カルタひとセットあたり73まいずつ 73まい/セット
なっとうひとパックあたり3カップずつ 3カップ/パック
トランプひとセットあたりカード54まい 54まい/セット
ふがしは,ひとふくろあたり10本ずつ 10本/ふくろ
せんぷうきの羽は,一台あたり4まいずつ 4まい/台
ヤクルトは,ひとパックあたり12本ずつ 12本/パック
あなごのおすしは,ひとさらあたり2こずつ 2こ/さら
ウィンナーは,ひとふくろあたり5本ずつ 5本/ふくろ
おんせんまんじゅうは,ひとはこあたり18こずつ 18こ/はこ
自転車のブレーキは,一台あたり2つずつ 2つ/台
えんぴつは,ひとはこあたり12本ずつ 12本/はこ
紙ざらは,ひとふくろあたり10まいずつ 10まい/ふくろ
おむすびのりは,ひとパックあたり50まいずつ 50まい/パック
カニの足は,いっぴきあたり8本ずつ 8本/ひき
トランプのダイヤは,ひとセットあたり13まいずつ 13まい/セット
ダンボールひとはこあたりお茶6本ずつ 6本/はこ
時計ひとつあたり大きいてん12こ 12こ/こ
ひとパックあたりみたらしだんご3本ずつ 3本/ずつ
ひとふくろあたりゼリー12こずつ 12こ/ふくろ
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35通りある。列挙すると圧巻である。
傍線を付したのは,分科会でコメントされたもので,2つは連続量で,子どもが測ったのではなく,商品に書かれていたもの。「そうめん」については,他の子どもから「スゲェー数えたのか」という反応と,「一つだけでなく他も数えて同じ数だったのか」という反応があったという。「数えたのは一つだが,他も同じぐらいだったからこれでいいと思う」という答に,「なら許してやる」ということになったよし。
このように,かけ算で「ぜんぶの数」を求める前に,3時間「1あたりの数」を教わるのである。
私が感じる疑問は,お菓子を縦横長方形に並べて,1列あたりの個数×列数,で全部の個数を求めるときは,1列を縦にとることも横にとることも容易だし自由だが,このように「1あたりの数」を探させると,それは,その物の固有の値のように思われないかということになる。密度や濃度や速度は,その物の「性質」を量(内包量)として数値化したものだが,対象が個数で数えられる物の場合は,並べ替えがいくらでも可能であるのに,「1あたりの数」をその物に付随させ固定化させる傾向になってまずいのではないか……というように言語化できたのは,今現在の話であるけれど。
当日は,こんなに「1あたりの数」にこだわって教えるのかとびっくりし,前半が終わった後の討論の時間には,「かけ算の順序の話とかみ合わせた質問がしにくいな,後半の「③かけ算九九」で九九表が出てくるから,ここで,かけられる数とかける数の交換にからめて質問するか」などと思っていた。
討論では,「一あたり探し」を家でさせるだけでなく,スーパーに行けば商品に「1あたり」と「いくら分」が書いてあるものがたくさん見つかるという提案もあった。また,累加とかけ算をどう区別して教えたら良いのかという若い先生の質問もあり,報告者の福田さんも,この段階のかけ算は整数だから区別は難しいですよね,と答えたら,会場から,「たし算は同種の量を足すことであり,かけ算は異種の量を掛けるから,明らかに違う」という「原理主義的」な反論があったりした(後でも登場するのでA氏とする)。
そんなやりとりが15分ほどあって,後半に移ろうとするところで,司会者が,「先日,朝日新聞で「かけ算の順序」の記事が出ましたが,何か思われたことはありますか」と振ってきた。誰が何を言うかと一呼吸置いて待ったが発言者はなく,司会者も,「順序が違うからといって×にして済ませるのではなく,1あたり数を子どもが理解しているかを確認することが必要」というようなことを述べて流れそうになったので,手を挙げて発言を求めて,30分間に及ぶ論戦が始まった。