NHK「高野山 千年の襖絵」千住博氏の挑戦 | きみcomブログ

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数日前、たまたまつけたNHKのテレビで

「高野山 千年の襖絵」という番組の

再放送を見ました。

 

 

高野山金剛峰寺の44枚に及ぶ襖絵。

なぜか中心部の二間だけ

ずっと白襖で残されていましたが

高野山開闢1200年を記念して

画家の千住博氏が奉納画家に選ばれたのだそうです。

 

 

2015年の構想から

6年の歩みをニューヨークと日本両方のロケで

追ったドキュメンタリーで、

とっても面白かった!

 

 

個人的な話ですが2015年といえば、

ちょうど父方の叔母と二人で

高野山に旅行した時期でもありまして

 

そのときの旅行記

高野山旅行記 その1

 

そうか、あの頃に始まったんだなーと

ちょっと懐かしいような。

 

 

 

 

高野山金剛峰寺は平安時代に

空海がひらいたお寺。

 

 

千住さんは、空海が修行中に

見たであろう景色、心象風景、

到達したかもしれない境地を

探し求めて全国を1年以上かけてめぐり

「崖」と

「瀧」を

題材に選んだとのこと。

 

 

瀧といえば、千住さんの作品の中で

まさに代名詞ともいえる題材。

 

 

東山魁夷作品が

ずっと愛されているように

千住さんの「瀧」も

誰の心の中にもある

自然の深い記憶を

シンプルな形で表現していると思います。

 

 

日本から和紙を取り寄せては

試行錯誤を繰り返し、

3年以上かけてようやく

絵が出来上がったら、

今度は襖に仕上げる工程。

 

 

京都のベテラン職人さんが

「自分が大きな病気を

乗り越えられたのは

この仕事を果たすべく

与えられた命だと思う」と

おっしゃっていたのが印象的でした。

 

 

番組の終盤、2020年の10月に

無事奉納された襖絵と

千住さんが対面します。

 

 

 

千年以上前に建てられたお寺の

襖絵は、次の千年に続いていく。

私たちにとって

千年は果てしなく長いけれど

京都や奈良といった

古都の人たちにとっての千年は

今と確実に地つづきの実感があり

現実的な年数なのかも。

 

 

千住さんも

「命をかけて描きました」と

仰っていましたが

千年の仕事に携われるのは

職人冥利、芸術家冥利につきることで

大変ではあるけど、

とても幸せなことですね。

 

 

 

瀧の襖絵のある一枚を描くときに

「この瀧の奥に空海さんがおられる気がする」と

千住さんが最後までこだわった部分が

 

 

実は

 

 

その絵の向こう、つまり隣は

許された僧侶しか入れないお部屋で

お大師様像が

安置されている場所だった、

というのは凄いな~。

 

 

千住さんは知らなかったけど

ホントに空海さんが

いらっしゃったんですね。

 

 

千住博さんを見ていると

バイオリニスト・千住真理子さん、

作曲家・千住明さんの

芸術家三兄妹を育てた

ユニークな教育法を思い出します。

 

 

母親の千住文子さんが

率先して子供たちと遊び、

壁に大きな紙を貼って自由に描かせ

一緒に歌ったり、家の中を行進したりしたという

エピソードを昔、著書で読みましたっけ。

 

 

ともあれ、時空を超えた

空海さんのパワーと

芸術と自然の深い癒しを

感じて、思わず涙が出るような

素晴らしい番組でした。

 

 

 

 

NHK公式サイトに番組のミニ動画がありました。

Nスぺ 5min 高野山千年の襖絵