう仕組みをテーマにしたものだったと思います。誰も悪い人格がいるわけではないような・・システムの存在・・・
私が、同様のことを強く感じたのは、新宿のホームレスのみんなと一緒に地下道のバリケードの中から排除されたときでした。この時も、メディアの記者たちは、ずっと見て、記録していたのです。「それが仕事だから」です。
「それが仕事だから」。記者は現場を見ることが「仕事だから」。弁護士は、依頼者を助けるのが「仕事だから」。自衛隊員は国を守るのが「仕事だから」。
仕事のためには、目の前で行われている不正を放置し、黒を白と主張し、暴力を行使する。それが「常識」だし、職業的な「善意」ということでしょう。
いや、そんなことはない、間違った事はしない。そういえる、できるでしょうか?
「仕事だから」から、「はみ出せるか」。
この時代の私たちの大事なテーマだと思います。
