ビタミンだけではもったいない。タンパク質の重要性。 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

タンパク質は英語でプロテインですが、プロテインとはギリシャ語で『第一義的なもの(=最も大切なもの)』を意味する『プロテイオス』をもじった言葉です。
オランダのゲラルド=ムルダーは様々な食品を分析しているうちに卵白、牛乳のカゼイン、小麦粉のグルテン、骨のゼラチンなど、外見上は全く違って見えるのに物質の化学的組成がほぼ一致していることを発見し、その物質に『プロテイン』と名づけました。

身体の中で働くタンパク質
タンパク質の分類では構造や溶解性など様々な分類がありますが、タンパク質の機能による分類ですと、全身の代謝を担う酵素タンパク質、細胞膜に存在する膜タンパク質、物質の運搬を担う輸送タンパク質、髪の毛や皮膚、臓器など身体を構成する構造タンパク質、筋肉の収縮に関わる運動タンパク質、細胞と細胞とをくっつける結合タンパク質、体内外のシグナルを受け取り伝達する受容体タンパク質、身体を守る抗体タンパク質など様々に分かれます。

これを見るだけでも全身でタンパク質が働いていることがわかるのではないでしょうか。
例えば酵素タンパク質について考えてみます。
口から入った食物はまず、口の中で唾液に含まれる酵素によって消化が始まります。この唾液に含まれる消化酵素であるアミラーゼはタンパク質です。そのため、タンパク質に不足があると、消化酵素が作れなくなってしまいます。
また、食物の消化吸収には様々な酵素が関係しておりタンパク質が不足していると食べても吸収できない状況が起こってしまいます。
新型コロナウイルス感染症でも話題になっている抗体もタンパク質でできています。また、抗体を合成する酵素もタンパク質の為、タンパク質に不足があるとウイルスから身体を守ることはできません。
ウイルス対策にもタンパク質が重要な栄養素と言えます。

ビタミンとタンパク質
私たちは酵素反応によって生命を維持しています。
DNAに刻まれている酵素の作り方から必要な部分を読み取り、酵素を産生しています。
酵素の種類は約3000と言われており、そのほとんどの酵素反応に協同因子が必要です。
協同因子とは酵素が働く際に必要になる物質のことで、協同因子が必要な酵素は協同因子がないと働くことができません。
その協同因子のほとんどがビタミンやミネラルです。
協同因子は酵素と結合することにより酵素活性を示し、働くことができるようになります。そのため、たくさんのビタミン、ミネラルがあったとしても、タンパク質がなければ働くことができないのです。



お薬とタンパク質
身体の中で働くタンパク質の中に輸送タンパク質があります。
コレステロールを運ぶLDLやHDL、酸素を運ぶヘモグロビン、ビタミンAを運ぶレチノール結合タンパクなどがそれにあたります。
そして、血液検査にもあるアルブミンも輸送タンパク質の一つです。
肝機能や腎機能、栄養状態の指標としても使われています。
アルブミンは血液中で遊離脂肪酸、金属イオン、尿酸など多くの物質の運搬を担っています。
その一つがお薬です。
お薬は血液内でアルブミンに結合して移動します。血液中のアルブミンの量が少ないとアルブミンと結合できないお薬が増えてしまいます。
お薬はアルブミンと結合していると作用せず、結合しないで離れていると作用します。
そのため、アルブミンが少ないとお薬が強く作用してしまい、副作用が発現しやすくなる恐れがあります。


また、お薬は体内の様々な受容体や酵素に作用することで効果が現れます。その受容体や酵素はタンパク質でできていますのでタンパク質に不足があるとお薬をたくさん飲んでも効果が表れないということも考えられます。

お薬を安全に使用するためにも、タンパク質をしっかり摂ることが大切です。