犀川沿いのラストになります。
★の位置・左右前山（そうまえやま）城
左右前山（そうまえやま）城
概念図
宮坂武男(2013)『信濃の山城と館2』、戎光祥出版（以下宮坂本2）を参考に、郭・堀名を同書に準拠し、ブログ説明用に地理院地図に作図した。 記事内測値も同書に拠る。
宮坂先生は、郭1よりも2の方が高く、2を主郭であろうとしている。堀ア、イ・ウ、エにより三方尾根へ備え、腰郭北東に掘り込まれた出入口がある。上手くまとめられた城で、土塁の運用にも工夫がある。築城者は左右の在地領主と思われるが、その領主の頭脳は、一際聡明だったのではないだろうか。
腰郭北西虎口下、北尾根と東尾根を繋ぐ通路
この通路は腰郭からの頭上監視を受けている。
この通路から堀込み状の出入口で城内と繋がる
堀込み状の出入口
掘り込みをあがると腰郭で、正面に郭1
出入口を高所から監視している。
郭1から出入口
高所からの監視下にある。南には土塁が付随し、東尾根からの通路を頭上監視する兵の身を守る。
出入口南土塁
腰郭北部から山上南方
東隅から郭1へ
郭1
1006m三角点。
郭1南西部
堀エが2と区切る。
エは土橋で1-2を接続、2側土橋南東（写真左）に土塁を備える。
土橋
土橋南東、郭2側土塁
堆積で確認できないが、箱底に土塁というと防御施設だとすると、天正期の改修も考えられるのではないか。
郭2内土塁を前にあて、堀エ越しに１
(迎撃方向反対の運用：堀底から土塁を胸壁として2を撃つとすると、主郭は1になる)
エ北西
土橋から約30m延びる。
これは郭2
宮坂先生は、イよりも高いことから、こちらが主郭であろうとしている。
郭2は削平が甘い（されていないのではないか）
２南辺は急壁
このような急壁
南西隅から南尾根への一本道がある
南には犀川を目視
郭2南西隅
南尾根道を受ける空間。
東尾根
やや重複する
東尾根に向かった腰郭北東辺（出入口より南東）は、土塁を備え、通路と東尾根を監視する城平の身を守る。
腰郭北東辺から東尾根
北東へ竪堀が一本設けられ、斜面移動を阻止、通路を制限しているようだ。
堀アはこの写真ではよく見えていないが、残存部だけでも50mを測る城内最長の堀切である。
堀ア
ア北東部掘下げ
この造作の美しさは、専門の設計者がいて、施行業者がいて、構築されたことを示しているのではないか。
ア南東部掘下げ
アの下方おたまじゃくし形状の平
堀痕跡のような地形がある。
宮坂先生は、おたまじゃくし状の平の下方の窪地を東限としている。
東限窪地
自然の大箱掘。
北尾根（こちらから登ってくることができる）
壁下に堀イ、郭3
郭3の北にも堀ウがあるが、遮断意図は弱く、3の区切りであろう。
尾根筋降ると鞍部を山道が乗り越す。
イ北西掘下げ
イ北東掘下げ
北尾根ー腰郭出入口下ー東尾根を繋ぐ通路が郭3へ渡る。
堀イを郭3へ渡る通路
堀ウ
通行尾根であり、遮断意図は弱い。
下り1分ほど、鞍部を道が乗り越す
左右集落側からは大姥山の散歩道（トレッキングコース）が入り、左右集落と反対側へ降ると布川峠に至る
三角点が左右前山城郭1のこと。
まとめ
ネット初出を狙って行ったのだが、らんまるさんに先をこされてしまった。
参考文献 宮坂武男(2013)『信濃の山城と館2』、戎光祥出版、PP.458-9
登り口
青少年旅行村https://yahoo.jp/8zifg2を目指し、林道を大姥山方向へ登る。
林道下馬地点
3月は林道整備がされていないため、ここで下馬。
左右集落の業者の方に伺った話では、春に林道整備はするらしい。
行けると判断したところまで登り、あとは徒歩で稜線を目指す。大姥の散歩道にでたら大姥山よりも西に向かい、乗り越す地点が左右前山城北尾根へ取り付くところ。
越後方向眺望
信濃の国の青空よ。
記事、またしても信濃の国のオンパレードがはじまっている…。
次記事から、犀川の北へ踏み込みます（この写真の方向）。
長坂虎房に絵図を用意させよう。