【『はじめに』より引用】
中国の植民地下に置かれ、いわゆる「新疆ウイグル自治区」と呼ばれている私の祖国の東トルキスタンでは、共産党政権が二〇一六年から各地に多数の巨大な「強制収容所」を作り、今では三00万人以上のウイグル人がその中にいるとされる。国際的にも周知の事実である。しかし、強制収容所にいる彼らにコロナウイルスが及ぼす影響、そして、その生死については、全く情報がないことがもう一つの今世紀最大の信じがたい現実でもある。
それだけではない。在外のウイグル人の九〇パーセント以上が、三年ほど前から東トルキスタン内の家族や友人と連絡がとだえたまま。私的なことを言うと、私は、ウルムチの実家がどうなっているか、弟がどうなっているかも知らない。知る術もないまま悲しい時ばかりが過ぎていく。私だけではない。在外のウイグル人、皆が同じような状況にある。
《中略》
日本にいるウイグル学者の一部は、常に中国の立場でウイグルを研究している。彼らから見れば「新疆ウイグル自治区」に住む「少数民族のウイグル人」の問題は中国の民族政策の問題であり、中国の民族政策の研究こそが彼らの、今の日本のウイグル学者のスタンスでもある。彼らはウイグル問題を正面から取り上げて「中国のご機嫌」を損なうことで、中国に行き来できなくなることを危惧しているために、ウイグルの問題どころか、彼ら自身が構築した「中国の少数民族政策」としての新疆ウイグル自治区の問題点も十分に伝えられていないのが現状である。これは大変厄介なことである。
《中略》
ウイグル人にとって「新興ウイグル自治区」は、ウイグル人が平和のために戦争を放棄した結果、中国共産党に騙された結果、母なる祖国のために犠牲を払うことを怠った結果なのである。
【引用終わり】
【本書より抜粋】
⚫︎著者のムカイダイスさんは、ウルムチ出身のウイグル人。千葉大学の非常勤講師をされている。
日本に留学中に、ウイグルの政治情勢が激変しウイグルには帰れていない。
⚫︎ウイグル人が住み、中国政府が「新疆ウイグル自治区」と呼ぶ土地の正式な呼び名は「東トルキスタン」である。「トルキスタン」とは、「テュルク系の人々が住む土地や場所」を表す。十九世紀に、ロシアにトルキスタンの西側(今のウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)が支配されたことにより、残された東側が「東トルキスタン」と呼ばれるようになった。
⚫︎1933年に「東トルキスタン・イスラーム共和国」として、また1944年に「東トルキスタン共和国」として、二度にわたって独立を果たしたウイグル。本来独立国でありその意思を持つウイグルが、中国によって侵略され植民地化されている。
⚫︎1949年、当時の東トルキスタン共和国の指導者たちは、毛沢東の「連合政府論」「連邦制」「民族自決権」を信じて北京に招かれて全員行方不明になる。そして、指導者を失った東トルキスタンは、たちまち中国に軍事的に占領されてしまう。
犯罪者、娼婦、退役軍人などの中国人がウイグルに大量に住むようになり、ウイグル人の自由は奪われていくようになった。女性はレイブされ、家族全員が誰かに殺害される事件が起こるようになる。
そして、中国共産党によるウイグルへの民族絶滅政策が今日まで続いている。
⚫︎ ウイグル人の間では、一九三〇年頃から今までずっと「あの時、日本が来てくれていれば、東トルキスタンは独立していた」との言い伝えがある。内容としては「あの当時、日本は共産党が悪ということを、人類の敵であることをいち早く知っていたために、ソ連共産党と中国共産党からウイグルを守って独立させたかったらしいが、アメリカが二回にわたって日本の広島と長崎に核爆弾を落としたために、この計画は成し遂げられなかった」というもので、ほとんどのウイグル人がこの話をなぜか知っている。
⚫︎二〇一九年二月に出版された関岡英之著『帝国陸軍知られざる地政学戦略ー見果てぬ「防共回廊」(以下「防共回廊」)によって、私たち1000万人のウイグル人は、この「あの時日本が来てくれれば、ウイグルは独立していた」という話が真実であったこと、そして日本とウイグルの知られざる外交関係、さらには歴史の闇に隠された東トルキスタン・イスラーム共和国側から見た「大東亜戦争」の意義、つまりこの戦争がアジアを植民地から解放し、アジア共栄圏を作るための正義の戦いであったという真実、を知ることになった。
《強制収容所内の実態》
◎共産党と習近平への忠誠心のための洗脳教育
◎イスラーム教への徹底弾圧
◎ウイグル語を禁止
◎女性に対し、謎の白い薬と生理が止まる薬品を注射、身体検査とDNA採取、髪の毛を全員剃られる
◎女性への集団レイプ
◎親と子供が別々の収容所に入れられている
◎突然いなくなる(臓器売買の対象か?)
