数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc -107ページ目

油脂・セッケンに関する正誤問題

今日は,油脂・セッケンに関する正誤問題です。

油脂は,高級脂肪酸とグリセリンとのエステルで,動植物中に広く存在します。
油脂はエステルなので,油脂の性質を考えるときは,エステルの性質を考えるといいでしょう。
セッケンは油脂を,けん化したものです。
油脂とセッケンを混同して覚えている人が多いので,注意してください。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① 油脂は水には溶けないが,有機溶媒には溶けやすい。


■問題② セッケンを水に溶かすと,水溶液は酸性を示す。


■問題③ 分子中の炭素原子間二重結合C=Cの数は,リノール酸は1個,リノレン酸 は2個,オレインは3個である。


■問題④ 炭素原子間の二重結合C=Cを多く含む油脂は,空気中のO2で酸化されやすく固化しやすい。


■問題⑤ セッケン水に食用油を加えてよく振り混ぜると,親水基を油に向けて内側に,疎水基を外側にして食用油を取り囲む。


■問題⑥ 油脂は,1分子のグリセリンに3分子の高級脂肪酸がエステル結合した化合物である。


■問題⑦ 油脂に水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,エチレングリコールとセッケンが生成する。


■問題⑧ カルシウムイオンやマグネシウムイオンを含む硬水中では,セッケンによる洗浄力は増す。


■問題⑨ セッケンは,絹や羊毛の洗浄には適さない。







★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

油脂は,高級脂肪酸とグリセリンとのエステルなので,疎水性の部分が分子全体中を多くしめるので,極性溶媒には溶けず,無極性溶媒である有機溶媒には溶けます。
油脂は油なので,油をイメージすれば,水に溶けないことは明らかですよね。
高級脂肪酸は,炭素数が6個以上の鎖状のカルボン酸でしたね。


□問題②
□解答 …… 誤り。

セッケンは高級脂肪酸のアルカリ金属塩で,弱酸と強塩基からなる塩なので,水中では加水分解により塩基性を示します。


□問題③
□解答 …… 誤り。

二重結合C=Cの数は,オレイン酸は1個,リノール酸は2個,リノレン酸は3個です。
飽和脂肪酸の炭素数18のステアリン酸C17H35COOHを出発点に,炭素鎖からH原子が2個取れて,二重結合を1つ持ったオレイン酸C17H33COOHになります。
さらに,同様にして,二重結合を2つ持ったリノール酸C17H31COOH,二重結合を3つ持ったリノレン酸C17H29COOHとなります。


□問題④
□解答 …… 正しい。

油脂の構成脂肪酸中に二重結合C=Cが多く含まれると酸化されやすく,空気中のO2によって-O-O-結合などの結合により油脂どうしがくっつき固化します。
このような性質をもつ脂肪油(常温で液体の油脂)を乾性油といいます。

一方,空気中に放置しても固化しないものを不乾性油,これらの中間の性質をもつものを半乾性油といいます。
乾性油は,ペンキやインク,半乾性油は大豆油などの食用油,不乾性油は,バター,オリーブ油などの食用油,化粧品などに利用されています。

脂肪油の二重結合C=C部分に,Ni触媒を用いて水素を付加させると,二重結合にH2が付加して飽和脂肪酸を多く含む油脂となり常温で固体になります。
このようにしてつくられた油脂を硬化油といいます。


□問題⑤
□解答 …… 誤り。

セッケン分子は疎水基と親水基の両方をもち,親水基を外側に,疎水基を内側にして,食用油を取り囲み,粒子となって水中に分散します。
このように,セッケンが油汚れを水中に分散させる作用を乳化(作用)といいます。
また,セッケンは水の表面張力を低下させる性質があります。
このような性質をもつ物質を界面活性剤といいます。



□問題⑥
□解答 …… 正しい。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-油脂3

油脂を構成する高級脂肪酸は1種類ではなく,R1,R2,R3の組み合わせによって多くの種類が存在することに注意してください。



□問題⑦
□解答 …… 誤り。

エチレングリコールではなく,グリセリンが生成します。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-けん化3


油脂は,1分子のグリセリンに3分子の高級脂肪酸がエステル結合したエステルなので,水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると,加水分解し,グリセリンと高級脂肪酸のアルカリ金属塩(これをセッケンという)が生成します。

このようにエステルに強塩基(水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなど)
を加えて加水分解させることをけん化といい,けん化によって,グリセリンとセッケンが得られます。



