肺の健康レベルを上げるために | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

人は、肝臓、腎臓、あるいは脳が損傷されても数日間は生き延びることができますが、呼吸が約5分間停止すると酸素の欠乏により死に至ってしまいます。
現在、私たちはマスクをしていて呼吸が浅くなったり、運動不足で呼吸機能が低下していたり、気づいていないところで肺の健康レベルが低下している可能性があります。
今回は肺の健康レベルを上げるために日々できることを考えていきたいと思います。

呼吸とは・・・
呼吸の大切な働きは脳や身体に酸素を供給することです。
呼吸をすると肺は空気の出し入れで伸びたり縮んだりするように思われがちですが、実際はそうではありません。肺そのものに自動的に動く仕組みはなく、肺を収容している胸郭(きょうかく)の容積が変化することで、間接的に伸ばされたり、縮んだりしています。

 



 

胸郭の容積を変化させる方法は、大きく2つあります。
①外肋間筋(ろっかんきん)を使う方法 (胸式呼吸)
外肋間筋は、肋骨の間にある筋肉で、収縮すると肋骨を上げて胸郭を広げます。これによって胸腔が広がり空気を取り込みます。外肋間筋が弛緩すると胸郭が狭まり、空気が排出されます。



②横隔膜(おうかくまく)を使う方法 (腹式呼吸)
横隔膜は胸郭の下部にあるドーム型の筋肉で、収縮すると胸腔を広げて空気を取り込み、弛緩すると胸腔が狭まり、空気が排出されます。

通常はどちらか一方ではなく、外肋間筋と横隔膜、両方の働きによって呼吸運動が行われています。


肺の構造
肺は肺胞という極めて小さな袋の集合体になっています。その袋は気管から枝分かれした気管支の先端にブドウの実のように房になってついています。呼吸によって一つ一つのブドウの実が膨らんだり縮んだりを繰り返します。

肺胞の内壁では吸気から酸素を受け取り、二酸化炭素を放出するガス交換が行われています。
肺胞壁は扁平な上皮細胞で作られています。また、細胞壁はリン脂質で覆われています。肺胞のリン脂質は他の細胞のリン脂質とは違い、不飽和脂肪酸が含まれていません。
不飽和脂肪酸が存在すると酸化されやすくなり、過酸化脂質の脅威にさらされる可能性がある為だと考えられます。

肺の機能を守るには
①呼吸筋を鍛える
呼吸筋とは呼吸をするときに肺の動きを支える筋肉のことで主に外肋間筋と横隔膜を指します。
浅い呼吸をしていると筋肉の動きも小さくなり、その結果筋肉が衰えてしまいます。呼吸筋の衰えは酸素不足につながり、様々な不調の原因になるともいわれています。
そこでおすすめなのが風船を膨らませたり、吹き戻しを吹いたりして呼吸筋を強化する方法です。口周囲の筋肉も鍛えられるため、口呼吸予防やオーラルフレイル予防として高齢者施設でのトレーニングに使用されています。
また、息を吐くと自然と息を吸うことができるので、息を吐くことを意識しながらウォーキングをしたり、心肺機能の強化として良く知られている水泳もおすすめです。



【吹き戻しを使った強化方法】
1、吹き戻しを唇でくわえ、吹き伸ばします。
2、吹き伸ばしたまま、吹き戻らないように5~10秒吹き続けます。
3、1~2を10~30回繰り返します。
強度のついた吹き戻しも市販されていますのでぜひ試してみてください。

②栄養対策
肺の強化に必要な栄養素
良質タンパク・ビタミンA・ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンE・レシチン・ミネラル(鉄、亜鉛)

肺には粘膜が多く存在しています。粘膜の合成にはタンパク質をはじめ、糖やビタミンAが必要です。粘膜の表面は粘液で覆われており、この粘液が正常に分泌されないと粘膜が乾燥し、バリア機能が低下します。粘液の分泌を正常に保ち、粘液を粘膜に定着させるためにはレシチンの摂取が大切です。
肺胞は良質タンパク、ビタミンB群(特にエラスチン合成に必要なビタミンB6)、ビタミンC、レシチンなどで主に構成されています。ビタミンEは、細胞膜の保護や強化のために働きます。レシチンには肺胞の膜の弾力を助ける働きもあります。

<参考書籍>