「黒字の消防署」 民営化の行き着く先は | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 この夏、読んだ「グローバリゼーション」を扱った本の中で、印象に残ったフレーズがありました。「黒字の消防署ってありえないでしょ」というものです。
 これは、つまり、みんなにとって大事という意味で「公共的な」仕事というのは、本質的に「商売」つまり「民営化」させるのはおかしいでしょ!という指摘です。丸の内地区はもう何十年も火事がないようですが、そうすると丸の内消防署は消防員の人件費だけで赤字になっちゃう、だから、破産・・ということは変でしょ、ありえないでしょ、というわかりやすい「たとえ」だと思います。

 民営化という訳語の響きが、わざとでしょうが、何か「官→民」、「官僚支配から民衆のものへ」的な印象を与えるため誤解されている(いや、私もかつてはそう思っていましたが)のですが、実際は、「私企業化」ないしは「大資本による私物化」が正しい訳語だと思います。
 全部、大資本が仕切る「商売」「商品」にしてしまおう、ってことです。公共的なものまで。
 今や渋谷の宮下公園は「ナイキパーク」、渋谷公会堂は「CCレモンホール」だし、東京の水道は既に民営化が始まっています。救急車も民間のものも走ってます。この勢いだと、パトカーや消防車も時間の問題・・・もうすぐ「空気」も民営化されたりして、なんて思います。アメリカでは「医療保険」は民営化してますから、盲腸で300万円位。パトカーもお金がないと来なくなるのでしょうか。

 生きていく為に最低限必要な公共的なもの=みんなのモノ、ってやはりあると思うのですが、これが全部、「商品」になり代金が必要になると貧乏人は生きていけません。
 さらに、今般のJR北海道の問題でも明らかなように、「民営化」し「企業化」した鉄道は、「経営問題」が生じます。つまり、黒字であることが求められる、ということです。

 デトロイト市は、破産宣告しました。救急車が3分の1しか稼働せず、街灯の約4割が点灯していないそうです。

 赤字でも生きてゆかなければならないし、子どもを育て行かなければなりません。時代と社会の構造の矛盾に根底から向き合わなければ、大変な社会になりそうです。
 まずは、「知ること」だと思います。私たちが生きている世界で何が起きているのか、その現実を知り、これをどうするか、だと思います。

          *写真はかつての新宿の電電公社(民営化前)団地の跡地
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