
初釜でお出しするお菓子の『花びら餅』を作る練習をしました。
銘々皿ではなく、プラステック容器に入れてしまった後の写真で、スミマセン


『花びら餅』とは、丸い白餅(または、求肥・ぎゅうひ)に菱形の紅色の求肥(ぎゅうひ)をのせ、白味噌の餡とゴボウを包んだ和菓子のことで、京都でお正月にだけ頂く、伝統のお菓子です。

私達は、試行錯誤の末、白味噌の餡とゴボウをこんな形に合体させて、お餅に挟みました(^^;
「えーっ、なんで和菓子にゴボウを入れるの~!?」
と言われてしまいそうですが、ゴボウは砂糖蜜で甘く柔らかくなるまで煮ていますので、野菜というよりもお菓子のようです。
確かに野菜は、茄子の砂糖漬けなどのように、お干菓子としてお茶の世界では使われています。
さて、『花びら餅』は伝統のお菓子、と書きましたが、元々は平安時代の宮中の正月行事「歯固めの儀式」に由来しています。
「歯固めの儀式」とは、丸い白餅に小豆汁で染めた紅色の菱餅をのせ、猪肉や鹿肉、大根、瓜、押鮎(おしあゆ)など、固いものを載せて食べて、歯を丈夫にし長寿を願う平安時代からの年初めの宮中行事です。
(それは今でも赤ちゃんのお食い初めに残っています

押鮎(おしあゆ)とは、塩押しにした鮎のことで、昔は、新年の祝いに用いられました。だから、鮎は漢字で『年魚』とも書きます。「年の初めに食べる魚」ということですね

この「歯固めの儀式」がだんだん簡略化され、白餅と菱形の紅餅に上記の食べ物を包んで食べるようになり、白味噌を添えて、宮中雑煮と呼ばれていました。
確かに、京都のお雑煮は、白い丸餅に白味噌仕立てで、大根や金時人参などが添えられていて、宮中雑煮の液体版ですね

そして、鮎はごぼうに見立てられ、 『菱葩(ひしはなびら)』となって、600年にわたり宮中の御節(おせち)料理の1つとして継承されてきました。
宮中では今でもお正月に『菱葩(ひしはなびら)』をいただくそうですが、お餅に甘味がついてなく、『お菓子』といった感じではないようです。
この 『菱葩(ひしはなびら)』は、一般には知られていませんでしたが、京都の老舗和菓子屋・川端道喜や虎屋が古く(室町時代)から宮中に納めていた記録が残っています。
ちなみに当時の白餅の大きさは、直径15センチ位とのことですので、かなり大振りですっ

そして『菱葩(ひしはなびら)』は、明治時代に裏千家家元十一世玄々斎が宮中から許可され、川端道喜が作ったものを初釜に使うようになったそうです。
裏千家の初釜では、今でも川端道喜の「菱葩(ひしはなびら)」をいただきます。
以来、新年のお菓子として使われるようになり、お餅に甘味がつき、白味噌も白味噌餡にかわり、お餅も求肥(ぎゅうひ)となって、『花びら餅』というお菓子として全国にも広まりました。
それが今、和菓子屋さんで売られている
『花びら餅』です。
私達の『花びら餅』は、昨年、一昨年と作ったときには、白い求肥(ぎゅうひ)の上に菱形の紅い求肥をのせ、白味噌餡とゴボウを挟んで2つ折りにしましたが、白い求肥から上手く紅い菱形の求肥が透けなかったので、今年は白い求肥に紅い求肥を重ねて伸ばしたら、紅い色が透けて出ました

今年も召し上がった方に、喜んでいただけたら、嬉しいです

