120桝形城(長野市上松城山) | えいきの修学旅行(令和編)

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 桝形城は、善光寺後背の山並みに、北西に葛山城・大峰城、北東に若槻山城の間に築かれている。
 弘治三年、武田の葛山城攻めの際、武田勢は上松に陣を張った伝承もあり、その際の築城であろうか。東麓昌禅寺は上野小幡氏との関連が伝わるらしい。小幡氏が一時在城と伝わる北信替佐城との類似もなんとなく…、感じるような気もする。北信侵攻する武田の先鋭として小幡氏がここ桝形城、次いで替佐城と越後に迫っていったのかもしれない
 武田が善光寺平を勢力下においた後は、武田にとっては重要性は低下するので、以降、武田が改修するであろうか。するとすれば、善光寺の監視であろうか。越後上杉にとっては善光寺平に進出、または善光寺を背後から支援する要地であるため、上杉による利用・改修の可能性もある。天正以降、景勝の普請。善光寺・川中島をめぐる甲越双方による取立て利用が考えられる。
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構えは、南、善光寺方向に横堀ア、三郭を構える。
東、大峰城・葛山城方向に竪堀エ・ウと接続した堀イを構える。
 二郭は郭というより自然地形の大堀といった感じ。主郭へは、堀イから屈曲気味に桝形DーEを経て導線がある。この特徴的な二か所、自然地形大堀状の二郭、主郭への導線は、替佐城との類似を感じなくもない。
 
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桝形城登山道途中よりみる川中島
 桝形城は、善光寺ー八幡原ー海津城ー鞍骨城を一直線に結ぶ線上にある。偶然ではないであろう。
これがこの城の意義だと私は思う。
 
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地附山公園から登山道を35分。旧バードライン沿いに入口があります。この道路も堀であったかもしれない。
地附山公園はここhttp://yahoo.jp/WPFa1s
 
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入口から5分。三郭南西隅に取り付きます。
 
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三郭南横堀線
善光寺方向にあたる
なかほどA地点で歪を伴い、横矢をかけている。
三郭は横堀線に土塁を設け、南面を強固に守る。
この堀アは東で南に折れ、東に折れ崖まで続き切れ落ちている。
 
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折れ
折れの手前虎口B痕跡があるが、容量不足のため省略します。
 
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東の崖端には二条の加工がされている
三郭内へ
 
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三郭郭内(南西隅から)
横堀線には土塁
左、くだって天水溜・二郭
 
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三郭と主郭間の低地を土橋状の土塁で仕切り、天水溜と二郭としている。郭というより幅広の堀のよう。
倉庫でもあったか。
 
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主郭切岸下 堀イ
 
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土橋のさき、主郭への登路か、桝形Dに道がある。
 
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堀イは折れ上がり桝形D端に至るこれも登路であろうか?
 
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遊歩道は西(左)にまわり、竪堀ウ伝いに桝形Dに入っている。
 
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竪堀ウを桝形Dにあがる
桝形Dは前面に土塁がある
 
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桝形D
右の窪みは竪堀に変化した堀イの上端
桝形D内高低差がある
 
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桝形D上段
突き当り左に折れる
折れの右、窪みは二郭・天水溜間の土橋さきからの登路
左高地は主郭・桝形Eが見える
 
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桝形Dを出て左に折れると、堀エが遮り、右斜面を屈曲しながら主郭へあがる。
あがった上には枡形Eが待つ。
 
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斜面を屈曲しあがる手前、堀エが喰い込んでくる。
宮坂先生の図面では、堀ウー桝形D-堀エは接続し、一体化して描かれている。
 
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屈曲登路のうえには、さらに桝形Eが待ち構える
 
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桝形E 
 
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主郭内から桝形E
越後では天正以降の普請にみられる。雷城、護摩堂城、春日山城景虎郭。
天正以降の上杉の普請?
いつの誰のはわからないが、桝形城、かなりいい。
 
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桝形城主郭
 
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主郭北西には土塁がある
 
 参考文献 宮坂武男『信濃の山城と館2』
 
  H25.12.18追記
 この桝形城は、天正10年本能寺の変後、窮地を脱した景勝が信濃に進出する過程において改修したものと考えます。E桝形形状と、主要部への登路の低地に堀で道を狭め関門を設け、その登路の低地と高地に枡形、もしくは桝形様空間を高低差を利用して階層的に設け構える普請は(向羽黒山城実城で記述)
は景勝期上杉の普請技術進化過程に合う構造と考えます。E桝形形状は春日山城景虎郭、雷城、護摩堂山城で見る形状と同じです。
 
 壮大な妄想ですが、いずれまとめてみたいと思います。
 
 また、桝形城東麓の昌善寺と、天正10年長野市で景勝より、任持来旨、出置地覚等の朱印状(上越市史別編2510,2512)を出されている小幡山城守との関連を詮索してみたいと考えています。