オリンピックの招致が決定した都市では、ホームレスが「公共」空間から排除されるそうです。目障り、ということでしょうか。
そもそも、ホームレスという位なので、「プライベート」なホーム=家・居場所がない以上、いわゆる「公共」の場所に避難せざるを得ません。それが、新宿の地下道であったり、公園だったり、川岸だったりするわけです。
ホームレス状態にあることが望ましいとは思えません。誰もが居場所は欲しいのは当然です。私は、90年代半ば新宿の地下道のホームレス状態の皆さんと関わりましたが、好き好んで、寒空の下で人が側を通る中、そこで暮らし続けたい人がいるわけではありません。あくまでも一時的な「避難」なのです。
しかし、やむなく「避難」しているホームレス状態の人々をさらに排除するとはどういうことか。目の付く場所からは強制的に立ち退かせる、ということです。青島都知事が97年頃行いました。
もちろん、根本的に「ホームレス問題」という設定自体、難しいところがあると思います。ホームレスである権利、なのか、ホームレスから脱出する権利・支援の問題なのか。そんなことを考えたことがあります。
さらに言えば、解決とはどういうことか、ホームレスがいない世界を求めるのか、いることが許される世界を求めるのか。
本人の選択、というのが一つの回答だとは思います。選択出来る状態にする、というか。
しかし、そういう意味では、どれくらいの人が住居を自由に選択出来る状態にあるのでしょう? とりわけ、最近は。非正規化などでホームレス予備軍は増えています。
一方、空き家は増加しており、この45年間で約15倍とのこと。
ホームレスから脱出したい人もいるが、空き家も増えている。そして、それは解決に結びつかない。何故か? 不動産は私有財産だからです。空き家に勝手に住めば建造物侵入罪。もっとも、フランスでは、住居権を求めた運動として「建物占拠」した事案で最高裁が無罪とした事案があるということです。
屋根のあるところで暮らしたい人も居る、一方空き家も増えている。この矛盾。
オリンピックがをやるからといって、ただ、目の前から見えなくすれば、解決するわけではありませんよね。