□問題⑧
□解答 …… 誤り。


セッケンの水溶液は塩基性で,絹や羊毛などタンパク質からなる繊維は塩基性に弱いため,セッケンは,絹や羊毛の洗浄には適しません。

一方,一般にセッケン以外の洗剤(界面活性剤)を合成洗剤といい,強酸の-SO3Hと
強塩基のNaOHからなる塩のため,水溶液中では中性を示し洗浄力は落ちません。セッケンは,水に溶けると弱塩基性を示すため,カルシウムイオンCa2+やマグネシウム
イオンMg2+と結合して,水に不溶な塩をつくるため,洗浄力は低下してしまいます。


□問題⑨
□解答 …… 正しい。

セッケンの水溶液は塩基性で,絹や羊毛などタンパク質からなる繊維は塩基性に
弱いため,セッケンは,絹や羊毛の洗浄には適しません。
セッケンと合成洗剤についてまとめましたのでしっかりおさえてください。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-せっけん3





エステルに関する正誤問題

今日は,エステルに関する正誤問題です。

アルコールとカルボン酸から水分子がとれて縮合して生成する化合物をエステル(分子式:CnH2nO2)といい,エステルが生成する反応をエステル化といいます。

また,ヒドロキシ基(-OH)とオキソ酸(酸素原子を含む酸 例:硝酸,硫酸など)から水分子がとれて縮合して生成する化合物も広義のエステルといいます。

油脂は,グリセリン高級脂肪酸とのエステル,
ニトログリセリンは,グリセリン硝酸とのエステル
ポリエチレンテレフタラートは,エチレングリコールテレフタル酸とのエステルです。

エステルは,エステル化と加水分解をおさえることがポイントです。


★次の正誤を判定せよ。

■問題① エステルは,水にも有機溶媒にも溶けやすい。


■問題② 酢酸エチルの水溶液は,酸性を示す。


■問題③ 分子量が同程度のエステルとカルボン酸の沸点を比較すると,エステルの方がかなり高い。


■問題④ 分子量の小さいエステルは,一般に揮発性で果実のような芳香をもつ。


■問題⑤ 酢酸メチルと酢酸は構造異性体の関係にある。


■問題⑥ 硝酸とグリセリンから生じるエステルをニトログリセリンという。


■問題⑦ 酢酸エチルに水を加えて加熱すると,酢酸とメタノールになる。


■問題⑧ 酢酸エチルに水酸化ナトリウム水溶液を加えて加熱すると均一な溶液になる。


■問題⑨ 油脂を水酸化ナトリウム水溶液で加水分解するとセッケンができる。


■問題⑩ サリチル酸にメタノールと少量の濃硫酸を加えて加熱すると,アセチルサリチル酸が生成する。


■問題⑪ ポリエチレンテレフタラートは,フタル酸とエチレングリコールの縮合重合によって合成される。





★解答

□問題①
□解答 …… 誤り。

エステルは,有機溶媒には溶けやすいですが,水には溶けにくいです。
理由は,エステルは,エステル結合に極性があるため,親水性ですが,この両端を疎水基ではさまれているため,水に溶けにくくなります。しかし,分子量が最も小さいエステルであるギ酸メチルのみ,分子全体に対する親水基の割合が大きいため,水には溶けます。

Point! 脂肪族化合物の水への溶解性
アルコール,アルデヒドケトン,カルボン酸……炭素数が3~4までは水に溶ける。
エーテル,エステル……炭素数が最小のもののみ水に溶ける。




□問題②
□解答 …… 誤り。

酢酸エチルCH3COOC2H5は,エタノールC2H5OHと酢酸CH3COOHからできたエステルで,エステルは酸性を示すカルボキシ基(-COOH)がエステル化により失われたので,中性となります。

Point! 水溶液の液性
酸性 …… スルホン酸,カルボン酸,フェノール
中性 …… アルカン,アルケン,アルキン,アルコール,アルデヒド,エーテル,ケトン,エステル,ベンゼン,ニトロベンゼン,トルエン
塩基性 …… アニリン



□問題③
□解答 …… 誤り。

分子量が同程度のエステルとカルボン酸の沸点を比較すると,エステルの方がかなり低くなります。理由は,カルボン酸は分子間で水素結合を形成するのに対し,エステルは,水素結合を形成しないため,低くなります。

Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン




□問題④
□解答 …… 正しい。

例えば,酢酸エチルは,揮発性の液体でパイナップルに似た芳香をもち,無毒なので香料として用いられます。分子量の小さいエステルは果実のような芳香を持ちます。


□問題⑤
□解答 …… 誤り。

酢酸メチルの分子式はC3H6O2で,酢酸(分子式はC2H4O2)ではなくプロピオン酸と互いに構造異性体の関係にあります。

構造異性体の関係にあるカルボン酸とエステルの主な判別法は,次のようになります。

Point! カルボン酸とエステルの判別法
① 塩基と反応する。→ カルボン酸(カルボン酸は酸性のため,塩基と中和反応し塩を生成する)
② 塩基と加熱すると均一な溶液となる。→ エステル
③ 炭酸水素ナトリウムを加えると,二酸化炭素が発生。→ カルボン酸



□問題⑥
□解答 …… 正しい。

硝酸とグリセリンが反応すると,ニトログリセリンが生成します。
ヒドロキシ基(-OH)とオキソ酸(酸素原子を含む酸 例:硝酸,硫酸など)から水分子がとれて縮合して生成する化合物も広義のエステルといいます。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ニトロ3

ニトログリセリンは,ダイナマイトの主成分で,心臓の動脈を拡張させる作用があることから狭心症の治療薬としても用いられます。


□問題⑦
□解答 …… 誤り。

メタノールではなく,酢酸とエタノールになります。
酢酸エチルはエステルで,エステルに水を加えて加熱したり,希塩酸や希硫酸などの強酸を加えて加熱すると,エステル化の逆向きの反応がおきます。
この反応をエステルの加水分解といいます。



□問題⑧
□解答 …… 正しい。

均一な溶液とは,溶けるということで,酢酸エチルは,酢酸ナトリウムの塩となって溶けます。
CH3COOC2H5 + NaOH → CH3COONa + C2H5OH

エステルに水酸化ナトリウム水溶液などの塩基を加えて温めると,加水分解され,カルボン酸の塩とアルコールになります。
このように塩基を用いたエステルの加水分解を,特にけん化といいます。


□問題⑨
□解答 …… 正しい。

エステルの一種である油脂を塩基で加水分解すると,セッケンができます。
セッケンはグリセリンと高級脂肪酸のアルカリ金属塩です。油脂とセッケンを混同しないように注意してください!

Point!
油脂 …… 高級脂肪酸とグリセリンとのエステル
セッケン …… 高級脂肪酸のアルカリ金属塩




□問題⑩
□解答 …… 誤り。

アセチルサリチル酸ではなく,サリチル酸メチルが生成します。
サリチル酸は,ヒドロキシ基-OHとカルボキシ基-COOHの両方を持ち,
相手が-OHをもつ物質の場合は,サリチル酸の-COOHが,
相手が-COOHをもつ物質の場合は,-OHが反応してエステル結合をつくります。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-サリチル酸


 
□問題⑪
□解答 …… 誤り。

ポリエチレンテレフタラートは,カルボン酸であるテレフタル酸とアルコールであるエチレングリコールから水がとれて,次々とエステル結合によって結合(脱水縮合)した高分子化合物です。

数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-PET3




ケトンに関する正誤問題。

今日は,ケトンに関する正誤問題です。

カルボニル基(-CO-)に水素原子が1個結合した化合物をアルデヒド,2個の炭化水素基が結合した化合物をケトン(分子式:CnH2nO)といいましたね。
ケトンも反応性が乏しく,ケトンの代表であるアセトンに関する出題がほとんどです。
特にアセトンの製法についてしっかりおさえましょう!

★次の正誤を判定せよ。

■問題① アセトンは,水にも有機溶媒にも溶けやすい。


■問題② ケトンの水溶液は,中性を示す。


■問題③ ケトンの沸点は,アルコールやカルボン酸と比べると高くなる。


■問題④ アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも不揮発性の液体である。


■問題⑤ アセトンと酢酸とは構造異性体の関係にある。


■問題⑥ ケトンは,還元性を示す。


■問題⑦ アセトンは,炭化カルシウムを乾留すると生成する。


■問題⑧ 1-プロパノールを酸化すると,アセトン生成する。


■問題⑨ プロペンに触媒を用いて,水を付加させると,アセトンが生成する。


■問題⑩ メチルプロペンをオゾン分解(酸化)するとアセトンが生成する。


■問題⑪ クメンヒドロペルオキシドを希硫酸で分解すると,フェノールとアセトンが得られる。


■問題⑫ アセトンにヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温めると,黄色沈殿が生じる。







★解答

□問題①
□解答 …… 正しい。

アセトンは,極性のあるカルボニル基(-CO-)をもつので,水に溶けやすく,疎水性のメチル基(-CH3)ももつので,大半の有機溶剤によく溶けます。低級のケトンは,水に溶けやすい化合物です。


