僕のメタル学習帳
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メタルの会サプライズ(第3章:混沌)

ということで、次の店に歩き始める2人。
さっき何故かキレられたので、俺は何事もなかったかのような会話に戻すことにした。

「今日のお店ってどんな雰囲気なんですか?」
「俺もよくわかんねーんだよ。うまく表現できないっていうかさ。」

…どんな店なんだよ…。

「でもそれはそれで楽しみですね。」
「トイレ行きてぇなぁ。」

…会話してくださいよ。

「コンビニとかあればトイレ借りれるんですけどね。この近くに無いかな。」
「さっきの店の店員、あれさー愛想悪すぎだよな!」

…会話をして欲しいんですが。

「ですよね~。もっと愛想がよくてもいいですよね~。」
「あのマネキンかっこよくね?部屋におきて~。」

…おい…。

「でも、ドラッギーな雰囲気ですよね?あのマネキン。」
「あははは!あはは!」

…なぜ笑うんだ…。


そして歩くこと0分、ある雑居ビルの下に俺達は着いた。

「このビルですか?」
「そうだよ。あ、俺トイレ行ってくるから、NG待ってて。そろそろ来る筈だから。」
「了解っすぅ。」

そして、MD氏がエレベータに乗った後、すかさず店のラインナップをチェックする俺。

2階のキャバレークラブ…ここは無いだろう。退職の話をするには不適切だ。
5階の焼肉屋…ここならお店の雰囲気が分からないなんて会話は無い筈だ。
7階のバンパイアカフェ…ここしかないな。


因みに俺はこのバンパイアカフェには過去にきたことがある。
ドラキュラ城をイメージした赤と黒を基調とした雰囲気の店で、一部グロなsomethingも飾られている店である。
しかし、退職の話をするのに、何故バンパイアカフェなんだ?


と考えているうちに、MD氏がエレベータから降りてきた。
そして、ほぼ同時に到着するNG氏。

「NGさん、ご無沙汰してます。」
「お~。」


…久々に会ったのにそんだけですか。まぁ慣れてますけども。

そしてエレベータに乗る我々。

「バンパイアカフェっすか?」
「そう。知ってる?」
「…えぇ、まぁ…。」
「知ってるの!?」

…狭い空間の中で声を荒げないでほしい。

「過去に一度だけ来たことがありまして…。」
「まじかよ~。そうなのかよあ~。」
「…すいません。」
「お前、今日誕生日だからな。」
「はい?」
「だから今日はお前の誕生日ってことにしておけよ。」
「…はい、分かりました。」


…俺は気付いた。今日は退職の話ではない。
明らかに今日は何か違うシナリオが設定されている。

こいつら…何を企んでいるんだ…。


(続く)

メタルの会サプライズ(第2章:荒天)

さて、13日の金曜日当日である。
俺は、朝から激しい腹痛に襲われていた。しかし休むわけにはいかない。
そりゃそうだ。今日あのMD氏が人生の分岐点に至った経緯を、涙ながらに俺に語ってくれるのだから。
おそらく彼はこの決断に至った経緯を熱く、そして僅かに暑苦しく俺に語ってくれるだろう。

どんな思いで退職を決意されたのだろうか。

もう、この会社でやり残したことはなく、ポジティブな気持ちで退職するのであれば、俺はMD氏を抱きしめるだけだ。勿論、俺は泣いている。彼も泣いている。この薄汚れた社会でこんな綺麗な涙があってもいいじゃないか。

しかし、彼がネガティブな理由で辞めていくのだとしたら、申し訳ないが俺はMD氏をぶん殴る。殴るというからには当然グーだ。一発殴って胸倉を掴み、
「MDさん!俺はあんたを見損なったぜ!」
と暴言を吐いてしまうかもしれない。その後はどうなるか想像もつかない。
しかし、自分にウソをついて生きていくのは「ギルティー(有罪)」だと俺は思う。

そんな妄想をしつつ腹痛との長き戦いを終え、俺はその日の業務を終了した。


そして、夕刻にMD氏と無事に合流。

そこで初めて聞いた話であるが、どうやらMD氏は今日のお店を予約しているらしく、それまではまだ時間があるとのこと…。
ということで、MD氏と俺はその時間まで飲むことにして銀座方面へ歩き始めた。

…休日出社の話…仕事が最近忙しい話…他愛のない会話が続く。
しかし、俺は全て知っている。
この会話がこれから始まる退職に至った話の序章に過ぎないことを…。

そんな話をしながら10分程歩き、俺とMD氏はベルギービール屋に入った。
無事ビールのオーダーを済ませ、再び会話が始まった。


「最近どうなの?」
「割と忙しいですね。バタバタしてまして。」
「そうだよな~。俺も大変でさ~。」
「ですよね。大変そうですもんね。」
「……………………。」
「……………………。」

会話としては0点である。
とりあえず沈黙を埋めるだけのこの会話。

まぁ、まだ酔っていないし、出だしはこんなものだろう。
ただ、具体的な固有名詞が一切無い会話というのは如何なものだろうか?

