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遠山啓さんや森毅さん,銀林浩さんの本を愛読し(勉強し),カクレスーキョーキョーを自認していたが,数教協の集まりに行ったことも会員になったこともなかった。
去年の暮(12月25日)に,数教協の現委員長の小林道正さんが『数とは何か?』(ベレ出版)を出され,その中で,
「「かけ算の順序」について,「(1当たり量)×(いくつ分)」にしなければならないかを,子どもたちにいかに教えたかという小学校教師の奮闘記が新聞で紹介されたことがあるが,そんな先生の苦労を解放してやらなければならない。「意味のないこと」「無駄なこと」「間違ったこと」を一生懸命教える先生がいなくなることを願うばかりである。」(46~47頁)
と書かれているのを知った。
数教協の今までの主張(たとえば「数学教室」2009年1月号に載った秋田敏文さんの「かけわり図の授業を創ろう」など)を真っ向から否定するものであり,それについて数教協内でどういう議論になっているのかを知りたいと思った。
研究集会は,午前中に6つの公開授業と授業検討会,午後に6つの分科会(授業実践の報告と討論)があった。私は午後の分科会の1つに参加した。
小学校低学年「かけ算をどう教えるか~導入と展開~」という分科会で,報告者は福田純一さん。レジメは,『かけ算とわり算 (子どもを賢くする―よくわかる算数の授業)』(銀林浩など編,日本評論社,2011年)のご自分が執筆された章「2けた×1けたのかけ算も理解できる九九の学び方」(35~56頁)だった。
参加者は20名ほどで,多分私以外は全員小学校の先生で,数教協のベテランの先生が経験の浅い先生に数教協の教え方を伝達するというのが1つの目的のようだった。
タイル図とか,かけわり図とか,数教協独特の教具や用語が出てきて,司会者が「お分かりですか」と確認していた。
数教協の教え方は,50数年の歴史の中で当然変遷しており,現状は次のようだったのが,私にも参考になり,新鮮だった。
「1あたり量」は「1あたり(の)数」と呼ぶようだ。少なくとも小2に教えるときは。
式では助数詞は必ず付けて名数とするようだ。3こ/はこ×4はこ=12こ。
福田さんのかけ算の授業は,① 一あたり量の導入(引用者注:ここは「量」という用語だが,生徒には「数」を使っている)(第1~3時間目),②かけ算の意味,かけ算の式(第4~6時間目),③かけ算九九(第7~15時間目),という構成である。
分科会の前半1時間は,②にも触れつつ,①が中心だった。
「同じ数ずつあることを一あたりの数といいます」と教え,「一あたりの数の算数の記号」として「6本/ひき」を教える。「/」パーを付けて書かせるのだが,この「6本/ひき」を何と読むかは聞きそびれたというか,説明がなかった。「6本パーひき」と読ませるのだろうか?
授業で「一あたりの数」を教えた日の宿題が,家での「一あたり探し」であり,その結果が以下である。
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車のタイヤは,いちだいあたり4本ずつ 4本/だい
ティーバッグひとはこあたり100個ずつ 100こ/はこ
ニンジンは,ひとパックあたり5本ずつ 5本/パック
クレヨンは,ひとはこに16本ずつ 16本/はこ
のどあめは,ひとふくろあたり20こずつ 20こ/ふくろ
イカの足は,いっぴきあたり10本ずつ 10本/ひき
牛乳は,ひとパックあたり1リットルずつ 1L/パック
ピアノのけんばん一台あたり53こずつ 53こ/台
ペットボトルひとはこあたり6本ずつ 6本/はこ
サンマは,ひとパックあたり3びきずつ 3ひき/パック
コロッケは,ひとふくろあたり6こずつ 6こ/ふくろ
クッキーは,ひとパックあたり24まいずつ 24まい/パック
ホットレモンは,一本あたり2リットルずつ 2L/本
アメリカの国きの星は,ひとつあたり50こずつ 50こ/まい
魚は,一さらあたり2ひきずつ 2ひき/さら
そうめんひとたばあたり455本 455本/たば