マツダデザインは・・・現行MAZDA3までがピークだったのかと思います。

MAZDA3以降は、変な曲線(面)を使うようになりました。特にAピラーから前(バルクヘッドから前)に。登場後、相当な時間が経過しているCX-5が(今回記事のCX-30よりも格段に車体寸法が大きい)、マツダの国内販売台数NO.1で居続ける理由は、あのデザインもその一つだと思うんですけどね。

(国内各社の普通車バリューゾーン寸法からマツダだけが外れている状態)

今のマツダデザインでは、次のフルモデルチェンジではどうなることか・・・

 

そんな心配になる形のCX-30が今回の主役です。

いわゆる「コンパクトSUV」の中に括られる・・・国内最激戦区にいるべき車両・・・のはずなのですが・・・

運転席に座ると、「大きな車をこれから操作するんだ」という感じになります。なぜか。

傾けられたフロントウインドシールドに対して、

このステアリングホイールの角度が示していますが、高い位置に着座させようとするドライビングポジション故なのか・・・

あるいは、

部品点数が多数のドアパネルとダッシュボードデザインで作り込まれている室内空間の意匠故なのか・・・

室内色がブラック基調というところが、「閉じられた空間」感を演出しているのかもしれません。

まあ・・・たぶん忘れられてしまったCX-3と比較すると(あちらはMAZDA2・・・旧デミオベース)ボディサイズそのものが大きいので、室内寸法そのものに不満はないです。

実際(マツダデザインとして毎回のことなのですが)、左後方の視界は、スバル車と比べるべくもないです。

荷室はゲート端までフラットです。

床面をめくるとこんな感じ

トヨタのこのクラスの車両群に比べると、ものすごくコストがかかっている感じの成形物で構成されています。

ジョグダイヤルがあるので・・・マツダコネクトですね。Naviの操作は諦めました。

このジョグダイヤルを見るたびに「マツダとしての道を作る・・・っていうよりは、Audiを追いかけているんだよな。きっと。」と思わされます。

メータ類は一時期に比べるとだいぶスッキリ見やすいデザインのものが装備されていました。

ただ、ホログラムシステムは・・・・

相変わらずの「デザイン優先」なんです。わかりますか?この写真。どこにスピード表示が出ているか。

Audiを追っかけている会社なのですが、同じドイツが主体で作られたスープラでの表示方法とは、雲泥の違いです。

正直、このホログラム表示、運転を開始してから数時間、わからなかったんですよ。その存在が。

(天気が悪くなってきて、フロントウインドシールドに何か数字が出ていることに気がついた。)

それと、外車も含めて、他ではできない表現をしているものがあります。このCX-30は。

 

 

わかりますか?

ウインカーがボワん・・・と消えていくんです。その動作表示が。

こんな車両、初めて乗りました。

 

ペダルは、他の日本車と比べても大きいです。いつも通り。

大きなペダルを操作して、運転を開始した瞬間に・・・「ああ・・・マツダ車だ・・・今日一日、気分良く過ごせる。」と思いました。

ステアリングホイールを操作するまでもない。

ごくごく僅かにペダル類を操作しただけで、感じるんです。

「自分の思った通りに動いてくれる車だ。自分の操作量を忠実に反映してくれる。」

 

マツダの車が好きです。

 

マツダの車だけです。

「どの車両、どの大きさの車であっても、今日一日、自分の操作量を忠実に反映してくれる。」

そう思わされる車を作っているのは。

「動き出しの滑らかさ」や「ステアリング操作に対しての反応遅れ時間」といったものではないです。

どう言葉にしたらいいのかわからない。

でも、

「今日、俺は、マツダの車に乗っている。」

そう思わされる動きがあります。どの車両も。

私は、目隠しをして運転席に座らされてもわかる自信があります。ステアリングホイールの各社ブランドマークをガムテープででも隠してくれていても。マツダ車だけは。

 

ただ、このCX-30は・・・

一番最初にこの車両のエンジンをかけた瞬間に思ったのは、「マツダ得意のディーゼル車?」と思いました。

 

明らかに直噴エンジン車の振動の仕方と音。

 

音がすごいんです。

すごくうるさい車。

 

なんだこれは?って思いました。「ディーゼル・・・の振動と音だけど・・・マツダのディーゼルってこんなにひどかったっけ?」

何度も何度も(少しは見やすくなった。)タコメータを見直して・・・いや・・・マツダディーゼルって、よく回るけど・・・いくらなんでもレッドゾーン6800rpmってことはないはず・・・これ・・・ガソリン車だよね???

 

そんな体験をしたので、実は、CX-30をいろいろな場所で指名して乗ってました。しばらく。

 

結論は・・・個体差。

 

個体差が大きいエンジンなんだと思います。車検証を見ると2000ccエンジンなんです。給油口は、レギューラーガソリン表示ですし。

スピードメータ脇にバッテリー・・・のような表記があるので、マイルドハイブリッド車・・・なのかもしれません。

日産のS-HYBRIDのように「明確に静かなマイルドハイブリッド」でもなかったので、正直、その辺りは全く感じられない機構なのですが。

 

エンジンの個体差を除けば、本当にいつも通り「自分が操作した量を忠実に表現してくれるマツダ車」そのものです。すごく気分がいいです。

ただ、この車両は、ものすごく電子制御が介入します。それもフロント側に。

コーナーでの大旋回中にデフ・・・いや、ブレーキ系統が積極的にホイールの動きに介入している感覚があります。

「多分、この車両、FF車だ。」

 

そう思って、リヤ周りを覗き込むと・・・

うん。そうだった。今どき流行りの「なんちゃってSUV」だった。リヤにドライブシャフトは、なかった。

 

マツダデザインは、明らかに岐路に立っていると思います。

車両のデザインというよりは、会社としての進行方向というか。

 

世の中が、電気自動車・・・本当にこのまま全力で普及するんだっけ?

 

という状況になった今、恐らく内燃機関(F1流にいうとICE)への開発投資に躊躇している会社は、世界中にたくさんあると思います。

 

マツダの独自性というのは、2つあって、(車両デザインに注力していることではない。)

・車両の操作感覚に非常に注意を払っていること

・内燃機関の開発に独自性がある。

この「内燃機関の開発」と商品化のところを活用すべきではないかと思っています。

 

みんな、マツダの内燃機関というと・・・ロータリー・・・って思い浮かぶかもしれないけど・・・

はるか昔には、ディーゼルのPWSシステム(みんな完全に忘れちゃっていると思うけど。)とか、ごくごく最近で言えば、ガソリンエンジンでの火花圧縮点火とか。

あるいは、ロータリーと組み合わせたEVとかね。

 

車両全体を作って販売するのは、「金がかかる。」んです。販売網が大きい会社に絶対勝てない。

 

私は、「内燃機関だけを販売するビジネス」をマツダの独自技術は持っていると思いますよ。そのポテンシャルを。

世界中の自動車メーカが「電気自動車・・・ホントに?」って思っている今こそね。