痛風は夏に起きやすい!? 意外と知らない痛風のこと | 分子栄養学のススメ

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●とにかく痛い「痛風発作」

 

足の親指の付け根などが、突然赤く腫れて痛み出し、2~3日は全く歩けなくなるほどの激痛を伴います。

 

痛風という名は、風が吹いただけでも痛みが走ることから付けられたとの説があります。

 

痛風の患者数は、国民生活基礎調査からの概算で、推定約110万人、「尿酸値」が高めだけれど症状が出ていない人は1,000万人を超えるといわれています。


以前は、中高年の男性が罹るイメージでしたが、近年では若年化や女性患者の増加傾向も見られるようです。

 

しかし、実際は尿酸値が高いからといって必ず痛風になる訳ではなく、尿酸値が高くても痛風にならない人も多くいます。

 

では、痛風予備軍の人は、どのような予防対策を立てればよいのでしょうか。

 

それにはまず、痛風が起きるメカニズムを知ることが大切です。
 

●痛風が起こる仕組み

尿酸は、プリン体(細胞中にある核酸の成分)が最終的に分解されてできる物質です。

痛風は、血中の尿酸値が高く、尿酸塩(尿酸ナトリウム)が結晶化して、関節などに沈着して起こります。

トゲトゲした針状の結晶は、周囲の組織を傷つけ、炎症を引き起こします。

また、尿酸は温度pHが低下すると溶解度が下がります

足先の関節などが結晶化し易いのはこのためです。
 

一方、小腸粘膜などの糖タンパク(糖とタンパク質の複合体)の多い組織では、尿酸は溶解度を増しています

糖タンパクは尿酸と結びつき、結晶化を防いでいると考えられています。

痛風の予防策としては、体内で十分に糖タンパクを作れるようにしておくことが大事です。

糖タンパクの合成には、良質タンパクビタミンAが材料として欠かせません。


また、糖タンパクは活性酸素に弱いので、ビタミンCポリフェノールなどの抗酸化物質にも不足がないようにすることが大切です。

 

●尿酸の体内での役割

人間の尿酸値は、他の動物に比べると、非常に高いことが知られています。

尿酸は、腎臓で約90%が再吸収されています。

再吸収の効率が良いことから、尿酸は単なる廃棄物ではなく、体にとって有用な働きがあるのではないかと考えられるようになった経緯があります。

その後、「活性酸素の除去」に役立っていることが分かり、私たちの血液が飽和量に近い尿酸を持つことの意味合いが注目されるようになりました。

 

尿酸を必要以上に減らしてしまうと、逆に健康を損ね兼ねないとも限らないのです。

 

●痛風は夏に起きやすい

痛風は、夏に気を付けたい疾患の一つです。
通常の気温の時に比べて、痛風発作が増えるという研究報告もあります。

 

血中の尿酸濃度は、発汗などによって体内の水分が奪われることが原因で上昇します。

尿酸は尿として排出されるため、水分を十分に摂取し、尿量を確保して、排出を促すことが大切です。

栄養素では、ビタミンC、葉酸、カリウムには尿酸の排出を促す働きがあるといわれています。


 

●生活習慣の見直しも大切

尿酸は、体内合成が7割であることから、食事の影響は3割と少ないですが、高カロリー食は、体内合成にも影響を与えるため、注意が必要です。
プリン体を多く含む食品ということではなく、全体的なカロリー摂取(ジュースや缶コーヒー、間食が多いなど)がある場合には、改善が必要です。

また、内臓脂肪の蓄積が尿酸産生を亢進させることや、尿酸排泄を低下させるリスクが報告されていることからも、過体重を解消することによって、数値の改善に直接つながるケースも見られます。


<参考書籍>