ミュージカル「彼女たち」本日開幕!劇場頂きました。 | メメントCの世界

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ミュージカル「彼女たち」本日開幕!劇場頂きました。

劇団BDPでの、四度めの「彼女たち」本日初日でした。残念ながら明日が千秋楽!!!

明日も、13時と17時の二回です。

本日ご来場下さった、岡町高弥さんから、劇評をいただきました。

当日券もございます。今の彼女たちの魅力をご堪能ください。

 

 

 

 

 

『現在の17歳の抱える「悩み」を巧みに取り入れ、「魔女狩り」と「SNSの闇」をリンクさせ、ミュージカルに仕上げた稀有な芝居を見た。

5月15日、「太平洋食堂」など常に硬質な芝居を作り続ける、嶽本あゆ美の脚本で4度目の上演となった、劇団BDPアカデミー公演「ミュージカル 彼女たち」(演出・中沢千尋)を見るべく光が丘IMAホールへ。

役者たちは皆、かなり若かったが、驚くほど上手い。

聞けば、BDPは児童劇団「大きな夢」が母体らしい。

なるほど、子供の頃から舞台に立っている強者ぞろいだ。

副題はアーサー・ミラー作「るつぼ」による変奏曲。

舞台は、私立ミッション系高校・聖クレマン学園演劇部。創立記念公演にアメリカの代表的劇作家アーサー・ミラーの 「るつぼ」を上演することになる。

「るつぼ」は、17世紀アメリカ、マサチューセッツ州で実際に起きた、魔女裁判をもとにしている。

農夫プロクターと一夜の関係を持った少女アビゲイルの告発が、魔女狩り、悪魔憑きに発展していき、やがて、無実の人たちを次々と処刑台へ送っていくことになる。

あやふやな思い込みや、小さな悪意や噂が燎原の火ように広がっていく恐怖はネット社会とどこか似ている。

人間のやることは今も昔もあまり変わらない。

創立記念公演に、演劇部の少女たちだけでは上演できないため、男子聖歌隊の参加、謎の転校生が現れる。。

そんな最中、ワークショップで

一人の演劇部一年生の少女が倒れる。

謎の転校生、須崎藍羅(上原咲季)

は、ある事件の真相と兄の名誉を回復しようとこの学校にやってきたことが明らかになっていく。

その兄こそ、元演劇部部長で、男女合同から女子部になった事件のキーマンだ。

冤罪にもかかわらず、告発した少女の言葉が一人歩きし、兄は失意のうちに退学し事故で亡くなったという。

劇中劇と現実に起きている少女や世間の、Twitterや裏アカでのイジメや噂が複雑に絡み合っていき、17歳の少女、少年の苦悩や葛藤があざやかに見えていく。

ストレートプレイでは息苦しいセリフがミュージカルシーンでは救われる。

なるほど、こういうミュージカルもありかと納得させられる。

10代の役者たちの持つ表現力、卓抜した歌とダンスに瞠目した。

SNSは、人類には、早すぎるといった学者もいたが、生身の身体によって、人間性を取り戻していくラストは、清々しかった。

緊急事態宣言下でなかなか芝居もままならない閉塞感に包まれた毎日、やはり、芝居、ミュージカルには、人の心に灯りをともす大きな力がある。』

岡町