分子栄養学のススメ -26ページ目

分子栄養学のススメ

分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 

さて、昔から「風邪は万病のもと」といわれます。

三石巌は、このことわざの真偽について、下記のように書いています。

インフルエンザを含めて、風邪はウイルス感染症です。ウイルスに感染した細胞は、本来の作業をやめて、もっぱらウイルスの増殖を始めます。ウイルスがいっぱいになると、その細胞はパンクして死んでしまいます。ということは、細胞の数が減るということです。また、ウイルスに殺されなくても、その細胞はNK細胞に穴を開けられて死ぬわけです。どっちみち、ウイルス感染があれば、多かれ少なかれ細胞数は減ることになります。

風邪をひいても、治ってしまえば安心だ、と思うのが普通です。しかし、風邪をひけば、いくら軽くても細胞の数は減るのです。それは老化を一歩すすめたことになるわけでしょう。老化がすすめばいろいろな機能が低下しますから、病気との縁がそれだけ深まります。そういうことを考慮に入れれば、風邪は万病のもとというのも、まんざらうそではないことになるではありませんか。

ここでおまけをつけるなら、「ストレスは万病のもと」といっておきたくなります。

『老化と活性酸素』三石巌著(阿部出版)より抜粋

厚生労働省のデータによると、新型コロナウイルス感染者の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっています。重症化する場合も、最初は普通の風邪症状(微熱、咽頭痛、咳など)から始まっており、症状が出てから約5~7日程度で、急速に悪化し、肺炎に至っています。

また、若年層は重症化する割合が非常に低いことから、感染が拡大している状況が見えにくく、結果として多くの中高年層に感染が及んでいるという分析も出ています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html

 

しかし、重症化のリスクが低いからと言って、新型コロナウイルスに罹っても問題ないと捉えるのは非常に危険です。若年層の死亡もゼロではなく、後遺症が残る懸念もあります。国立国際医療研究センターの追跡調査によると、数ヶ月経っても脱毛症になったり、息切れや嗅覚の異常などがあったケースが分かっています。

 

三石巌の“造語”の一つに「老化圧」という言葉があります。“老化を推し進める力”という意味ですが、その元凶となるのは、“余剰に発生した活性酸素”であると説明しています。

 

そもそも活性酸素とは・・・

酸素は生命を維持するのに不可欠な元素です。酸素は赤血球によって血中を運ばれていき、細胞へ取り込まれます。このうちの98%はエネルギー作りに用いられ、残りの2%は活性酸素になります。

ミトコンドリアにはブドウ糖や脂肪酸を使って、ATP(エネルギー物質)を作る酵素が配置されています。酸素はこの最終工程でほとんどが水になりますが、途中の数ヶ所で電子がコースを外れ、この電子が酸素を活性酸素に変え、ミトコンドリアに不可逆的な損傷を与えます。

高齢者の脳や心筋の細胞で、ミトコンドリアDNAの欠損が見られることや、骨格筋のエネルギー産生能力が低くなっていることが知られていますが、その理由は余剰の活性酸素によって説明がつきます。

 

新型コロナウイルスなどの感染症に罹ると、免疫細胞がウイルスや細菌と闘う際に活性酸素が大量に発生します。炎症や痛みなども伴います。

 

三石いわく、老化を避ける秘訣は、風邪をひかないようにし(ひいてもこじらせないように)、ストレスを避け、活性酸素の除去に意識的に取り組み、余剰に発生する活性酸素をできるだけ少なくすること、というわけです。

 

老化の進行や速度には著しい個体差がみられます。これには、栄養条件の違いが大きく関わっていると考えられます。高タンパク食と共同因子であるビタミンB群・ビタミンC、そして、活性酸素を除去する働きのある栄養素(植物ポリフェノール、ビタミンEなど)は欠かせない条件です。

人間はそれぞれの時代に生きて、失敗や成功をしながら今日の文化をつくりましたが、そのときに後世の人にぜひ言い残しておきたいことが自然に伝わったのが、ことわざや故事・格言といわれます。

※参照『ことわざ格言辞典』(永岡書店)

 

「風邪は万病のもと」、感染症の流行期にさしかかっている今こそ、先人の教えに耳を傾けたいと思います。

温活とは・・・

健康を維持するために適正な体温まで基礎体温を上げる活動のことを言います。

現代人は、昔の人に比べると基礎体温が0.5℃~1.0℃ほど低い傾向があり、冷え症やちょっとした身体の不調に悩まされている方が多いそうです。
特に「冷え症」は多くの女性が持つ悩みの一つで、肥満やむくみ、生理不順、不妊、免疫力の低下など、さまざまな不調を引き起こす原因となっています。

体温については8月17日のブログ『ウィズコロナ時代に知っておきたい体温の科学』に詳しくありますので合わせてお読みください。


コロナとともに迎える秋冬・・・
新型コロナウイルスは飛沫感染だけでなく空気感染やエアロゾル感染するという報告が出されています。
もし体内にウイルスが入ってきてしまったら、自分自身を守れるのは自分の免疫だけです。
免疫力を保ったまま過ごすにはどうすればいいのでしょうか。
体温低下と免疫力の低下は相関関係があるといわれています。
自らの行動で身体を温めていく温活でコロナ禍での健康を自分で守りましょう。

  • 血流を良くする

気温が低くなり、血管が収縮するだけでなく、動脈硬化で血管が細くなっていれば、血流が滞ることにより、しびれ、冷え、関節痛などが起こってしまいます。
血管が細くなっていても、血液の粘度が対応できる程度に低下していれば、血流の滞りはなく、これらの症状は改善されると考えられます。
そのような身体にするためには、まず、良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンCを不足のないように摂取し、身体の機能が正常に働くようにすることが重要です。
これに加えて、血流改善のためのビタミンEやイチョウ緑葉フラボノイドなどの栄養素を組み合わせていくことをお勧めします。
血液中の脂質が酸化されると血液の粘度が上昇し、血流の滞りに繋がりますので、脂溶性の抗酸化成分であるビタミンEの摂取は特に重要です。また、ビタミンEには女性ホルモンのバランスを整える働きもあります。
 

  • 身体を温める

外気が冷えてくると鼻から吸い込む空気も冷えています。身体が冷えると、ウイルスに対抗するために必要な物質であるインターフェロンも産生量が低下してしまいます。
そのため身体を温めることはとても大切です。
特に頭部は洋服や布団から出ているため冷えやすく、脳に通じる太い血管が走っている首から背中にかけた部分を温めるのが有効です。
また、靴下や腹巻などで下半身を冷やさないようにする、3つの首(首、手首、足首)を温める、お風呂に入る、あたたかいものを食べるなど冷えから身体を守ることも大切です。

 

  • 運動をする

全身の筋肉の割合は下半身が70%を占めているといわれています。特に、ふくらはぎは第2の心臓と言われており、下半身にある血液を心臓に押し戻す働きを担っており、ふくらはぎが衰えてしまうと、血流も悪くなってしまいます。
ウォーキングやジョギング、スクワットなど、下半身を使った運動をすることで血流が促進し、身体全体があたたかくなります。
また、筋肉は体熱の約40%を産生するといわれていますので、筋肉が増えると体温が上がります。毎日少しずつでも良いので生活の中に運動を取り入れてみましょう。
三石巌がお風呂で行っていたアイソメトリックスをご紹介しますので、ぜひ行ってみてください。


基本のスクワットについては『ステイホームに潜む!座りすぎの代償』に、他のアイソメトリックスについては三石巌著『老化と活性酸素』に詳しく載っています。合わせてご覧ください。