◎衛生状況と環境・栄養が最悪なために人々は弱り、病気にかかって死んでいる
◎釈放された時にお金がなくなっている、理由をつけて金が要求される
◎AIなどによる徹底した監視
◎拷問と拷問による死
◎強制労働
《強制収容所の外の実態》
◎武装警官と警察チェックポイントと呼ばれる交番がありとあらゆるところにあり、ウイグル人には携帯電話と身元のチェック、ボディチェックがいつでも行われる
◎町全体と居住空間に監視カメラが設置されている。携帯電話と家のドアに貼られたQRコードに住人のIDなどの全ての情報が紐付けされていて町の中で歩いている人が顔認証システムで瞬時に身元が割れるような仕組みになっている
◎ウイグル人の十七歳から五十九歳までの女性たちに強制避妊具の装着
◎各家庭に「政治的信頼度点数表」が配られている。礼拝する人やパスポート保持者、「敏感な国」に指定されたトルコなどの二十六ヶ国に行ったことがあるか、海外と繋がりがあるかないかなどでマイナスポイントがつけられる。マイナスポイントが七十を超えたら警察に通報され「強制収容所」に送られる
◎学校や社会においてウイグル人同士が十人グループになって互いを監視して、ラマダンや礼拝など行う人がいれば通報するシステムが出来上がっている
◎個人のスマートフォンにスパイウエア、全車両にGPSを強制装着している
◎ウイグル人のパスポートを没収
◎ウイグル人住民へ検診の目的でDNA採集
◎強制労働
◎モスクや聖者廟などの宗教施設の破壊・ウイグルの歴史的名勝や文化遺産の破壊
◎「双子の親戚と五つを一緒に行う」政策により、ウイグル人家庭で、漢民族の幹部がウイグル人の家に寝泊まりして家庭の中や会話まで監視
◎教育機関におけるウイグル語教育の禁止
◎「強制収容所」施設を次から次へ建設し拡大している
【抜粋引用終わり】
中国共産党によるウイグル侵攻以来、70年かけて、ジワジワと行われてきた民族根絶やし。
中国という国は、武力を用いての戦争に弱い為に、心理戦や政治戦など、表に出ないところで、我々日本人の時間的感覚とはまるで異なる、長い年月をかけて他国・他民族を侵略していく。そして、漢民族として同化させていく、、、、
中国共産党が長い長い年月をかけて、自由主義諸国への侵攻を行っていることは、皆さんもご承知の通りだろう。
政治家や官僚など、要職にあるもの、マスコミをジワジワと味方につけていく（自民党の二階幹事長をはじめとした親中派議員、チャイナマネーで育てられた外務省官僚など）。
大企業に対しては中国でのビジネスで旨みを味わわせて、中国の政策に従わせる（東京オリンピックへの支援をやめたトヨタなど）。
水源や自衛隊施設の周辺など土地を買い占め。
買い占めた土地へ中国人を住まわせる事実上の移民。
日本人の常識、まさかそこまでしないだろうとの思い込みが、中国の侵略を許してしまう。
これらの中国が日本に対して行なっている侵攻戦略は、すでにウイグルで行ってきたことでもある。
そして、現在のウイグルの姿は、将来の日本の姿、、、になるかも知れない。
このままいくと、日本人は中国人のジェノサイドの対象となり、民族根絶やしにされる、、、かもしれない。
我々が出来ることは、、、、
⚫︎日本の尊厳と国益を護り、中国からの工作に屈しない国会議員を選挙で選び続けること。
⚫︎ウイグルやチベット、南モンゴルでのジェノサイドを許さない、香港の民主主義を守るために戦うこと。
そして、北京五輪は、西側諸国はボイコットすべきと考えます！！
【令和３年８月１４日読了】
【オススメ度★★★★★】
さて、最後に今回もやります『直観読みブックマーカー』。
一つ前に読んだ書籍の中から哲学的問いをたてて、今読んだ書籍から直観読みで選んだ答えをもらいます。（無茶振りですが）。。。
【問い】「未来とは？」
《一つ前に読んだ「2040年の未来予想 2040」成毛眞より出題》
【答え（本書「ウイグルジェノサイド」ムカイダイスより、直観読みで選んだ文章）】
「彼はトップの成績でその中学校に合格を果たし、私には「親父の力だよ」と自慢し笑っていたが、結局授業についていけなくなって、段々と欠席するようになった。中学校三年になるとほとんど学校に来なくなっていた。」（31ページ）
解釈は、ご自由に。。。
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