有賀城(長野県諏訪市豊田有賀) | えいきの修学旅行(令和編)

えいきの修学旅行(令和編)

えいきの修学旅行を綴ったブログです(ヤフーブログから移設しました)。

 有賀城
イメージ 1
三日市場城に続き、武田の進出地域の信濃のお城をもうひとつ。
諏訪湖畔、有賀峠を扼す有賀城です。 
写真中央やや右の赤い屋根が江音寺で、その背後こんもりした山が有賀城、その後方に有賀峠。
 
 この付近は、諏訪氏の一族有賀氏が鎌倉時代から在住している。
 天文11年(1542)武田が諏訪に進出、頼重を滅ぼし諏訪を高遠頼継と二分する。9月には頼継が諏訪を占領し、武田と安国寺周辺で合戦となる。その際有賀氏の遠江守と伯耆守は敗れた高遠方につき追われるが、武田に与した一族の別の者がいて本領は安堵されたようだ。しかし、有賀氏は天文17年(1548)西方衆の反乱に与し、敗れ、追放された。
 かわって天文18年には千野氏が有賀郷を領する。武田滅亡後、天正18年に千野氏は諏訪氏に従って一時諏訪を離れるが、慶長6年諏訪氏に伴い千野氏も復した。
 
 イメージ 2
江音寺
  
イメージ 3
江音寺本堂 
左側に丹波屋敷の地名 
 
イメージ 4
丹波屋敷 
墓地奥、写真中央やや右上に有賀城の大手にあたる登り口がある。
  
イメージ 5
千野氏の墓地 
 ここからも搦手にあたる北尾根から有賀城に至るルートがある。
  
イメージ 6
有賀城大手にあたる登城口冠木門 
 
イメージ 7
タショクボを上がり、 右にあがります。 
 
 イメージ 8
 堀ニに入ります。
 宮坂武男(2013)『信濃の山城と館6』、戎光祥出版を参考に辿りますが、名称は現地設置縄張図に準拠します。(宮坂本の堀名称とは異なります) (注:現地設置縄張図も宮坂先生っぽい)
 イメージ 34
 現地設置説明板縄張図
(ブログ説明のため白字加筆)
↘から堀ニに入ります。
 
 宮坂本では、主郭(郭1)前後を掘り切った状態の主郭周辺部分だけを有賀氏が在城した時代の有賀城とし、伊那口を守る新たな任務のため、峠道から見て城の備えを重厚に見せ、尾根の稜線を守るために、2,3,4,5の郭と峠道に沿って高く配された西側の横堀を補強し現在の縄張となったのではないかとしている。
武田の統治時代の改修で、横堀の出現から永禄以後の戦国時代末期、ことによったら天正期の工事で、織田軍の侵攻に備えた改修を考えている。(宮坂 2013,p.97)
  
イメージ 9
堀ニ
右が郭1
先に左の南尾根に上がります。
  
イメージ 10
堀南の尾根上  
不動尊 
尾根に堀ハ、ロ、イを設けている。 
 
イメージ 11
堀ハ 
 
イメージ 12
堀イ 
 
イメージ 13
西側
竪堀となり掘り下げている。 
 
イメージ 14
動尊前から堀ニこしに郭1 
郭1内は土塁により見通すことはできない。  
 
郭1へ向かいます。
 

イメージ 15
東から大土塁際を抜け郭1へ 
空の下は諏訪湖 
 
イメージ 16
郭1南大土塁 
 
イメージ 17
大土塁うえから郭1
 
イメージ 18
郭1から諏訪湖 
諏訪湖って、美しい… 
杖突峠からが最も好きだが、どこからみてもうっとりする。
  
イメージ 19
郭1西下
横堀と帯郭で二重の備え 
有賀峠からの峠道に沿って配されている。 
 
イメージ 20
郭1北西隅下(B地点) 
上の横堀と堀ホが接続
 後で降ります。
 
イメージ 21
堀ホの北は土塁を備えた郭2 
 
B地点に降ります
  

イメージ 22
郭1西下横堀と郭1と郭2間の堀ホと横堀へが接続する地点 
 
イメージ 23
郭2西下へ伸びる横堀へ 
これは通路でもあるようだ。 
 
イメージ 24
土塁で守られ郭2 
土塁は西の横堀ヘと堀ホに向かい構えられている。
つまりこれが警戒すべき方面であり、厳重に備えているのであろう。
  
イメージ 25
郭2西下から横堀へは、一部二重に厚く備えている。 
その下方には有賀峠からの峠道が並走する。有賀峠からくる敵は誰か。
 
 横堀へに降ります。
  
イメージ 26
右上は郭2に続いて郭3.4.5が配されている。
左が西の谷。
馬出様の小郭もある。
振り返りB地点方向。
 
イメージ 27
関門のよう。
 
郭3.4.5へ。
  
イメージ 28
郭3
郭2からは西の土塁伝いに接続
 
イメージ 29
郭4
ここは土塁ではなく小郭を経て接続している。
 
イメージ 30
郭5
 
イメージ 31
郭5の北
江音寺の千野家墓地裏付近に至る。
 
イメージ 32
西に降る竪堀
下に有賀峠からの道が見える
峠道からは横堀線のうえの尾根上に、郭が5.4.3.2.1と段々に配され、さぞ重厚に見えたことであろう。
 
イメージ 33
最後にもういちど主郭(郭1)背後の大堀切ニを北西から。
  
 参考文献 宮坂武男(2013)『信濃の山城と館6』、戎光祥出版