森将軍塚古墳館と 森将軍塚古墳(山上)
鷲尾城と屋代城の全景写真を撮ろうと寄ったら、思いがけず素晴らしい資料館と史跡でした。
森将軍塚古墳は、およそ1600年前の4世紀中ごろに作られた、全長約100mの前方後円墳です。山上に発掘調査に基づき正確に復元されています。
麓の森将軍塚古墳館には出土品をはじめ、森将軍塚古墳に関する資料が展示されています。
古墳館からバス(有料)で山上まで送っていただけますが、私は歩いて登りました。
途中凍っている場所もありましたが、15分ほどで到着。
しなののクニの王の墓に、おぅー、と感嘆しました。
前方部から見る後円部
後円部
中央に長大な竪穴式石室を設け、主が埋葬されていました。
埋葬された主は「科野(しなの)のクニ」の王と考えられています。
後円部の後方には、埴輪が並べられ儀式が行われたと思われる台形状の張り出し施設があります。
向こうに鷲尾城と城域にある倉科将軍塚古墳が見えます。
後円部からみる前方部
「科野(しなの)のクニ」の王の墓、森将軍塚古墳
麓の古墳館の様子
とても見やすく、わかりやすく展示されています
出土した三角縁神獣鏡片
三角縁神獣鏡は、中国製の鏡で、大和王権から全国各地の王に、政治的な関係を結んだ証として与えられたといわれています。長野県下唯一であることから、埋葬された主が科野のクニの王と考えられるようです。
鉄製の刀・剣
2F中央には後円部の竪穴式石室の精密模型があります。
1983年の後円部発掘調査の際、石室を埋め戻す前にシリコンゴムで型取りをして、樹脂を流し込み、精密に再現されています。
二重の石垣で囲まれた長さ15m、幅9.3m、深さ2.8mの穴の中に築かれています。
石室内部も精密に再現されています。
壁面はベンガラと呼ばれる顔料で真赤に塗られていました。
棺の周りの床は当地方にはない貴重な朱がまかれていました。
鷲尾城域にある倉科将軍塚古墳から出土した鉄製三角版皮綴短甲も展示されています。
史跡を観光開発ではなく、教育施設として生かす長野県、千曲市の素晴らしい心が伝わります。
古墳館、古墳とも各20分ほどで見学できます。ぜひ訪れてみてください。
参考文献 千曲市森将軍塚古墳ガイドブック