「ケアマネの正しい歩き方」 ~ケアマネタマゴに贈るケアマネ道!~ -77ページ目
ニーズ⑱⑲は、「社会交流」
のニーズです。
私は初めてこのニーズを聞いたとき、
あまりピンときませんでした。
「『社会交流』のニーズって、
いったい何なんだ」と。
でも、
何年もケアマネジャーをやってきて、
今ではとても大事なニーズだと
思っています。
まず、第一に
社会交流がない=行動範囲が狭い
ということは、体力の問題に直結します。
閉じこもり、やがて体力低下、
そして、寝たきりになっていきます。
体力低下とは、単に筋力が低下する
だけではありません。
心肺機能、その他の内蔵の機能も
低下させてしまいます。
また、脳の働きも低下していくでしょう。
閉じこもりで刺激のない生活では
脳を働かせる機会も減少します。
認知症のきっかけにもなるでしょう。
体だけの問題ではありません。
「社会とのかかわり」は
とても大事です。
このブログでも何度も言っている
テーマですが、
「人間は1人で生きているわけじゃない」
他人がいて初めて自分という存在を確認する、
ということです。
社会性がない、あるいは社会と自分とを
うまくつなげていないと、人間は
一気に安定さを欠いてしまいます。
このように「社会交流」の機会が
まったくない人に出会ったら、
「社会交流のニーズあり」と
判定します。
その目安ですが、私は
必要ラインは「2日に1回」、
週3~4回外出の機会がある
ということにしています。
そして、最低でも週2回と
考えています。
週1回以下では少ないです。
また、外出する先として
買い物は△です。
外出したとしても、他人と語らう、
ということが大事だと思うからです。
でも、買い物に行ったときに
知り合いに出会って世間話して…
ということなら○です。
集団での趣味や気の合う仲間と
会う機会があれば、ニーズなし
と考えて良いでしょう。
そうなると、デイサービスなどの
介護保険サービスでの交流
についても、○と考えます。
反対に、デイサービスに行っても
誰とも話さなかった、では×ですね。
今回のタイトルはニーズ
⑱⑲と2つにしていますが、
「⑱本人の社会交流」とともに
「⑲介護者の社会交流」にも
ニーズとしてあげられます。
24時間365日介護の日々では
介護者の生活の質はよくありません。
息抜きや愚痴を話す、といった時間を
社会交流によって確保することです。
家族関係のニーズが
発生する元になるのは、
高齢者が要介護状態になって
今までとは違う家族関係になって
しまったがために起こってくる
ものですので、
もともと悪い家族関係を
修復するような試みは
まず考えないほうが良いでしょう。
どんなに大変なケースでも
ケアマネジャーの力でどうにか
なることは、0ではないにしても
少ないでしょう。
また、
家族関係を考えるにあたり
別居している家族が
関係してくることも
まあまあ、あります。
言葉は悪いですけど
しゃしゃり出でくる人と
その反対(全く関わらない)の人
の2とおりがあるようです。
とくに家を出た女性が
嫁さんの介護をゴニョゴニョ
言うのは我慢なりません。
だから、いずれ私の娘たちには
そういうことをしないように
躾けておこうと思っています(笑)
こういった場合は
嫁さんの旦那さん、つまり
家を出た女性にとっては兄か弟に
そういう言動をたしなめてもらうか、
私がその人たちに対して
ご家族の頑張りをお伝えしています。
ふだん接していない外の人たちも
嫌がらせでやっているわけじゃなくて
その人なりに一生懸命やっているわけ
です。ただ、あんまり的を射ていることが
ないわけで、そのへんのミスマッチを
調整する気持ちでやっていきましょう。
介護に携わる家族に
悪い人はいない、という姿勢です。
バイスティックの言葉で言えば
「非審判的な態度」ですね。
では、もうひとつのタイプ、
全く関わらない人には
どうしましょう。たとえば、
日常の一場面でも
介護を手伝ってもらうように
働きかけますか。
私の経験上ですが、それは、
あまり得策ではありません。
いくら近くでも、住まいが別であり、
今まで介護してこなかった人は、
やはり今後もそうであり続ける
可能性が高いですから、
わざわざ負担を押しつけるようなことは
しないほうが良いでしょう。
してくれる人は、言わなくても
そうしてくれることが多いです。
無理すると、「施設に入れてしまえ」
という方向になる可能性もあります。
まあ、これらは私の経験値であって
要介護者と介護者とケアマネジャーとの
関係によっては、関わり方も全く違い、
もたらされる結果も違ったものに
なると思いますので、
すべて型どおり、鵜呑みに
しないでくださいね。
「過保護」のもうひとつの特別な例、
というのを上げておきましょう。
モニタリングで自宅を訪問し、
姑(要介護者)と嫁(介護者)のふたりと
同時に会っているときに姑が言いました。
この姑は口を開くと、嫁の自慢話をします。
「本当に良くしてくれる嫁で」。
これです。
頭に「?」が浮かんでいる人も多い
ことでしょう。
これは「嫁に聞こえるように」と
いうのがポイントです。
他人に向かって嫁を自慢するのを
嫁が聴いたらどう思うでしょう。
(少し手抜きしたいな)と思っても、
できなくなります。
他人様の目がありますから。
「他人様」を「サービス事業者」と
言い換えても良いでしょう。
デイサービスが迎えに行くと
いつも出かける準備は完璧です。
「本当に良くしてくれる嫁で」と
職員に姑は言いました。
職員も「良い嫁さんですね。
こんな嫁さん、今どきいませんよ」と
同調しようものなら、嫁としては
もっと手抜きできなくなります。
分かりやすい言葉で言うと、
これを「ほめ殺し」と言います。
どうでしょう、これが一見して
一生懸命介護をしている介護者の
本当は危険なところです。
こういう関係性にケアマネジャーは
アンテナを張っておくことが大切です。
こんなケースに出会ったら
私たちはどうすれば良いでしょうか。
家族関係のニーズの一番初めを
思い出してください、
「弱者に寄り添う」が解決策です。
この場合、もちろん嫁が弱者ですから
嫁の味方をすべきです。
本当のところはどうなのか、
徹底的に聴いて聴いて、
聴きまくる必要があります。
愚痴をこぼしてもらうことで
介護者のストレスが解消することも
ありますし、サービス事業者も
嫁のことを、ことあるごとにねぎらう
要介護者のほうをたしなめる、
といったことも必要でしょう。
とにかく、弱者の味方になって
孤立を防ぐ必要があります。
はじめに「特別な例」と書いたのは、
今や、こんな嫁は希少な世の中だからです。
「介護なんてしない」てなことを言う
嫁のほうが大多数かもしれません。
今や「イヤなものはイヤ」と、
はっきり言える人のほうが
圧倒的多数でしょう。そうでなくても
一人暮らしや高齢者世帯が増える中、
2世代同居の家族も少なくなっています。
ゆえに「家族関係」のニーズに出会うのも
以前と比べると少ないわけです。
ただ、0にはなりませんから、
気をつけておく必要は
今後もあり続けるでしょう。

