日常生活の中で普通に飲んでいる薬。
健康相談をしているとサプリメントのことをお薬とおっしゃる方もいらっしゃいます。
薬はどうやって効果を発揮しているのか、薬とサプリメントの違いは何か考えてみようと思います。
薬ってどうやって効いているの?
胃から腸へと運ばれた薬は主に小腸で吸収され、小腸を取り巻く血管へ摂り込まれ門脈(肝臓につながる静脈)を通って肝臓に運ばれます。肝臓に入った薬は代謝酵素などで分解されたり、毒性を弱められたり、排出しやすい形に変えられたりします。
肝臓を通過した薬は血液によって全身をめぐり、全身の組織で作用を発揮します。
薬は作用したあと、腎臓を通過して尿として排泄されたり、肝臓から胆汁の中に排泄されて便になったり、汗などと一緒に体外へ出ていきます。
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タンパク質と薬
アルブミンは血しょうに含まれるタンパク質の60%を占め、あらゆる薬と結合します。これとは別にグロブリンという血しょうタンパク質の結合は特異的でコレステロール、リン脂質、ビタミン、ステロイドホルモンなど極めて限られた物質にのみ結合します。
血液中ではすべての薬がアルブミンと結合するのではなく、アルブミンと結合した結合型の薬と結合していない非結合型の薬が存在しています。
非結合型の薬は生体膜を通過し、組織へ分布したり、作用部位へ到達して薬効を発現します。
一方、結合型の薬は生体膜を通過することができないため、血液中を循環し、非結合型の薬が代謝、排泄されて少なくなってくるとアルブミンと離れ、非結合型の薬として働きます。
血しょうタンパク質は組織に存在するタンパク質に比べると100分の1程度ですが、異物や薬と結合し、ひとまず不活化し、異物による急激な作用から身体を守っています。また、血しょうタンパク質の助けがなければ脂溶性ビタミンやステロイドホルモンは体内に存在できず、水に溶けにくい薬(難溶性の薬)は作用部位へ到達することができません。
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薬を飲むと肝臓が悪くなるって言われるのはなぜ?
肝臓の主な働きは、私たちの身体に必要なタンパク質の合成・栄養の貯蔵、ブドウ糖・脂質代謝、有害な物質(異物)の解毒、食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌です。
そのうち、薬の服用に関係するのは解毒、分解です。
身体に入った異物(薬や有害物質など)は、肝臓に多いシトクロムP450という酵素によって代謝され、活性を失わせたり、水に溶けやすい形に変換して、尿や便、汗といっしょに身体の外へ排出されます。
薬物代謝酵素には様々な種類がありますが肝臓に局在し、薬物代謝で最も重要な酸化反応を触媒する酵素がシトクロムP450です。
シトクロムP450は哺乳動物だけでなく、植物や微生物も持っていると言われています。通常、酵素は働きかける相手(基質)を限定していますが、シトクロムP450は選り好みせず、ほとんどの薬に作用します。
シトクロムP450が働くと活性酸素が発生します。この活性酸素が肝細胞を障害するため、薬をたくさん服用して負担が積み重なると、肝機能の低下や肝障害へと繋がります。
呼吸をしたり、食べ物を摂取したりする必要のある私たちは、異物を全く身体に入れないことは不可能です。生きている限り、肝臓に負担がかからない人はいません。
だからこそ、不調のあるなしにかかわらず、肝臓をいたわることはとても大切です。
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ビタミンと薬
しかし、薬は異物とみなされ、なるべく早く身体の外へ出そうとします。
サプリメントを摂取して肝臓が悪くなるという話を耳にすることがありますが、それはビタミンではなく、薬などの異物を摂取してしまっているからかもしれません。
サプリメントは食事として栄養素を取り入れるものなので、長期的に使用しても身体に負担のかからないものを選びたいですね。