夏バテを防ぐ栄養素 | 分子栄養学のススメ

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 

夏バテの主な原因として、自律神経の乱れ、体内の水分やミネラル不足、食欲低下による栄養不足、睡眠不足などが挙げられます。

●温度差による自律神経の乱れ


身体は外気温に関わらず、体温を一定に保とうとする働きがありますが、暑い屋外と冷房の効いた室内の往復は、体温調節を担う自律神経に負担がかかり、交感神経と副交感神経のバランスの乱れにつながります。


自律神経は血圧や心拍、内臓の働きといったさまざま活動を調整しているため、自律神経が乱れることで、夏バテの症状があらわれます。


●体内の水分やミネラル不足

多量の発汗により水分と一緒にナトリウムやマグネシウムなどのミネラルが排出され、不足しやすい状態になります。
また、成人の身体のおよそ60%を占める水分は、血液や細胞内に含まれています。
体内の水分が不足すると、血流が悪くなり、脳や筋肉・内臓へ送られる血液の量も減ることから、だるさや食欲不振などの症状があらわれます。

 

 

●食欲低下による栄養不足

暑さによって胃の消化機能が低下すると食欲がなくなり、ついつい冷たい物やさっぱりした簡単なものだけで済ませてしまいがちです。
食事の回数や品数が減ることで、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど身体に必要な栄養素が不足します。
これらの栄養素は、疲労回復にも必要なため、不足することでさらに悪循環に陥ります。

 

 

●睡眠不足

 


 


私たちの身体は、睡眠中は深部体温(脳や内臓の温度)を下げて脳や身体を休ませ、朝の起床に向かって徐々に深部体温を上げる仕組みになっています。
熱帯夜で深部体温が下がらないと、途中で目が覚めてしまったり、眠りが浅くなったりすることがわかっています。
深部体温が下がると寝付きやすくなりますので、就寝1~2時間前にぬるめの湯船(38℃程度)につかって深部体温を上げておくと、就寝時間に深部体温が下がるタイミングとなるので、スムーズに寝ることができ、熟睡しやすくなると言われています。

また、質の良い睡眠のためには、枕や寝具の適度な硬さやフィット感のあるものを選ぶことも重要です。


参考:e-ヘルスネット

快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
 

夏バテ予防に「良質タンパク」「ビタミンB群(ビタミンB1)」「ビタミンC」「ミネラル」
 

●良質タンパク


骨格や筋肉、内臓、皮膚、毛髪、血管などあらゆる細胞・組織をつくる材料となります。
疲労回復、免疫力向上にも欠かせません。

 


イラスト:知識ゼロでも楽しく読める!たんぱく質のしくみ

 

脳で分泌される睡眠ホルモンの原料にもなり、眠りの質を高める重要な役割を果たしています。


入眠物質として知られているメラトニンは、必須アミノ酸の1種であるトリプトファンからセロトニンを経て合成されます。


トリプトファンは、体内では合成できないため、トリプトファンを多く含む乳製品(牛乳・チーズなど)や大豆製品、肉、魚などの食品の摂取によって、安定したメラトニン合成を促すことにつながります。


その他、合成には共同因子としてビタミンB群(ビタミンB6、ナイアシン)、ミネラル(マグネシウム)などが必要です。


食欲が低下すると、良質タンパクの摂取量も不足してしまいますので、意識して摂りましょう。良質タンパクは体重1㎏あたり1g必要です。

※タンパク質の「質」は、その構成成分であるアミノ酸の種類やバランス・含有量によって決まります。

食品に含まれるタンパク質が良質かどうかは、その食品中の必須アミノ酸の組成がヒトに必要なアミノ酸の種類や量に近いかどうかで判断します。

<多く含む食品>
卵、肉類、魚介類、乳製品、大豆製品など
 

●ビタミンB群(特にビタミンB1)


ビタミンB1は、水溶性のビタミンB群の一種で、疲労回復のビタミンとも呼ばれており、炭水化物 (糖質)の代謝を促す働きや神経や筋肉の機能を正常に保つ働きがあります。


夏は、食欲が低下することに加え、麺類や清涼飲料水など糖質の摂取が多くなることで、ビタミンB1の消耗が激しくなります。
 

ビタミンB1が不足すると、食欲不振や疲労感、進行すると手足のしびれ、むくみ、動悸などの症状が見られるようになります。

<多く含む食品>
豚肉(特にヒレ肉やもも肉)、卵、アボカドなど

また、ビタミンB群(B1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、B12、葉酸)は、単独で働くのではなく、お互い助け合いながら働きます。
夏バテを予防するためにも、ビタミンB群を意識して摂りましょう。

●ビタミンC


ビタミンCは、疲労を起こす原因の1つとされている活性酸素を除去する働きがあります。


また、ビタミンCには、ストレスを軽減するホルモンを合成する働きがあります。


暑さや疲労を感じると、副腎からストレスを軽減するためのホルモンが多く分泌されますが、この時にビタミンCが大量に消費されてしまいますので、強化摂取がおすすめです。

<多く含む食品>
じゃがいも、パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツなど


ビタミンCは、食品からだけでは大量に摂取することが難しいので、栄養補完食品での摂取をおすすめします。


●ミネラル(カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ナトリウムなど)

イラスト:日本経済新聞(2019年6月18日号)


ミネラルは身体の機能が正常に働くよう調節する役割を担っているため、夏バテの症状と密接にかかわっています。

特に、鉄は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となり、全身の細胞に酸素を届ける働きを助けるため、不足すると貧血や、疲労感につながります。

また、エネルギーを作り出す際には、マグネシウムやカリウムが必要です。
体内の酵素の働きをサポートする亜鉛や自律神経を整えるカルシウムなども夏バテを予防するためには欠かせない栄養素です。

さらに、熱中症予防にはナトリウム(塩分)とカリウムをバランスよくとることも大切です。

これからが夏本番です。暑い季節を快適にのりきりましょう!

 

<参考図書>