ウェディング司会者として、
キリスト教式や人前式で数多くの
新郎・新婦さんの様子を間近に見ている私。
式の進行の仕方は同じであっても、
本当に一組一組異なる雰囲気があるのも、
お手伝いをしている醍醐味だったりします。
先日、司会を担当した新婦さんのお父様。
3人姉妹の末っ子の新婦さんの結婚式が、
楽しみでもあり寂しくもあり。
自宅のリビングで、
お母様を新婦さんに見立てて
バージンロードを歩く練習も
していたんだそうです。
そんなお父様。
結婚式の2日前から
椎間板ヘルニアが悪化して、
腰に激痛が走り出しました。
「このままでは、結婚式に出席するのは
難しいかもしれない」
そんなこともよぎった新婦さん。
そして迎えた結婚式当日。
車いすに座り、痛みに顔をしかめる
お父様の姿が会場にありました。
私をはじめ、スタッフの誰しもが
「お父様がバージンロードを歩くのは
無理だろう」と、思っていました。
新婦さん自身も、
痛いのを無理してこうして来てくれたこと、
ウェディングドレス姿を見てもらえただけで
十分だという話をお父様にされていました。
しぶしぶ、バージンロードを歩くことを
断念されたお父様に代わり、
お母様が新婦さんとバージンロードを歩く
ことになりました。
挙式が始まり、新婦さんの入場時に
チャペルの扉が開くと・・・
そこには、お父様の姿が。
チャペル内で、
挙式の進行アナウンスをしていた私は、
何事もなかったかのように立っている
お父様の姿にビックリでした。
お母様からベールダウンをしてもらい、
お父様と新婦さんは一歩一歩をかみしめるように
ゆっくりとバージンロードを歩かれました。
ほんの数分前まで痛みに顔をゆがめ、
車いすに乗っているだけでも
やっとだったお父様が歩いている!
後でお母様に聞いたところ、
お父様は必死すぎて
バージンロードを歩いた記憶は
おぼろげにしかないとのことでした。
普通に考えたら、
新婦さんをエスコートしながら
歩くのは相当しんどかったはずなんです。
でも、大切な娘との約束を果たすためにと、
必死の思いでバージンロードを歩かれたお父様。
結局、挙式の後はあまりの激痛に耐えかねて、
披露宴には出席せず病院へ直行されました。
想いを必死に行動に移そうとされた
お父様の姿。
今でも、この時のバージンロードでの
光景を思い出すと涙が出てきちゃいます。
本当に結婚式当日は、
リアルドキュメンタリーとばかりに
色々なことが起こり、
そこから関わる方の愛や想いを垣間見させて
もらっています。
ということで今日は、
忘れられないバージンロードの話を
綴ってみました。
本日も結びまでお読みいただき
ありがとうございます。