概要:
納税地の規定は、納税義務者が申告、申請、届出、納付、異議申し立て等をどこの税務署長にするのか、又は、事業者に対してどこの税務署長が更正、決定、滞納処分等をするのかを判定するための基準である。
まず、国内取引から、
1.個人事業者の納税地の原則
①国内に住所を有する場合には、納税地はその住所地となる。
②国内に住所を有していないが、居所を有する場合には、納税地は居所地となる。
③国内に住所も居所もないが、事務所等だけある場合には、その事務所等の所在地が納税地となる。(2以上ある場合には、メインの方)
④一定の場所
イ
住所又は居所を有していたが、のちに両方ともなくなり、かつ、国内に事務所等もなくなったとしても、今まで納税地とされていた場所に自分の親族等が引き続き居住していたり、又は、自分と交代で居住することとなった場合には、その納税地とされていた場所が納税地となる。
※親族等と一緒に住んでいたが、自分だけ海外へ引っ越すような場合には、国内に住所も居所も、事務所等もないケースが出てくるので、こういった場合には、その親族等が残っているその場所を納税地とすることとしている。
また、自分ひとりで今まで住んでいたが、海外へ引っ越すため、親族等が自分の代わりにその場所にすむようになったような場合でもその納税地とされていた場所となる。つまり、納税義務者である本人がその納税地とされていた場所にいなくてもそこが納税地となる。
ロ
イの場合を除き、とあるため、今まで納税地が定められていたが、海外へ引っ越し、その親族等は全く別のところに住んでいるような場合が想定できる。この前提で、納税義務者である本人が国内にある不動産等の貸付けの対価を受ける場合には、住所、居所、事務所等がなく、親族等もいないので、その不動産等の所在地が納税地でしょってこと。
ハ
イ、ロ以外の場合には、その者が自ら選択した場所か麹町税務署の管轄区域内の場所となる。
2.個人事業者の納税地の特例
①国内に住所を有しているが、さらに居所もあるって方はそちらでもいいですよ。でも納税地の特例に関する書類を提出してください。※効力は提出日後ですから随時受付みたいですね。
②国内に住所又は居所があるが、それ以外にも事務所等があるって方は書類出せば事務所等でもいいですよ。
③①、②共に、納税地の特例に関する書類を提出すれば、その次の日から納税地の特例を受けることができる。※この場合に、提出先は、変更前及び変更後の両方の税務署長に提出しなければならない。
④納税地の特例をやめたいときは、不適用に関する書類を両税務署長に提出すれば、その次の日から効力失効OK。
⑤個人事業者が死亡した場合の納税地は、相続人ではなく、死亡者の納税地となるので注意。
※吸収合併、新設合併の場合には、共に、合併法人の納税地となるので注意が必要。相続とはまったく逆となる。
3.法人の納税地(特例はない)
法人の納税地は、個人と違い、場所を特定しやすいので、個人事業者のように細かく特例規定が設けられていない。
①内国法人は、本店又は主たる事務所の所在地
②外国法人で国内に事務所等を有する法人は、事務所等の所在地で、2以上の場合には、メインの方。
③一定の場所
イ
外国法人で国内に事務所がない法人で、不動産等の貸付けの対価を受けている場合には、その不動産の所在地となる。
ロ
①、②、イでもなければ、その法人自ら選択した場所か、麹町税務署の管轄区域内の場所となる。
4.納税地の指定
登記上の場所で事務所等が全くない場合には、国税局長は納税地を指定することができる。
5.納税地の指定処分の取り消しがあった場合
納税地について、指定処分を受けたが、異議申し立てについての決定等により、その納税地の指定が取り消される場合がある。しかし、指定処分を受けてからその取り消しまでの間の申告等については無効とならない。
6.納税地の異動の届出
納税地に異動がった場合には、異動前及び異動後、両方の納税地の所轄税務署長に納税地の異動届出書を提出しなければならない。
※個人事業者が納税地の特例の適用を受けている場合には、納税地の特例に関する書類を所轄税務署長に提出しているため、税務署サイドは変更先を既に把握しているため、改めて異動届出書を提出する必要がない。
また、納税地の指定を受けている場合も同じである。
7.輸出しない場合の納税地
非居住者が輸出物品販売場で購入した物品を輸出しなかった場合には、消費税相当額を非居住者より直ちに徴収することとしているが、この場合には、出港地を納税地とする。また、非居住者が居住者と結婚することにより、居住者となるような場合には、その住所又は居所の所在地となる。
8.譲渡・譲受けがされた場合
物品の所在場所となる。
※7と8は、消費税相当額が徴収されるのは、非居住者であり、事業者に限らない。
理論問題での注意事項:
1.納税地の異動届出書の提出先
当然のことながら、変更前及び変更後の納税地の所轄税務署長であるが、ここで間違いやすそうなのは、納税地の指定で出てくる国税庁長官である。間違えないよう注意です。
2.納税地の異動届出書の提出が不要な場合
個人事業者で、納税地の特例の適用を受けている者、又は、納税地の指定を受けている者
3.2の届出書の提出が不要となる理由
2の場合には既に税務署長側は納税地の異動を把握しているためである。