夏は汗をよくかくため、痩せやすいと思いがちですが、汗は体温調整をしているだけで、脂肪が燃焼しているわけではありません。
実は夏こそ「太りやすい季節」とも言われています。
夏太りの主な原因は、「基礎代謝量の低下」「自律神経の乱れ」「食生活の乱れ」などがあげられます。
<夏太りする原因>
■基礎代謝量の低下
基礎代謝とは、呼吸したり、心臓を動かしたり、体温を維持するなど生命維持活動のために消費するエネルギーのことです。
身体を正常に機能させるためには 36〜37℃の体温が不可欠です。
冬は外気温が体温よりずっと低いため、自分でエネルギーを消費して熱を作り出し、体温を維持しなければなりません。
これに対し夏は気温と体温の差が少ないため、体温維持に冬ほどエネルギーを使う必要がありません。
それにより基礎代謝量が下がりやすくなります。
年齢や筋肉量によっても変動しますが、成人男性であれば1日 約1500kcal、成人女性であれば1日 約1200kcalが消費されると言われていますが、加齢に伴って筋肉量が減少すると基礎代謝量は低下します。
基礎代謝量については、こちらをご覧ください。
年末年始のウエイトコントロール | 分子栄養学のススメ (ameblo.jp)
基礎代謝量が低下し、日々摂取するカロリーが消費カロリーを上回ると太りやすくなります。
■自律神経の乱れ
夏は、室内外の温度差が原因で体温調整機能をつかさどる自律神経が乱れやすくなります。
ヒトの身体は気温などの環境の変化に適応するために、自律神経による体内環境の調整をつねに行っています。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類あり、さまざまな働きがありますが、交感神経は身体の働きを活発にしたり発汗により体温を下げること、副交感神経は身体をリラックスさせたり食物の消化吸収を促す働きがあります。
自律神経を酷使しやすい夏は、交感神経が優位になりやすく、暑さに対応すること自体が自律神経にとって大きな負担になります。
交感神経が高い状態が過剰に続くと、胃腸の働きの低下・血流の悪化・代謝の低下などが起こりやすくなります。さらに、自律神経の乱れは、基礎代謝の低下につながり、脂肪燃焼が滞ることで太りやすくなります。
■食生活の乱れ
自律神経の乱れによって胃腸の働きが低下することに加え、アイスクリームやジュースなどの冷たいものを摂りすぎてしまいがちです。
まずは、日常的に摂取する飲み物に糖分がどれぐらい含まれているか確認してみましょう。
※栄養成分表示の「炭水化物」の項目をチェックしてみましょう。
炭水化物=糖質+食物繊維ですが、飲料水には食物繊維が含まれていないものがほとんどのため、炭水化物=砂糖(糖分)の量として、換算します。
カロリーオフやノンカロリーの表示でも糖分が含まれていないわけではありません。
※飲料100mlあたり下記のエネルギー量が含まれています。
●「カロリーゼロ」「ノンカロリー」:5kcal未満
●「カロリーオフ」「カロリー控えめ」:20kcal未満
●「糖質ゼロ」
糖類、多糖類、糖アルコールなどを含んでいないものをさします。
糖質を含んでいないのに甘みを感じられる食品もありますが、その場合は糖質の代わりに天然甘味料や人工甘味料が使われている場合があります。
天然甘味料…ステビア、甘草(グリチルリチン)
人工甘味料…アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース
●「糖類ゼロ」
糖類は単糖類や二糖類をさします。
糖質ゼロと同様で、糖類が含まれていない=甘くないというわけではありません。
糖類ゼロの場合は、代わりに糖類には分類されないオリゴ糖やキシリトールなどを含んでいることがあります。
●「果糖ぶどう糖液糖」
とうもろこしなどの「でんぷん」に酵素を反応させてブドウ糖(グルコース)の一部を果糖(フルクトース)に変化させているものです。
砂糖よりも甘みが強く、さらに低価格であることから、沢山の加工食品に使用されています。特に果糖は低温で強い甘みが感じられることから、清涼飲料水などに使われたり、ガムシロップなどに使用されています。
血糖値を急激に上げ糖化をすすめると言われているため、摂り過ぎには注意が必要です。
【夏太りを予防・改善する対策】
◎エネルギー代謝を高める栄養素を摂る
(良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、コエンザイムQ10、マグネシウム、亜鉛)
エネルギーの代謝を高め、体内の糖や脂肪をエネルギー源として積極的に利用する必要があります。上記の栄養素の中でも良質タンパク、ビタミンB群(特にビタミンB1)、ビタミンCの摂取が重要です。
●良質タンパク
食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。このため食事をした後は、安静にしていても代謝量が増えます。
この代謝の増加を食事誘発性熱産生または特異動的作用といいます。
食事誘発性熱産生でどれくらいエネルギーを消費するかは栄養素の種類によって異なります。
タンパク質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%で、通常の食事はこれらの混合なので約10%程度になります。
この結果からも分かるように、タンパク質のエネルギー消費量は、他の栄養素に比べてずば抜けて多いのです。つまり、タンパク質の多い食事は代謝を盛んにしてくれます。
私たちは毎日、体重の1kgあたり1gのタンパク質を摂らなければ代謝を完全に行うことができません。
そこで、良質タンパクを含む卵などの摂取が欠かせません。
●ビタミンB1
糖質代謝にかかわるビタミンで、糖質を燃やしてエネルギーを作り出すときに必要な栄養素です。
また、疲労回復効果が期待でき、神経の働きを正常に保つ働きもあります。
麺類、アイスクリームなど糖質の多い食事は、ビタミンB1がどんどん使われます。
さらに、水溶性ビタミンの為、体内に蓄えておくことができず、汗とともに排出されやすいためどうしても不足しがちになります。
その結果、エネルギーへ変換できなかった糖質は、脂肪として体内に蓄積されやすくなります。
●ビタミンC
ビタミンCは、ストレスを軽減するホルモンを合成する働きがあります。
暑さや疲労を感じると、副腎からストレスを軽減するためのホルモンが多く分泌されますが、この時にビタミンCが大量に消費されます。
上記の栄養素は、自律神経を整える働きもあります。
◎褐色細胞を活性化する
太る原因には、脂肪細胞の増加や増大が関係していると考えられています。
ヒトの脂肪細胞は、「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」の2種類に分けられます。
●白色細胞とは?
白色脂肪細胞は特に下腹部、お尻、太もも、背中、腕、内臓まわりなどに多く存在しています。体内の余分なエネルギーを脂肪として蓄積します。
白色脂肪細胞は、胎児の時や生後1年間、思春期などに増加すると言われています。
●褐色脂肪細胞とは?
褐色脂肪細胞は、首、脇の下、肩甲骨、腎臓付近などに存在しています。
体内に蓄積された余分な脂肪を熱に変え、体外に放出し体温を上げる働きがあります。
褐色脂肪細胞が働くことで、脂肪が燃焼されやすく、痩せやすい身体になると考えられています。
幼児期には多く存在しますが、成長期に入ると少しずつ減少し、その量は幼少期の約半分以下に減少してしまいます。
また、遺伝子の違いから個体差があり、痩せやすい人と太りやすい人の差があるのは褐色脂肪細胞の差だとも言われています。
褐色脂肪細胞を増やすことはできませんが、努力次第で活性化させることは可能です。
■肩甲骨のまわりのストレッチ
褐色脂肪細胞を活性化するためには、肩甲骨のストレッチもおすすめです。