と思っていると、唐突にFacebookの話が始まった。
そして、Facebookの楽しさ、面倒臭さについて盛り上がり始める二人。

…あまり盛り上げてしまうと退職の話を言い出しにくくなるかな…。
後輩として120点の気遣いが出来る俺は話題を変えることにした。

「そういえば、この前の「メタルの会」ですが、出席できず申し訳ありませんでした。」
「お~、NNがいないからイマイチ盛り上がらなくてさ。」
「いや、僕が参加しても皆さんの会話についてけないですからね。」

  (中略)

「そういえば、最近はどういう音楽聴いてるの?」
「う~ん、メタルか分からないんですが、RAMMSTEINとか聴きますね。」
「はぁ!?それメタルじゃねぇか!」
「あ、やっぱりそうですよね。カッコよくないですか?」
「っていうかそれMMが大好きだぞ!いつから好きなんだよ!」
「…いや、結構前から…。」
「はぁ!?お前なんで言わねぇんだよ!」
「だってDokkenの話をしたらみんな笑ったじゃないですか!」
「Dokkenとは違うだろ!」
「いや、でもDokkenもメタルじゃないですか!」

「……………………。」
「……………………。」

突然声を荒らげる二人。
店の雰囲気もどことなくトゲトゲしくなってきている。

「…MMより…MMより前から知ってたってことじゃねぇか…。」
「…まぁ…ただ、皆さん甲高い声のメタルが好きかな、と思ってまして…。」
「お前、メタルを馬鹿にしてるだろ!?」
「違いますよ!違いますって!」
「…MMとMKにメールしよ。お前やばいぞ。」

何がやばいのかさっぱり分からない俺をそっちのけで、MD氏はメールを打ち始めた。
サシで飲みに来ているのに、何故メタルメンバーに即時報告する必要があるのだろうか…。
さっぱり意味が分からない。そしてメタルの会の結束は怖い。


「……………………。」
「……………………。」



「…胡麻トーストうめぇな。」
「………ですね。」


「……………………。」
「……………………。」

いきなり胡麻トーストの話をされても怖いものは怖い。


このままだとまずいと思い、俺は話題を変えることにした。

「そういえば、最近面白いアプリ見つけたんですよ。Music Discoverって知ってます?」
「いや、知らないけど?」
「これ、面白いんですよ。音楽性の似たバンドを次々と表示してくれるんですよ。」
「へぇ~そうなんだ。」
「ちょっとやってみますね。例えばここにHoobastankって表示されてますよね?」
「ちょ!お前待てよ!なんでお前がHoobastank知ってんだよ!」
「いや、知ってますって。この前の単独ライブも行きましたし。」
「俺も超好きだぞ!お前、なんで言わねぇんだよ!」
「だって、これメタルじゃなくてロックじゃないですか!」
「俺、まじで好きなんだぞ!」
「いや、だから僕も好きですって!」


…キレどころがさっぱり見えない…。

「やっべ…これまじやっべ。完全にやられたよ。」
「……………………。」
「お前、俺を嵌めようとしているだろ?」
「は?」
「お前、今日俺を嵌めようとしているだろ!?」
「いや、僕はアプリの話を…。」
「…MMとMKにメールするからな。お前本気でやばいからな。」

…やっぱりメタルの会とは距離を置こう。まるでゲシュタポだ。


そして、次の店に向かう時間になり、俺とMD氏はベルギービール屋を後にした。
…正直逃げたかった…。

(続く)


<参考>
俺が一番好きなRAMMSTEINの「Asche Zu Asche」はこちら。



この地味なサビは秀逸だと思う。
あと、2分30秒付近から出るメットを被った人の動きも最高である。
かっこよすぎますな。

メタルの会サプライズ(第1章:再生)

先ず、このブログの全ての読者に謝らなければならない。
俺はこのブログ更新をサボタージュしていた。
忘れていたわけではない。「サボタージュ」である。
つまり、意図的にこのブログの更新を止めていたということだ。

理由はいろいろあるが、強いて挙げれば面…読者の期待に答えられるレベルの文章を書く自信を失っていたということだ。

だが…俺はこうして今このブログを執筆している。


…自信を取り戻した?
…誰かに強要されて書いている?

答はNoだ。

俺がブログを再度書き始めた理由…それは「勇気」だ。

   *     *     *     *

4月某日。

俺の席の電話が鳴った。
電話をかけてきたのは、あの「メタルの会」会長のMD氏である。
俺は受話器を取った。

「お疲れ様です。NNです。」
「お~、あのさ~、13日って空いてる?」
「えぇ、空いてますよ。どうしました?」
「夜なんだけど、飲みに行かない?」
「い、いいっすけど、突然どうしたんですか?」
「いや、たまにはNNと飲みに行きたくなってさ…。」

…なんとなく違和感を覚える俺。
そもそも、これまで二人で飲みに行ったことは無い筈である。

「ほかのメンバーはいるんですか?」
「う~ん…NGとか?まぁこれから声をかけるんだけどね。」

…いつもサブキャラな俺がメインキャラの扱いである。
これは何かある…俺は咄嗟に幾つかの案を推理した。

① 彼は何らかの感情を俺に抱いている。(Like以上?)
② 俺の何らかの秘密を握っている。(ネガを保有?)
③ 退職

①は…無いだろう。正直俺はモテメンではない。
②は…大丈夫だ。そもそも真面目に生活している俺にやましいことはない。

③か…。なるほど、ついに退職されてしまうのか。

…寂しくなるな。まさに「巨星墜つ(乙)」…だな。
ちょっと「うまいこと」が思い浮かんでしまった俺は口元で軽く笑い、全てを悟った声で呟いた。

「…分かりました。」

因みに、この「分かりました。」には、「了解しました。」と「僕は全て分かってしまいました。」の意が込められている。所謂ダブル・ミーニングってやつだ。滲み出てしまうこの才能…我ながら自分が怖くなる。

そんなことを思いながら俺は受話器を置いた。


「…13日…荒れそうだぜ。」

そっと呟き、俺は手元の缶コーヒーを飲み干した。

(続く)
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