「お口のトラブルと栄養対策」~同じ症状を繰り返していませんか?~ | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

「全身の健康は口の健康から」といわれますが、口には、「食べる」「話す」など、長い人生を楽しく生きるために必要な機能が備わっています。

 

そのため、ちょっとした口腔トラブルでも、生活の質(QOL)の低下につながってしまいます。


身近な口腔トラブルとしては、口内炎、口臭、唇の乾燥、歯茎からの出血などが挙げられます。

 

これらの症状を繰り返してしまうケースでは、栄養不足が関係しているものが多く見受けられます。

 

トラブルが小さいうちに解決することが、お口の健康を保つ上で大切です。
 

●ケース1 口内炎や口角炎ができる

ストレスや栄養不足などによる免疫力低下や、口の中を噛んでしまうなどの物理的刺激、ウイルスなどによる感染が考えられる他、原因不明な場合もあります。


そのため、口内の粘膜を構成する栄養素を摂取して粘膜を強化し、口内炎ができにくい状態に変えていくことが大切です。

 

●ケース2 歯茎から血が出る

歯茎からの出血で一番疑われるのは、歯周病です。歯茎に炎症が起こり、赤くなったり、出血したりします。

 

歯茎は、コラーゲンや粘膜組織で構成されており、これが歯と歯周組織を結びつける重要な役割を果たしています。

 

この組織が弱くなると、歯茎がやせて歯周ポケットが深くなり、歯周病に陥りやすくなるだけでなく、本来必要な歯磨きなどのケアも、組織に傷害を負うリスクとなってしまいます。

 

●ケース3 唇が乾燥する

皮膚には皮脂腺や汗腺があり、自分で潤いを保っていますが、唇には皮脂腺や汗腺がありません。

そのため、唇の粘膜は体の水分(体液)で潤いを保っています。

 

水分補給が不十分なときや、加齢や発熱などによって体内の水分が少なくなったときも唇が乾いてきます。

 

冬場の乾燥時だけではなく、夏場はクーラーによる乾燥や脱水などにも注意が必要です。

 

●ケース4 口臭が気になる

歯周病や虫歯など口の中に病気がある場合や、歯磨きなどが不十分で歯石や歯垢が溜まっている場合などが原因となります。


後者では、舌苔や食べ物の残渣物に含まれるタンパク質が、口腔内の細菌によって分解されると、揮発性硫黄化合物というガス(口臭の原因物質)が発生します。

 

唾液には口の中の汚れを落とす作用があるため、よく噛んで食べると、唾液の分泌が促され、口臭予防につながります。

唾液の分泌が低下している場合には、水やぬるま湯でうがいをして口腔内を潤したり、唾液腺のマッサージなども推奨されています。

 

●お口のトラブルを繰り返さないための栄養対策

 

口腔内は粘膜によって覆われており、粘膜は自ら粘液を分泌することでその表面を保護しています。

 

粘膜の構成に関わる栄養素としては、良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群(特にビタミンB2は粘膜の正常化に必要)、ビタミンC、ミネラル(亜鉛、鉄)、レシチンなどが挙げられます。

 

中でもビタミンAは、粘膜の上皮細胞の作り変えや粘液作りに欠かせない栄養素です。

 

粘液と粘膜が隙間なくしっかりと付着するためには、レシチンが役立っています。レシチンは大豆や卵などに多く含まれる栄養成分です。

成人の体は約60%が水分で、残りの約半分がタンパク質です。

そして、その体タンパクの約1/3を占めているのがコラーゲンです。

コラーゲンの種類は豊富で、組織・器官によって使い分けられています。

コラーゲンを強化して、出血しにくくするためには、良質タンパク、ビタミンC、鉄などの栄養素が必要です。 

 

また、鉄不足はしつこい口内炎を引き起こすといわれているので、適切に摂取することが大切です。

 

野菜などに含まれる「非ヘム鉄」は、胃酸によって吸収しやすい形となり吸収されますが、「ヘム鉄」はタンパク質に包まれた状態の鉄で、非ヘム鉄よりも吸収率が良いのでお勧めです。

ストレスは免疫機能や唾液の分泌を低下させるなど、口腔内トラブルの要因となります。

自律神経の交感神経が興奮すると、唾液の分泌を抑制します。緊張すると口の中がカラカラになるのはこのためです。


唾液をつくる腺に炎症があったり、口腔粘膜が粘液不足で乾いていても、唾液の分泌不足が起こります。

唾液の分泌を正常に促していくためには、唾液腺の正常化とともに分泌を促す条件を整えることが必要です。

 

栄養素としては、良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、レシチンなどの摂取が必要です。

 

唾液分泌の低下は、健康レベルを低下させ、全身問題にもつながります。

また、口腔内に炎症が生じているときは、その痛みなどがストレスとなり活性酸素が多量に発生しています。

これが炎症を慢性化・悪循環化させます。


歯周組織には、活性酸素を除去するために必要な酵素(SOD)やコエンザイムQ10が局在しています。

しかし、これらは年齢とともに合成能力が低下してしまいます。

 

炎症対策には、ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、コエンザイムQ10などがサポートします。

<参考>