ミュージカル「彼女たち」千秋楽でした! | メメントCの世界

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ミュージカル「彼女たち」千秋楽でした!

 

 

15日、16日の限られた四回でしたが、「彼女たち」幕を降ろしました。

御来場ありがとうございました。

この後の5月22日から、収録映像の配信もございますので、是非、ご覧くださいませ。

 

 

昨年、コロナで延期になり、本当に直前まで緊急事態宣言で、気をもみましたが、上演できてとてもよかった。

演劇は、やはり生が最高です。歌い、踊り、セリフの応答の中で生まれる熱気をもらって、ドキドキして・・・・・

何度も観ているはずの舞台に、引き込まれて、作者なのに、どうなるどうなる!!と興奮しっぱなしでした。

今回、舞台稽古時に、扁桃腺を腫らして出られなくなってしまった俳優の替わりに、演出助手の福原さんが、

本当に少ない稽古で佐藤先生役をつとめ、上演中止を救ってくれました。

『ガラスの仮面』のような展開で、若者の記憶力とか瞬発力とか、半端ないなあ~~~~と、中高年は、感心するばかり。

どの出演者も全力投球で、全ての舞台でチャレンジでした。清々しいです。

四回の本番の間に、どんどん成長して、見違えるようになりました。

やはり、観客と出会うことで、演劇は本物になるんですね。

 

四度目の上演で、魔女裁判の悪女にされちゃった、アビゲイルの仇も、うてたでしょうか?

アビー、あなたは犠牲者だったのよね。と、勝手に一人で打ち上げております。(自宅でお茶をのみながら)

もちろん、コロナですし、未成年もいますから打ち上げなどは、昔からこの劇団にはありません。

終演してロビーでやり切ったみんなと挨拶をし、講師たちの挨拶のあと、一本締めで、パンと終わる。

もう舞台の上で消化しきれているから、打ち上げなんか要らない!のです。

 

私が、この芝居を書こうと思った時の動機に、アビゲイルへの思い入れがあります。

通常、二幕二場は、ミラー自身がカットしているので演じられることはありませんが、その二場の脚本を読むと、

どうにもアビーが可哀そうで仕方なくなるのです。主人のプロクターと関係をもった下女のアビゲイル。

プロクターを愛してしまったアビゲイルに、その後の現実は過酷でした。

 

「あの女将さんは酷い女!」

 

追い出されたアビゲイルはそう思わないとやってられないでしょう。

自分の方が愛されているはずだと信じているのですが、嫁のエリザベスに追い出されてしまいます。

孤児でもあったアビゲイルは、遠縁のパリス牧師のもとにもどり、仲間の少女たちと森で乱痴気騒ぎをします。

やれやれ・・・

 

クルーシブルの戯曲自体は、主人公がプロクターなので、戯曲の流れはプロクターの信仰の変化を追います。

アメリカ合衆国以前のアメリカ、そこのプロテスタントたちは聖書が法律でした。しかし、もともと、労働と祈りがテーゼの、

プロテスタントにとって、自分の集落の教会の牧師が未熟だったり無能だった場合、教会と対立しても自分の信仰の仕方を

追求したそうで、プロクターもそういう男だったとミラーは書いています。

教会は組織として構成員を無くせば収入が減りますから、平信徒達を指導しつつ囲い込みます。

自分の所属する教会のパリス牧師に反発したプロクターは、パリスを否定することで信徒内の不和のもとになってしまうのです。

実のところ、魔女狩りは教会内での勢力争いと地主たちの領地争いでもありました。

魔女だと告発されて死刑になれば、その土地は没収されるのです。

 

「悪魔だと署名しろ」

それをすれば、拷問からも縛り首からも免除されるのですが、プロクターは自分の名を汚す嘘をつくことを断固拒否して死刑台を上っていきます。立派に?死んだプロクターの最期とくらべ、アビゲイルは二幕までで姿を消してしまいます。

後書きによれば、アビゲイルが娼婦となってボストンに現れた、との目撃談があります。

あんまりだ!

と思いませんか?

アビゲイルは被害者だと思った私は「彼女たち」を書いたわけです。

 

今年の公演は無事に幕がおりました。

稽古は長くても舞台は一瞬。

若さ故の魅力には理由はありません。

全力投球の姿にエネルギーをもらい、また次の作品へと私もシフトします。

ミュージカルになってから、ストーリーも変わりました。

ストレートプレイの頃、須崎藍羅は、女優として失意のまま死んでしまった母の幸せを追い求めました。

ミュージカルになってからは、夢破れて死んだ兄。どちらも喪失が大きなテーマでした。

大事な人、家族の喪失を受け入れて、自分を生きることは生まれ変わるように大変だとおもいます。

孤独の中をさまよう藍羅は、ダイアローグ、対話を受け入れて悲しみを昇華させます。

 

♩ダイアローグ

 

誰もいないホール

響くのはこの聲だけ

何度も繰り返す

セリフとステップ

誰か応えて ダイアローグが続く限り

誰のものでもない

あなたにはなれない私

何度も呼び掛ける 

思い出の中の姿

探し続けてる ダイアローグの始り

 

 

誰かと手をつないで

歩いて行けるのか?

何度も出会い別れ

傷つき悲しんでも

やりなおせる 

ダイアローグが続く限り

 

誰のものでもない

あなただけの自分

何度も問いかけて

ようやく掴むもの

声が届くなら ダイアローグは始まる

 

重ね合う掌 重なり合う思い

何度でも幾度でも 声高らかに君を呼ぶ

愛するものよ 幸せにあれ とこしえに

ルルルル~~~~~

 

作曲の薮内智子先生の楽曲はどこまでも優しく美しいのです。

シングルカットしたいです。

千秋楽の幕が降りる時、最高に輝いてる出演者たちに、「幸せにあれ」と祈りました。

コロナ時代、表現者を目指す若者がどうか、幸せでありますように。