梅雨に頭痛が起こる理由 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 

梅雨の時期は、頭痛やめまいの症状が悪化する人が多くなります。


気圧や温度、湿度など気候の変動に伴い起こる頭痛は「気象病」や「天気痛」とも呼ばれています。


頭痛は、血液に水分が溜まって血管が拡張し、神経を圧迫することで起こるとも言われており、湿度が高く、汗が蒸発しにくい梅雨は、特に頭痛が起こりやすくなります。

頭痛にはいくつか種類があり、気圧の変動を受けやすいのは「片頭痛」と言われていますが、筋肉のこりやストレスが痛みを招く「緊張型頭痛」もあります。

それぞれの特徴は下記のとおりです。

■片頭痛とは?

片頭痛は、頭の片側(または両側)が脈打つようにズキズキと痛む頭痛です。
吐き気や嘔吐を伴うことが多く、頭痛発作中は感覚過敏となって、普段は気にならないような光、音、臭いを不快と感じる方が多いようです。
また、痛みが始まる前に、目の前がチカチカしたり、ギザギザの光やオーロラ、モザイクのような模様が見えたりする閃輝暗点(せんきあんてん)という前兆があらわれる人もいます。
痛みはかなり強く、4〜72時間ほど持続し、身体を動かしたり入浴したりすると悪化することもあると言われています。

片頭痛を誘発する要因は、ストレス、疲れ、緊張、寝不足、過眠、気圧の変化・温度・湿度、生理、更年期、高血圧、副鼻腔炎、空腹、アルコールの過剰摂取など多岐にわたります。


ただし、脳の過敏性が高い人は、気圧や気温といった環境のわずかな変化でも片頭痛に結びつきます。

なぜ片頭痛が起こるのか、まだ明確なメカニズムは明確に解明されていませんが、セロトニンや三叉(さんさ)神経が関係しているのではないかと考えられています。
 

<片頭痛のメカニズム>

 「NHKきょうの健康」より


気圧の変化、ストレス、過労、睡眠不足などの精神的・肉体的なストレスを受けると、セロトニンという神経伝達物質が大量に放出され、脳の血管が収縮して血流が悪くなります。
セロトニンが出尽くして代謝されると、今度はその反動で逆に血管が異常に膨らみます。
脳の血管のまわりには、三叉神経が張りめぐらされているため、血管が異常に膨らむことで三叉神経が圧迫され、その刺激で血管拡張物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が放出し、炎症を起こします。その炎症によって片頭痛を発症すると考えられています。


特に、低気圧は、セロトニンの分泌量を不安定にするため、頭痛を起こしやすくなります。

※セロトニン・・・情緒、ストレス、睡眠、覚醒や痛みのコントロールにも関与し、さらに自律神経や血管にも作用し、血圧や脈拍にも影響を与える。

※三叉神経・・・顔の感覚(痛覚、触覚、冷熱感)を察知し、脳に伝える役割を果たす。

※CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)・・・37個のアミノ酸が連なったもの。
頭の硬膜や三叉神経にあり、片頭痛発作時の血管拡張や炎症反応の直接の原因とされている。頭以外にも、心臓、胃腸でも作用しており、代謝、加齢、傷の治癒に関わっているとも言われている。

片頭痛が起きた時の対処法として、静かで暗い環境で休むこと、痛む部位を冷やすことが良いと言われています。


 

■緊張型頭痛とは?

後頭部から首すじにかけて、重苦しい感じや、頭をベルトで締めつけられているような圧迫感が起こる頭痛です。
 

時々起こるもの(反復性緊張型頭痛)とほぼ毎日起こるもの(慢性緊張型頭痛)があり、片頭痛のようにズキズキする痛みや寝込むほど強い痛みではなく、動いても痛みは強くならず、光・音過敏や吐き気もないとされています。


緊張型頭痛の発症メカニズムは明確には解明されていませんが、慢性的なストレスが強い人、首や肩などの筋肉の血行が悪化している人などが発症しやすいと考えられています。
また、睡眠不足や目の疲れ、顎関節症、うつ病なども緊張型頭痛の引き金になることがあるとされています。


主な原因は、頭から背中にかけての筋肉が緊張し、血管が収縮して血流が悪くなることとされています。

 

血流が悪いと筋肉の中に老廃物がたまりやすくなり、それが周囲の神経を刺激して痛みを起こします。


緊張型頭痛は、悪い姿勢や運動不足、デスクワークやゲームなどの長時間の同一姿勢、冷え症の人に多くみられます。

 

また、精神的ストレスも誘因となります。
 

緊張型頭痛は、入浴、マッサージ、ストレッチなど筋肉をほぐし、血流をよくすることによって痛みは軽減されると考えられています。

 

「肩甲骨まわし」もおすすめです。
 

監修:細野クリニック院長 細野 周作 先生

 

頭痛に悩んでいる方は、鎮痛剤を常用されている方も多いのではないでしょうか?


鎮痛剤は、あくまでも対症療法のため、薬の効果で一時的に痛みは緩和しますが、痛みの原因まで取り除くことはできません。


それに比べて栄養素は、お薬のような即効性や直接的な働きはございませんが、身体の状態をより良い方向へ整えて健康レベルを上げていくために必要なものとなります。

そこで、三石理論では、頭痛を予防・改善するために下記対策をおすすめしています。

まず、身体のエネルギー代謝を円滑にして、身体に備わった機能を整える必要があります。
そのためには、良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ミネラル(亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄、銅など)などの基本の栄養素の摂取が重要になります。

特に良質タンパクは、組織や代謝酵素などの材料になり、栄養素を運ぶ働きもあるので、他の栄養素をしっかり摂取していても良質タンパクが不足していると、栄養素が身体で働きにくくなるということが考えられます。

頭痛は自律神経の乱れによって起こりやすくなりますので、ビタミンB群(特にB12)、レシチン、ミネラル(カルシウム、マグネシウム)など自律神経の働きをサポートする栄養素を強化することも必要です。

また、血管の収縮・拡張に直接関与しているのが、カルシウム・マグネシウムです。
マグネシウムはカルシウムの血管収縮作用を防ぎ、血管を拡げる作用もあります。

さらに、脳の血流改善のために、ビタミンEやイチョウ緑葉エキスなどの栄養素は大切です。

血液中の脂質が酸化されると血液の粘度が上昇し、脳の酸素欠乏を招き、痛みにつながりますので、脂溶性の抗酸化成分であるビタミンEの摂取は特に重要です。

※三石巌はビタミンEの働きについて、次のように述べています。
ビタミンEには、不飽和脂肪酸の過酸化物を還元して、元の不飽和脂肪酸に戻す作用もあるといわれる。

血中の過酸化脂質の濃度は、ビタミンEの存在によって減少するはずだ。
そこで、血液は流れ、頭痛が治るのは当然という論理になる。


慢性的な炎症やストレス、お薬の服用などにより、活性酸素の発生量が多くなります。
ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10、植物ポリフェノール、イチョウ緑葉エキス、カロチノイドなどは活性酸素対策に必要な栄養素です。

頭痛の原因の一つであるストレスが生じると、体内では抗ストレスホルモンを合成し対抗します。

抗ストレスホルモンの合成には、良質タンパク、ビタミンC、ビタミンEが必要です。
これらの栄養素が不足すると、ストレスに対応できなくなり、身体は負担を受けやすくなります。

特にストレスが多い時には、強化してお摂りください。

慢性化している頭痛は、睡眠不足や姿勢などが影響している場合もありますので、日常生活の見直しもしてみましょう。

参考)
頭痛の診療ガイドライン2021(一般社団法人 日本頭痛学会)