アインシュタイン展 | 乱読家ぽちんの独り言

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大阪長居公園の大阪市立自然史博物館で開催されている「アインシュタイン展」に行ってきました。

これはアインシュタイン博士のノーベル賞受賞100年を記念して開催されるものです。


https://www.ktv.jp/event/einstein/



中身はパネル展示と、子どもたちが物理を理解しやすいように、遊びながら学べるゲームがありました。

まあ、ぶっちゃけ、ゲームは子どもだましな感じがありましたが、まあ、こんなもんでしょう。


しかし、、、、おっさんが一人で行くのに入場料1500円は高いなあと思いました(汗)








いちおう、僕は物理学科卒なので、説明されている「ブラウン運動」「光電効果」「特殊相対性理論」「一般相対性理論」についてはザックリと理解はしているつもりですが、わかりやすい展示パネルだったのでご紹介しますね。






僕が興味深く読ませていただいたのは、「なぜノーベル賞が、有名な相対性理論ではなく光電効果に対して授与されたのか」と「アインシュタインの日本評」の二つです。


まずは、「なぜノーベル賞が、有名な相対性理論ではなく光電効果に対して授与されたのか」のパネルから、、、


【展示パネルより引用】

今の私たちからすると、アインシュタインほどの科学者であればノーベル賞をもらっていても誰も不思議には思わないでしょう。実際、1905年に発表した3論文の1つである「光電効果」で、1921年度のノーベル物理学賞を受賞しています。アインシュタインといえば相対性理論……、それなのに受賞理由が光電効果なのはなぜでしょう。

それには3つの理由があったと考えられています。


1つめは、相対性理論が人類に役に立つ発見かどうか分からなかったから、というもの。そもそもノーベル賞は「人類に最大の貢献をもたらした人々」に贈られる賞です。今でこそ、GPSなど相対性理論なしには実現できない技術がありますが、1920年代当時は相対性理論が科学の発展に貢献するものかどうか、それを見極めるには時期が早すぎたようです。


2つめは、万が一、相対性理論が間違っていて、ノーベル賞選考委員会のメンツが丸つぶれになってしまうことを恐れて、というもの。それくらい奇抜なアイデアだったということです。


3つめは、アインシュタインがユダヤ人だったから。選考委員の1人が反ユダヤ主義者であり、「相対性理論はユダヤの邪教だ」という考えを広めました。それがノーベル賞の選定にも影響を与えたのです。


とはいえ、アインシュタインの論文が世に出て名声が高まってくると、選考委員会も受賞させないわけにはいきませんでした。そういった理由があって、「光電効果」を理由にノーベル物理学賞受賞となったのです。なお、1921年にはノーベル物理学賞の発表はなく、1922年に1921年分と合わせて2年分の受賞者が発表されました。発表が1年遅れたのは、受賞者の選考でもめたという説もあります。

【パネル終わり】


1920年では相対性理論が正しいかどうか検証できなかったことはよくわかります。重力による空間の歪みを理論化した一般相対性理論にいたっては、最近の観測技術でようやく実証されたぐらいですからね。

そんなぶっ飛んだ理論ですから、まだユダヤ人が迫害されていた時代にあっては、3つめの理由にある「ユダヤの邪教である」と科学者からも信じてはもらえなかったのかもしれません。




もう一つの「アインシュタインの日本評」について。

1922年にアインシュタイン博士は日本に来られて、以下のような日本評を書かれています。日本人の本質をわずかな滞在期間でつかまれた博士は、すごいなあと思います。



【展示パネルより引用】

中でも雑誌「改造」19231月号に寄稿した「日本における私の印象」の草稿には、8ページにわたって日本や日本人への印象が詳細に書かれています。


私たち(日本を知らない欧米人)にとって、日本ほど神秘のヴェールにおおわれた国はありません。

日本では他のいかなる国より豊富で多彩な芸術に出会えます。

日本芸術の中で私にとって最高のものは絵画と木彫りの分野にあります。

日本人は、他人とのつきあい方も明るく相託がない。消椅やユーモアの感覚にも富んでいます。

また、(日本人は)自分の気持ちや動揺を表に出さず、どのような状況にあっても動ずることなく平静を保つ。

この日本固有の伝統のおかげで、必ずしも気が合うとは限らない多くの人間が一つ屋根の下に暮らしながら、それでも摩擦や衝突を起こして気まずい事態に至ることがない。

ここにこそ、ヨーロッパ人にあれほど謎めいて見えるジャパニーズ・スマイルの深い意味があります。


ひとつだけまだ心にかかっていることがある。日本人は当然ながら西洋の精神が達成した成果に目を見張り、大いなる理想を抱いて学間に没頭し、じじつ成果を挙げつつある。

だが願わくば、日本人に忘れないでほしいのだ、西洋に優る伊大な財産を純粋なままに守り続けることを。

それは、生活にほどこされた芸術的造形、個人的な欲の抑制と質、日本人の心の純粋と静謐(せいひつ)である。

【引用終わり】


最後に、、「アインシュタインの名言」です。

さすが、すべて本質をついているように思えます。

僕のように「生きている限りは学び続けたい」と思っている者にとっては、勇気づけられる言葉もありました。


【展示パネルより引用】

 学ぶこと。それは、人がずっと子供のままでいることが許されている、唯一の行為です。

◆人生に意味を与える唯一のものは、労働です。

◆科学とは、すばらしいものです。それで生計を立てようとしないかぎり。

◆称賛という名の堕落から逃れる方法は1つ。仕事をすることです。

◆知恵とは、学校で学べるものではなく、一生かけて身につけるべきものです。

◆わたしは学生に教えません。彼らが学ぶ環境を提供するために努力するだけです。

◆わたしたちにとって、事実を学ぶことはそれほど重要ではありません。

その目的を果たすだけなら本から学ぶことができますから、大学などいりません。

◆大学における一般教養の価値は、多くの事実を学ぶことではなく、教科書から学べないものについて考えるよう頭を鍛えることにあります。

 結婚に際して、女性は男性が変わることを期待していますが、男性は女性が変わらないことを期待しています。両者が失望するのは当然です。

【引用終わり】


10月10日まで開催しています。

すぐ横の植物園も素敵ですよ。

お子さんと、彼氏彼女と、出かけられてはいかがでしょうか?





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