肩こりは栄養不足が原因? | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 

厚生労働省が行なっている調査によると、普段感じている自覚症状の中で「肩こり」は女性では第1位、男性でも肩こりが腰痛に次いで第2位となっています。
肩こりの原因は「長時間の同じ姿勢」「姿勢の悪さ」「眼精疲労」「運動不足」「ストレス」「冷え」などがあげられます。
また、現代人の約8割が発症していると言われる「スマホ首」も肩こりの原因です。

 

■スマホ首とは?

約5~7㎏の重さがある人間の頭を支えている首や肩には、日常的に大きな負担がかかっています。
頭を前に15℃傾けると頸椎にかかる負荷は約12㎏、60℃傾けると負荷は約27㎏にもなると言われています。
頸椎は本来、ゆるやかにカーブを描いていますが、頭を前に傾ける時間が長いと頸椎のカーブが失われ「ストレートネック」になってしまいます。
ストレートネックは、首の前側の筋肉が緊張している状態であり、この姿勢を長時間続けると、筋肉がこり固まり、肩こりを誘発します。
頸椎の関節には多くの神経が通っているため、肩こりだけでなく、頭痛やめまい、手や腕のしびれ、自律神経失調症などの症状があらわれます。さらに、歯の嚙み合わせの悪化、誤嚥にもつながると言われています。
 

■あなたもスマホ首かも?チェックしてみましょう。

かかと・お尻・肩甲骨・後頭部の4点を壁にピタッとつけて立ってみましょう。
後頭部が壁に付かない、または後頭部はつけられても、姿勢を維持するのがつらい方は、スマホ首の可能性があります。

■なぜ肩がこるの?


肩は複数の筋肉で構築されています。
その中で、肩こりに最も関係が深い筋肉は「肩甲挙筋」と「僧帽筋」です。
肩甲拳筋は腕を持ち上げる等の役割を担い、僧帽筋は頭を一定角度に保ったり、肩甲骨を動かす際に使われています。
筋肉は、弛緩したときに、酸素や栄養素を含んだ血液を取り込み、緊張したときに老廃物を送り出す、という作用を繰り返して血液の循環を助けています。
しかし、姿勢の悪さや長時間の同じ姿勢、眼精疲労、ストレス、運動不足、冷えなどによって筋肉が緊張しこわばると筋肉の内側にある血管が圧迫されて、血流が悪くなってしまいます。
すると、筋肉に十分な酸素が供給されなくなり、その部分に乳酸(疲労物質)が蓄積します。
乳酸は筋肉を包む筋膜内の痛覚神経を刺激し、発痛物質(プロスタグランジン・ブラジキニン、ヒスタミン、セロトニンなど)を発生させ痛みを引き起こします。
この発痛物質に反応して、また筋肉がこわばり緊張し、肩こりの悪循環へ陥ります。


肩こりは乳酸の蓄積により生じます。
乳酸を分解する栄養素を摂取することで、肩こりの改善に繋がります。

 

■肩こりを改善する栄養素

ビタミンB1には、糖質をエネルギーに変える働きや乳酸を分解する働きがあります。
細胞がエネルギーとして利用する糖質はブドウ糖です。
ブドウ糖が酸化(燃焼)されてエネルギーを生み出す過程のなかで、ビタミンB1が不足すると、糖質の代謝異常がおこり、筋肉などに不完全燃焼の産物である乳酸が蓄積します。
 
ビタミンEには、毛細血管を拡張して血行を改善する働きがあります。
血行が良くなると筋肉にたまった乳酸が運び出され、筋肉に酸素と栄養を届けられるため、肩こりの改善につながります。
また、活性酸素を除去する「抗酸化ビタミン」であるということも、肩こりの改善に大きく関係しています。
活性酸素は血管にダメージを与えて血行不良を起こし、肩こりを悪化させる作用があります。
ビタミンEは抗酸化作用によって、肩こりの症状を改善します。
 
肩こりを改善するためには、下記の栄養素も関わっています。

・筋肉の強化に良質タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラル(カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅など)
 
・筋肉の弛緩と収縮にマグネシウム、カルシウム
 
・痛みの緩和にビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、イチョウ緑葉フラボノイド
 
・血流改善にビタミンE、イチョウ緑葉フラボノイド


急激な痛みを伴う肩こりに「石灰沈着性腱板炎」があります。
石灰沈着性腱板炎は、肩の筋肉(腱板)内に、カルシウムが沈着し石灰化することで、炎症が生じ激痛が起こります。
石灰化は、カルシウムの摂り過ぎが原因で起こるわけではありません。
血中でカルシウムが不足すると、骨や歯に貯蔵されているカルシウムが溶け出し、血中のカルシウム濃度が逆に高くなり(カルシウムパラドックス)、あふれたカルシウムが組織に沈着し、石灰化してしまいます。
これを防ぐ為には、カルシウムを十分に摂取するとともに、カルシウムの代謝に関わるマグネシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの摂取が必要となります。

ビタミンやミネラルは、体内ではタンパク質と結合して組織に運ばれ、はじめて働くことができます。
良質タンパクが不足していると、どんなに他の栄養素を摂取しても、それが働けない状況が確立されてしまいますので、まずは良質タンパクをしっかり摂りましょう。

 

参考図書

 

 

肩こりの改善には栄養に加え「肩甲骨まわし」もおすすめです。
まずは、頭を正常な位置に戻すことが大切です。
そのためには、肩こりと関係が深い僧帽筋(肩甲骨を動かす筋肉)などの緊張を緩めて、
肩甲骨を大きく動かせるようになることが必要です。

 


 監修:細野クリニック院長 細野 周作 先生