【結婚式は予期せぬことにあふれてる】
と題して、 私が実際に遭遇した
様々なハプニングをご紹介してきました。
今日は、今思い出しても
いい意味で胸が締め付けられる、
素敵な予期せぬことをご紹介しますね。
《言葉を越えたバージンロード》
私がウェディングプランナーとしても
関わらせていただいた、ある新婦さん。
一人っ子なのですが、
5年前にお母様をなくされていました。
お父様は病気で10年前から
施設に入所されており、
今では寝たきりの生活を送っています。
数年前までは、何とか言葉を発する
ことができたらしいのですが、
今はほぼ話ができない状態とのこと。
新婦さん、
お父様の身体の負担も考えると
結婚式に出席してもらうのは
かなり難しいと思っていたそうです。
でも実際にお父様に聞いてみたら、
何度も首を縦に振って
結婚式に出席する意思を示して
くれたと、新婦さんが嬉しそうに
話してくれたんです。
そこで私や関わるスタッフが
協力をして、
お父様が会場で少しでも無理なく
快適にひとときを過ごせるように、
できうる限りのありとあらゆる
準備を整えました。
そして迎えた結婚式当日。
支度の整った新婦さんと
対面したお父様。
その直後、
同行している介護スタッフさんに
必死で何かを訴え始めました。
スタッフさんも
「喉が渇きましたか？」
「どこか痛いところがありますか？」
思いつく限りの確認をしますが、
お父様の訴えはわからぬままです。
その様子を察した新婦さんが、
おもむろにこんなことを
話してくれました。
『私が結婚式に来れるか父に
聞きに行ったときに、
「バージンロードは叔父さんと
歩くから、見守ってくれるだけで
いいからね」
って伝えたんです。
そしたら今のように何かずっと
訴えていて・・・。
もしかしたら、私と一緒に
バージンロードを歩きたいと
訴えているのかもしれません』
新婦さんがそのことを聞くと、
お父様は大きく頷きました。
その様子を見ていた
お父様の代わりに新婦さんと
バージンロードを歩く予定の叔父様が、
『きっと彼なりに、
結婚する娘にできることを
必死に訴えています。
車いすは私が押しますので、
一緒に歩かせてやってください。』
そう話されました。
その場にいた
介護スタッフさんをはじめ、
新婦さんの親族、
そして私たち会場のスタッフも、
お父様の想いが汲み取れて
ホッとしたのと同時に涙が溢れました。
いよいよ挙式。
チャペルへ新郎さんが入場したあと、
叔父様の押す車いすに乗ったお父様と
新婦さんがバージンロードを
進まれました。
チャペルに進むその後ろ姿を
眺めながら、
言葉を越えたお父様の強い思いに
涙が溢れて止まりませんでした。
挙式後、新婦さんから
『思いがけず父とバージンロードを
歩くことができて本当によかったです。
でも・・・
式の直前に色々段取りと違うことを
お願いすることになってすみません。
スタッフの皆さんが父の想いを
くんでくれて、短時間で準備を
してくれたおかげです。
本当に本当にありがとうございます。』
こんな風におっしゃってくれました。
お父様の言葉を越えた想いを、
微力ながら叶えてあげることができた
忘れられない《予期せぬこと》でした。
結婚式は、新郎・新婦さんはもとより、
そこに集う人たちの様々な想いが
交錯する幸せな空間です。
大小様々な筋書きのないドラマの
ような話を目の当たりにする、
本当に素敵な仕事に関わらせて
もらえてることに、
あらためて幸せを感じています。
またの機会にこのブログで、
結婚式で起こった予期せぬことを
ご紹介しますね。
本日も結びまでお読みいただいて
ありがとうございます。