□問題②
□解答 …… 正しい。

ケトンの分子中C-Hの結合は極性が小さく,炭化水素基のH原子が,H+として電離しないので,中性を示します。

Point! 水溶液の液性
酸性 …… スルホン酸,カルボン酸,フェノール
中性 …… アルカン,アルケン,アルキン,アルコール,アルデヒド,エーテル,ケトン,エステル,ベンゼン,ニトロベンゼン,トルエン
塩基性 …… アニリン


□問題③
□解答 …… 誤り。

ケトンは,ヒドロキシ基(-OH)が存在しないので同種の分子間では水素結合が形成されないため,アルコールやカルボン酸と比べると沸点は低くなります。
しかし,カルボニル基(-CO-)には極性があるので,無極性分子であるアルケンよりは沸点は高くなります。

Point! 一般的な沸点の高さ(同程度の分子量)
カルボン酸>アルコール>アルデヒド,ケトン,エステル,アミン>エーテル>アルカン




□問題④
□解答 …… 誤り。

アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも常温・常圧で液体で揮発性で引火しやすいため,火気を避けて取り扱う必要があります。

Point! 主な揮発性の液体
メタノール,エタノール,アセトアルデヒド,アセトン,分子量の小さいエーテル・エステル,ベンゼン


アセトンは,無色の芳香(特有のにおい)のある液体で,大半の有機溶剤を溶かすことから有機溶媒となり,マニキュアの除光液や,塗料の溶剤等に用いられます。



□問題⑤
□解答 …… 誤り。

アセトンは,酢酸ではなくプロピオンアルデヒドと構造異性体の関係にあります。


□問題⑥
□解答 …… 誤り。

ケトンは,アルデヒドと異なり酸化されにくいので還元性を示しません。
この性質を利用して,互いに構造異性体であるアルデヒドとケトンを判別することが
できます。

Point! 還元性をもつ有機化合物
ギ酸,シュウ酸,アルデヒド,スクロース以外の二糖類,単糖類



□問題⑦
□解答 …… 誤り。

炭化カルシウムCaC2ではなく,酢酸カルシウム(CH3COO)2Caを乾留(空気を絶って加熱分解すること)すると生成します。混同しやすいので注意してください。

(CH3COO)2Ca → CaCO3 + CH3COCH3

Point! 
炭化カルシウムに水 → アセチレン
酢酸カルシウムを乾留 → アセトン




□問題⑧
□解答 …… 誤り。

1-プロパノールではなく,2-プロパノールを酸化するとアセトン生成します。
1-プロパノールは第一級アルコールなので,酸化するとアルデヒドであるプロピオンアルデヒドが生成します。

Point!
1-プロパノール→酸化→プロピピオンアルデヒド
2-プロパノール→酸化→アセト



□問題⑨
□解答 …… 誤り。

アルケンであるプロペンC3H6ではなく,プロピンC3H4に硫酸水銀(Ⅱ)と硫酸を触媒として,水を付加させると,アセトンが生成します。


□問題⑩
□解答 …… 正しい。

アルケンであるメチルプロペンの酸化によって炭素原子間の二重結合が切れて,アセトンとホルムアルデヒドが生成します。


□問題⑪
□解答 …… 正しい。

この反応は,クメン法(フェノールの製法)の一部の反応で,アセトンの工業的製法の一つでもあります。

□問題⑫
□解答 …… 正しい。
アセトンにヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を加えて温めると,ヨードホルムCHI3が黄色沈殿します。
この反応はヨードホルム反応といいます。
次の構造をもつアルコールとカルボニル化合物がヨードホルム反応を示します。

$数学・化学講師 佐藤学による受験生に役立つ濃縮ポイントと…etc-ヨードホルム
※R-は,炭化水素基または水素


Point!
ヨードホルム反応を示す。……エタノール,2-プロパノール,2-ブタノール,アセトアルデヒド,アセトン
ヨードホルム反応を示さない。……メタノール,1-プロパノール,1-ブタノール



アセトンの製法はしっかりおさせてください。

① 2-プロパノールの酸化
② プロペンの空気酸化
③ アルケン(メチルプロペンなど)のオゾン酸化
④ プロピンへの水の付加
⑤ 酢酸カルシウムの乾留
⑥ クメン法の副産物